『月の女王』5冊目のノートから、要約と抜粋
茶髪の少年のバイクに乗せられた香。川べりの人気のない場所でようやく停まった。
少年は<スタン=ウェーバー>と名乗った。
日本人とのハーフの友達と家族ぐるみで仲が良かったため、日本語がしゃべれるらしい。
今日はその友人と無事に香を連れてこられるか賭けをしているという。
そんな話をしているうちに、クリス・白龍・イズミが追いついてきた。
隙を見て逃げ出そうとする香。
↓↓↓
「痛っ」
スタンの左手に衝撃が走る。その隙に香はスタンの腕の中から抜け出し、3人の方へ走りだした。
「ちょっまったっ」
スタンが無事の右手を構えると、香の足元に気の塊をぶつけた。香がバランスを失って前につんのめる・・・と思ったら、
「おーっと、あぶねえあぶねえ」
温かい腕に支えられた。見上げるとクリスが安心させるような笑みを浮かべている。
「あ・・・・・・」
「イズミのとこいってな」
背中を軽くおされ、素直にイズミの元へかけよる。
↑↑↑
形勢逆転。
どこに香を連れて行こうとしたのか教えろ、というクリス。
↓↓
「教えなかったらどうする気?」
「力ずくで教えてもらう」
「やっぱりそうだよねえ・・・」
しみじみとつぶやくと、一つ肯き、
「うん。じゃあ教える。でも条件がある」
「条件?なんだ?」
眉を寄せたクリスにスタンはニッコリとして、
「教えたら、逃げてもいい??」
↑↑
スタンは白状するといいつつも、自分はあまり詳しくは知らない、という。
「司ってやつに連れてこいっていわれた」
その言葉にクリスと白龍が目を見開く。
「織田の大将も絡んでいるか?」
と聞いたが、スタンはきょとんと「誰それ?」という。
スタンを逃がした後、クリスと白龍がボソボソと、
「菅原司だけが動いているのでしょうか?」
「風間忍も動いているのかもしれないって?」
と、言っているのに対し、香がそれは誰なのか、と詰め寄るが、また誤魔化される。
しつこく詰め寄ると、
「織田の大将ってのが敵の一番偉い奴。本名織田将。菅原司と風間忍はその妾の子。本妻の子は織田ミロク。ミロクはまだ子供のため、司と忍のどちらが後見人になるかで争っている」
とだけ聞かされる。
納得のいかない香だが、学校に戻らなければ、ということに気がつき追及をやめる。
↓↓↓
「あの男に関しては調べる必要ありだな。オレのデータにはあんな男いないぞ。名前聞いときゃよかった・・・」
クリスの言葉に香は振り返り、
「名前、私きいたわよ。『スタン=ウェーバー』って」
「ウェーバー?聞いたことないな・・・。白龍、お前は?」
白龍は静かに頭を横に振ると、
「あれだけの能力をもっているのなら、名前ぐらい知られているはずなんですけどね。どういうことでしょう?」
「うん・・・。しかし・・・ゆっくりしてらんねぇな、これは・・・」
青い空はいつもにも増して澄んでいた。
↑↑↑
一方、香を逃がしてしまったスタン。颯爽と駅までバイクを飛ばし、短い黒髪・長身の<リンクス=ホウジョウ>と合流した。
作戦に失敗した言い訳をブツブツ考えているスタンに対し、
「まぁ、わかってると思うけど、妙子のせいにはするなよ」
と、リンクス。一緒に司に謝ってやる、というリンクスにスタンが抱きつく。
バイクの二人乗りをしながら会話するリンクスとスタン。
↓↓↓
「でー?『4人目』はどんな奴だったー?」
「なんかなー」
風の抵抗とバイクの騒音に負けないようにスタンが叫ぶ。
「冷たい女ーっ。こえーのー」
「美人か?」
「うーん。リンクの好みだとは思う」
ピタリ、とバイクが停まり少し前につんのめる。
「な、なに?」
「信号、赤。-で、何系だ?」
「日本人だと思う。氷みたいな女だった」
「ふーん・・・氷ね・・・」
「うん。会わせてやりたかった・・・・・・とと」
信号が青に変わり急に走り出す。
「どうせ明日にでも会うことになるぜ」
「えー?明日もいくんだー?ラッキー」
「・・・なんでラッキーなんだ?」
「だって香ちゃんに会えるでしょ?オレ、案外とあの手のタイプ好きなんだ、て、え?なに?」
再びバイクが停まる。今度は信号などどこにもない。
「スタン・・・」
くるりと振り向き、真剣なまなざしを向けられる。
「斉藤香に手出しすることは禁じられているからな。お前がどう思おうとそれは勝手だが、手だけは出すなよ」
「・・・・・・なんで?」
「命令だ」
「・・・・・・」
スタンはヘルメットをぬぎ、バイクから降りて横にならんだ。怒った瞳がリンクスの黒い瞳とぶつかった。
「なんなの?いっつもいっつも『命令。命令』ってさ。そんなにあの司ってのは偉いの?なんで『ブラック・リンクス』があんな男の・・・・・・」
言葉を止め、下唇とギュッとかむ。ヘルメットをかぶったままのリンクスの表情は読み取ることができない。しかしヘルメットごしのその黒い瞳から、恐ろしいまでの威圧感が伝わってくる。
