朝早く、私は緑澤邸に向かった。和也に会って、緑澤君がいなくなった時のことをもっと詳しく聞こうと思ったのだ。
家の近くにきて、異変に気がついた。開け放たれている窓の中から、女性の悲鳴混じりの声が聞こえてきている。
インターホンをならすと、緑澤君の母親が慌てた様子で出てきた。
「ああ、あなた。ちょっと中に入って!」
強引に中に引きずり込まれた。整理整頓されていたはずの家の中は、泥棒でも入ったかのように物であふれかえっている。
「和也が突然消えてしまったのよ!」
「・・・和也君が?」
達之、ではなく、和也、が?
「私がゴミ捨てから帰ってきて門を開けようとしたらね、突然、部屋の窓からボールを投げてきて、それで何か変な言葉を叫んで、そうしたら……」
「消えてしまったんですね?」
私がみた高校生と同じだ。みんな『ベベアン』に行ってしまったんだ。
「おばさん、たぶん、緑澤君も和也君も行ってしまったんです。扉の向こうに」
「何を言って……」
言いかけて、おばさんは言葉を飲んだ。目の前で消えたのを見ているだけに、突飛なことも笑い飛ばせないに違いない。
「私、扉をあけます。おばさん、一緒に二人を連れ帰りましょう」
「何を言って……」
再び言いかけて、おばさんはまた口をつぐんだ。そして、こっくりとうなずいてくれた。
家の近くにきて、異変に気がついた。開け放たれている窓の中から、女性の悲鳴混じりの声が聞こえてきている。
インターホンをならすと、緑澤君の母親が慌てた様子で出てきた。
「ああ、あなた。ちょっと中に入って!」
強引に中に引きずり込まれた。整理整頓されていたはずの家の中は、泥棒でも入ったかのように物であふれかえっている。
「和也が突然消えてしまったのよ!」
「・・・和也君が?」
達之、ではなく、和也、が?
「私がゴミ捨てから帰ってきて門を開けようとしたらね、突然、部屋の窓からボールを投げてきて、それで何か変な言葉を叫んで、そうしたら……」
「消えてしまったんですね?」
私がみた高校生と同じだ。みんな『ベベアン』に行ってしまったんだ。
「おばさん、たぶん、緑澤君も和也君も行ってしまったんです。扉の向こうに」
「何を言って……」
言いかけて、おばさんは言葉を飲んだ。目の前で消えたのを見ているだけに、突飛なことも笑い飛ばせないに違いない。
「私、扉をあけます。おばさん、一緒に二人を連れ帰りましょう」
「何を言って……」
再び言いかけて、おばさんはまた口をつぐんだ。そして、こっくりとうなずいてくれた。