「リンク・・・・・・」
負けないように、しっかりと視線を受け止める。
「お前は・・・オレに大切なことは一つも言ってくれない」
「・・・・・・」
「いつもいつもだ。ずっと前から・・・・・・」
何かに耐えるようにグッと歯を食いしばる。
「もう・・・おれはガキじゃない。少しはお前の役に立てるはずだよ。だから・・・」
「・・・・・・」
リンクスがすっとヘルメットをぬぐ。完璧な無表情・・・・・・。
「斉藤香には『決められた男』っていうのがいるそうだ。それが誰なのかはまだ分かっていない。もしその男がお前だったとしても、そう分かってから行動しても遅くはないはずだ」
「・・・・・・決められた・・・・・・」
「オレが知っているのはそれだけだ」
再びヘルメットをかぶるとエンジンをかけた。「乗れ」というように後ろを指でさす。
「・・・・・・リンク」
つっ立ったまま、その瞳をみつめる。エンジンの音だけがうるさく鳴っている。それにも気付かないような二人の長い沈黙。・・・・・・見つめ合ったままの緊迫した沈黙・・・・・・。
「スタン」
ふ、とリンクスの方がさりげなくそれを破った。
「スタン」
もう一度、その名を呼び、まっすぐに瞳を見上げる。
「オレを信じろ」
きっぱりとした確かな言葉。迷いがない、まっすぐな・・・・・・。
「そんな・・・・・・」
泣くとも笑うともいえない表情でスタンが叫んだ。
「そんなこと言われたら何も言えなくなるっ」
「じゃ、言うなよ」
にっと瞳が笑う。いつものリンクスだ。
「乗れよ。映画、次の回に入りたいんだから」
「うん」
スタンはすばやい動作でバイクにまたがると、ぎゅっとリンクスにしがみついた。体温が伝わってくる。
「信じてるからねっ」
「あ?なにー?」
「なんでもないっ」
頼れるものはこれしかない・・・・・・そう気がついたのは何年前のことだったろうか。そしてそれは今でも変わらない。
(これからも・・・・・・変わらない?)
自問して急に不安になり、スタンはもっと強く腕に力をこめた。不安というよりもむしろ寂しさに近い。
(予知?・・・・・・まさか)
自分で打ち消してみたが、その嫌な感情は消えてくれなかった。
「スタン?」
一瞬だけ振り向いたリンクスの瞳がやけに優しく見えて、ますます不安を募らせるスタンであった。
↑↑↑
ボチボチ歩いて学校に戻った三人。校門の前で偶然夕子に会う。
今日欠席だったはずの夕子だが、急な頭痛がピッタリやんだので登校してきたという。その話を聞き、クリスと白龍が目配せをする。
何気なく白龍とイズミが香と一緒に校舎に入って行き、クリスが夕子に確認する。
夕子の頭痛が治まったのは、ちょうど二時間目が始まったころらしい。
それから、クリスは気になっていることを夕子に問う。
「香ってアーサーのこと好きなのかなあ?」
夕子のなぜ?に対し、クリスは、
「香には『決められた男』がいるから、香がアーサーを好きになると困る」
と答える。決められた男というのは、アーサーでも自分でも白龍でもない、他の誰かだという。
夕子はしばらく考えたのち、
「憧れの人、とは言ってたけど・・・・・・本気で好きになりかけてるかもしれない」
では、諦めさせないといけない、とクリス。
↓↓↓
チャイムが鳴りだした。わらわらと教室から人が出てくる。
「でも香ちゃんかわいそう・・・・・・」
「うん・・・でも、さ、かなわない恋をするよりいいと思わない?」
「それは・・・・・・クリス君の意見?」
夕子の言葉にクリスはふっと笑みを作った。夕子もつられたように微笑んで、
「そう・・・それじゃ、クリス君も気をつけなくちゃね」
「え?なにを?」
夕子はにーっこりとすると、
「『かなわない恋』はしないほうがいいんでしょ?」
「・・・・・・・・・」
閉口したクリスを後ろに夕子は香達のほうに走って行った。
残されたクリスはゆっくりと歩きながらブツブツと、
「・・・・・・見破られちゃってるみたいね・・・・・・。やっぱり年上なんだわ夕子ちゃんってば・・・。どうして分かっちゃったのかしら・・・・・・」
「何を一人でいってるんだ?」
すぐ上から声がして見上げると、白龍の涼しげな瞳が目の前にあった。クリスは真顔に戻ると、
「香は?」
「イズミさんがついている。それと本庄さんが・・・・・・」
言葉を濁す。視線の先では香と妙子がきゃあきゃあと騒いでいる。
「ほぼ確定だ。夕子ちゃんは十時少し前・・・・・・つまり香がさらわれたあたりで頭痛が治っている」
「足止め・・・・・・か。本庄さん自身には何の能力もないようだが・・・」
「ああ・・・今、高村に調べてもらってるんだけど・・・」
↑↑
だーーーーーーーーーー!!終わらない!!
今、5冊目のちょうど半分です。
なんかまとめるのが面倒で延々と書き写してしまって、
時間ばかりが過ぎてしまいました。
スタンは今後、リンクスと決別して香達の仲間になります。
ずっと後のことだけどね・・・。
香がアーサーを好きって、唐突な感じになってるけど、
本当は全然書き写してないところで、
香がアーサーの言葉や行動にいちいち赤面してたんです。
そのたびに、ピリピリしてたクリス君^^;
香とクリスの会話もちゃんと載せていかないとダメだよね;
これからは気をつけようかな・・・・・・
(今までのはもうシュレッターしちゃったから手遅れ~^^;)
そうそう。香は、クリスのことを名前で呼んだことがありません!
いつも「ちょっと」とか「あんた」とか・・・
他のメンバーは、白龍君、アーサーさん、イズミくん、なんだけどね。
香がクリスを名前で呼ぶのはずっとずっと後・・・・・・
香が自分の本当の気持ちに気がついた時です。
茶髪の少年のバイクに乗せられた香。川べりの人気のない場所でようやく停まった。
少年は<スタン=ウェーバー>と名乗った。
日本人とのハーフの友達と家族ぐるみで仲が良かったため、日本語がしゃべれるらしい。
今日はその友人と無事に香を連れてこられるか賭けをしているという。
そんな話をしているうちに、クリス・白龍・イズミが追いついてきた。
隙を見て逃げ出そうとする香。
↓↓↓
「痛っ」
スタンの左手に衝撃が走る。その隙に香はスタンの腕の中から抜け出し、3人の方へ走りだした。
「ちょっまったっ」
スタンが無事の右手を構えると、香の足元に気の塊をぶつけた。香がバランスを失って前につんのめる・・・と思ったら、
「おーっと、あぶねえあぶねえ」
温かい腕に支えられた。見上げるとクリスが安心させるような笑みを浮かべている。
「あ・・・・・・」
「イズミのとこいってな」
背中を軽くおされ、素直にイズミの元へかけよる。
↑↑↑
形勢逆転。
どこに香を連れて行こうとしたのか教えろ、というクリス。
↓↓
「教えなかったらどうする気?」
「力ずくで教えてもらう」
「やっぱりそうだよねえ・・・」
しみじみとつぶやくと、一つ肯き、
「うん。じゃあ教える。でも条件がある」
「条件?なんだ?」
眉を寄せたクリスにスタンはニッコリとして、
「教えたら、逃げてもいい??」
↑↑
スタンは白状するといいつつも、自分はあまり詳しくは知らない、という。
「司ってやつに連れてこいっていわれた」
その言葉にクリスと白龍が目を見開く。
「織田の大将も絡んでいるか?」
と聞いたが、スタンはきょとんと「誰それ?」という。
スタンを逃がした後、クリスと白龍がボソボソと、
「菅原司だけが動いているのでしょうか?」
「風間忍も動いているのかもしれないって?」
と、言っているのに対し、香がそれは誰なのか、と詰め寄るが、また誤魔化される。
しつこく詰め寄ると、
「織田の大将ってのが敵の一番偉い奴。本名織田将。菅原司と風間忍はその妾の子。本妻の子は織田ミロク。ミロクはまだ子供のため、司と忍のどちらが後見人になるかで争っている」
とだけ聞かされる。
納得のいかない香だが、学校に戻らなければ、ということに気がつき追及をやめる。
↓↓↓
「あの男に関しては調べる必要ありだな。オレのデータにはあんな男いないぞ。名前聞いときゃよかった・・・」
クリスの言葉に香は振り返り、
「名前、私きいたわよ。『スタン=ウェーバー』って」
「ウェーバー?聞いたことないな・・・。白龍、お前は?」
白龍は静かに頭を横に振ると、
「あれだけの能力をもっているのなら、名前ぐらい知られているはずなんですけどね。どういうことでしょう?」
「うん・・・。しかし・・・ゆっくりしてらんねぇな、これは・・・」
青い空はいつもにも増して澄んでいた。
↑↑↑
一方、香を逃がしてしまったスタン。颯爽と駅までバイクを飛ばし、短い黒髪・長身の<リンクス=ホウジョウ>と合流した。
作戦に失敗した言い訳をブツブツ考えているスタンに対し、
「まぁ、わかってると思うけど、妙子のせいにはするなよ」
と、リンクス。一緒に司に謝ってやる、というリンクスにスタンが抱きつく。
バイクの二人乗りをしながら会話するリンクスとスタン。
↓↓↓
「でー?『4人目』はどんな奴だったー?」
「なんかなー」
風の抵抗とバイクの騒音に負けないようにスタンが叫ぶ。
「冷たい女ーっ。こえーのー」
「美人か?」
「うーん。リンクの好みだとは思う」
ピタリ、とバイクが停まり少し前につんのめる。
「な、なに?」
「信号、赤。-で、何系だ?」
「日本人だと思う。氷みたいな女だった」
「ふーん・・・氷ね・・・」
「うん。会わせてやりたかった・・・・・・とと」
信号が青に変わり急に走り出す。
「どうせ明日にでも会うことになるぜ」
「えー?明日もいくんだー?ラッキー」
「・・・なんでラッキーなんだ?」
「だって香ちゃんに会えるでしょ?オレ、案外とあの手のタイプ好きなんだ、て、え?なに?」
再びバイクが停まる。今度は信号などどこにもない。
「スタン・・・」
くるりと振り向き、真剣なまなざしを向けられる。
「斉藤香に手出しすることは禁じられているからな。お前がどう思おうとそれは勝手だが、手だけは出すなよ」
「・・・・・・なんで?」
「命令だ」
「・・・・・・」
スタンはヘルメットをぬぎ、バイクから降りて横にならんだ。怒った瞳がリンクスの黒い瞳とぶつかった。
「なんなの?いっつもいっつも『命令。命令』ってさ。そんなにあの司ってのは偉いの?なんで『ブラック・リンクス』があんな男の・・・・・・」
言葉を止め、下唇とギュッとかむ。ヘルメットをかぶったままのリンクスの表情は読み取ることができない。しかしヘルメットごしのその黒い瞳から、恐ろしいまでの威圧感が伝わってくる。
「リンク・・・・・・」
負けないように、しっかりと視線を受け止める。
「お前は・・・オレに大切なことは一つも言ってくれない」
「・・・・・・」
「いつもいつもだ。ずっと前から・・・・・・」
何かに耐えるようにグッと歯を食いしばる。
「もう・・・おれはガキじゃない。少しはお前の役に立てるはずだよ。だから・・・」
「・・・・・・」
リンクスがすっとヘルメットをぬぐ。完璧な無表情・・・・・・。
「斉藤香には『決められた男』っていうのがいるそうだ。それが誰なのかはまだ分かっていない。もしその男がお前だったとしても、そう分かってから行動しても遅くはないはずだ」
「・・・・・・決められた・・・・・・」
「オレが知っているのはそれだけだ」
再びヘルメットをかぶるとエンジンをかけた。「乗れ」というように後ろを指でさす。
「・・・・・・リンク」
つっ立ったまま、その瞳をみつめる。エンジンの音だけがうるさく鳴っている。それにも気付かないような二人の長い沈黙。・・・・・・見つめ合ったままの緊迫した沈黙・・・・・・。
「スタン」
ふ、とリンクスの方がさりげなくそれを破った。
「スタン」
もう一度、その名を呼び、まっすぐに瞳を見上げる。
「オレを信じろ」
きっぱりとした確かな言葉。迷いがない、まっすぐな・・・・・・。
「そんな・・・・・・」
泣くとも笑うともいえない表情でスタンが叫んだ。
「そんなこと言われたら何も言えなくなるっ」
「じゃ、言うなよ」
にっと瞳が笑う。いつものリンクスだ。
「乗れよ。映画、次の回に入りたいんだから」
「うん」
スタンはすばやい動作でバイクにまたがると、ぎゅっとリンクスにしがみついた。体温が伝わってくる。
「信じてるからねっ」
「あ?なにー?」
「なんでもないっ」
頼れるものはこれしかない・・・・・・そう気がついたのは何年前のことだったろうか。そしてそれは今でも変わらない。
(これからも・・・・・・変わらない?)
自問して急に不安になり、スタンはもっと強く腕に力をこめた。不安というよりもむしろ寂しさに近い。
(予知?・・・・・・まさか)
自分で打ち消してみたが、その嫌な感情は消えてくれなかった。
「スタン?」
一瞬だけ振り向いたリンクスの瞳がやけに優しく見えて、ますます不安を募らせるスタンであった。
↑↑↑
ボチボチ歩いて学校に戻った三人。校門の前で偶然夕子に会う。
今日欠席だったはずの夕子だが、急な頭痛がピッタリやんだので登校してきたという。その話を聞き、クリスと白龍が目配せをする。
何気なく白龍とイズミが香と一緒に校舎に入って行き、クリスが夕子に確認する。
夕子の頭痛が治まったのは、ちょうど二時間目が始まったころらしい。
それから、クリスは気になっていることを夕子に問う。
「香ってアーサーのこと好きなのかなあ?」
夕子のなぜ?に対し、クリスは、
「香には『決められた男』がいるから、香がアーサーを好きになると困る」
と答える。決められた男というのは、アーサーでも自分でも白龍でもない、他の誰かだという。
夕子はしばらく考えたのち、
「憧れの人、とは言ってたけど・・・・・・本気で好きになりかけてるかもしれない」
では、諦めさせないといけない、とクリス。
↓↓↓
チャイムが鳴りだした。わらわらと教室から人が出てくる。
「でも香ちゃんかわいそう・・・・・・」
「うん・・・でも、さ、かなわない恋をするよりいいと思わない?」
「それは・・・・・・クリス君の意見?」
夕子の言葉にクリスはふっと笑みを作った。夕子もつられたように微笑んで、
「そう・・・それじゃ、クリス君も気をつけなくちゃね」
「え?なにを?」
夕子はにーっこりとすると、
「『かなわない恋』はしないほうがいいんでしょ?」
「・・・・・・・・・」
閉口したクリスを後ろに夕子は香達のほうに走って行った。
残されたクリスはゆっくりと歩きながらブツブツと、
「・・・・・・見破られちゃってるみたいね・・・・・・。やっぱり年上なんだわ夕子ちゃんってば・・・。どうして分かっちゃったのかしら・・・・・・」
「何を一人でいってるんだ?」
すぐ上から声がして見上げると、白龍の涼しげな瞳が目の前にあった。クリスは真顔に戻ると、
「香は?」
「イズミさんがついている。それと本庄さんが・・・・・・」
言葉を濁す。視線の先では香と妙子がきゃあきゃあと騒いでいる。
「ほぼ確定だ。夕子ちゃんは十時少し前・・・・・・つまり香がさらわれたあたりで頭痛が治っている」
「足止め・・・・・・か。本庄さん自身には何の能力もないようだが・・・」
「ああ・・・今、高村に調べてもらってるんだけど・・・」
↑↑
だーーーーーーーーーー!!終わらない!!
今、5冊目のちょうど半分です。
なんかまとめるのが面倒で延々と書き写してしまって、
時間ばかりが過ぎてしまいました。
スタンは今後、リンクスと決別して香達の仲間になります。
ずっと後のことだけどね・・・。
香がアーサーを好きって、唐突な感じになってるけど、
本当は全然書き写してないところで、
香がアーサーの言葉や行動にいちいち赤面してたんです。
そのたびに、ピリピリしてたクリス君^^;
香とクリスの会話もちゃんと載せていかないとダメだよね;
これからは気をつけようかな・・・・・・
(今までのはもうシュレッターしちゃったから手遅れ~^^;)
そうそう。香は、クリスのことを名前で呼んだことがありません!
いつも「ちょっと」とか「あんた」とか・・・
他のメンバーは、白龍君、アーサーさん、イズミくん、なんだけどね。
香がクリスを名前で呼ぶのはずっとずっと後・・・・・・
香が自分の本当の気持ちに気がついた時です。