『月の女王』5冊目のノートから、要約と抜粋その2。
放課後、クリスの家をイズミと共に訪れた香。
今日のように自分をかばって誰かが怪我をしたりしたら嫌なので、目覚めさせたいと言う。
クリスとアーサーは見張りに出たため、白龍とイズミが教えることになる。
↓↓↓
「では、簡単なものからはじめましょう。斉藤さん、『気』というものをご存じですか?」
「気功術とかの気?」
「ええ。僕達が使っているのはそのようなものです」
ボッと白龍の右手に白い光がともった。
「精神の集中によって自分の中にあるエネルギーを結集させ、そして外に出す・・・」
「へええ。きれいねえ・・・」
感嘆の声をあげた香に、白龍は深く肯くと、
「見えるんですね?これが」
「え?どうして?だって・・・」
「普通の人には見えないんです。これは」
「あ・・・・・・そうなんだ」
↑↑↑
香は白龍が白、クリスが青、アーサーが赤のオーラを持っていることを分かっていた。
イズミが深い漆黒のオーラを持っていることも見ることができた。
香は神経を集中させ、左手からオーラを出そうとするが・・・
意識が遠ざかり、昔の記憶がよみがってきた。
キョウコという少女が現れ、香の右手を引いて歩いていく・・・
↓↓↓
『ねえ、カオリちゃん、シンユウって知ってる?』
振り返りニコリと笑うキョウコ。
「シンユウ?」
『うん。すっごく仲良しの友達のこというんだって』
「へえ・・・そうなんだ」
『だから私達も、シンユウだね』
「シンユウ・・・うん。そうだね」
くすくすっと笑いあって・・・・・・そして・・・・・・
「キョウコちゃん?」
つないでいた手が離れていく。いつも右側を歩いていたキョウコが・・・
『カオリちゃんと仲良くしない方がいいよ、キョウコちゃん』
放課後の教室。ドアの陰にかくれてきいた自分の悪口。
『どうして?』
『香ちゃん、変、なんだよ。人の心がわかるの』
『うそだあ』
『本当だって。幼稚園一緒だった子がみんな言ってるんだよ。カオリちゃん変だって』
『ふーん・・・』
いたたまれなくてかけだした。長くて暗い廊下。一人ぼっち。寂しくて・・・
『カオリちゃん』
キョウコがいつものように呼びかけ、手を差し出している。
「キョウコちゃん・・・」
『いこう』
「うん・・・」
右手から伝わってくるキョウコの想い・・・
『カオリちゃんはシンユウだもん・・・』
「キョウコちゃん・・・」
涙が出そうになったのをこらえるため目をつむった。そして再び目をあけると・・・
『カオリちゃん、ごめんね』
キョウコの苦しそうな顔・・・
『今日からヒトミちゃんたちと一緒に帰るから』
「どうして・・・?」
『・・・・・・』
目をそらすキョウコ。流れ出る心の声・・・・・・。
『だってカオリちゃんと仲良くしてるとあたしまで仲間外れにされるんだもん・・・』
「・・・キョウコちゃん」
『カオリちゃん、変だっていうし・・・。一緒にいるとあたしまで変になるってヒトミちゃん言ってたもん・・・・・・』
「キョウコちゃん、私・・・変じゃ・・・」
はっとキョウコが顔をあげた。
『カオリちゃんっ。今、私の考えてること読んだの?!』
「あ・・・・・・ちがう、キョウ・・・」
『やっぱりヒトミちゃんの言ってたこと本当なんだっ』
「キョウコちゃん・・・」
『カオリちゃんは変なんだっ』
「キョウコちゃん・・・・・・私っ私・・・・・・」
離れていくキョウコの影・・・。
「私、変じゃないよっキョウコちゃんっ」
真っ白な世界にこだまする自分の声。
「キョウコちゃんっ。キョウコ・・・・・・」
果てしない孤独・・・・・・壊れていく世界・・・・・・。
↑↑↑
香は意識の集中から戻ってきてもぼんやりとしていた。
そこへクリスとアーサーが戻ってくる。
一気に明るい雰囲気になったことに、白龍もイズミもほっとする。
次は白龍が見張りに出て行く。
アーサーが席を離れた隙に、クリスがアーサーのいつも持っている手帳を勝手に見る。
中には緑の瞳のきれいな女性の写真が・・・・・・
戻ってきたアーサーに誰なのか聞くと「マリア。とても大切な人」と返事が返ってきた。
少なからずショックを受ける香。
そこへ白龍から信号が送られてきたため、イズミとアーサーがベランダから飛び降りた。
残された香とクリス。
クリスは香に「アーサーのこと好きなのか?」と直球で聞いてしまう。
「好きっていうか、憧れてたの」と香。
でも、写真をみて諦めがついた、という。
こんなにかわいい彼女がいるなら、私なんかが叶うわけない、と。
それに対し、クリスは思わず「そんなこと、ない。香はかわいいよ」と言ってしまう。
ひるんだ香に、ゆっくりと顔を寄せようとする・・・が、途中で我に返り、
「なーんちゃってっ」
と、冗談ですませる。香が怒り、その場は収まる。
クリスはいったん部屋からでて、「やっぱりちょっと・・・きついな・・・」とつぶやく。
その少し前、見張りに出た白龍。
敵らしき影を追い、風を放つと、その先で女性の悲鳴が上がった。
近づくと、凛とした美しい女性が一人・・・
怪我をしたらしい彼女に思わずハンカチを差し出す。
「どうして?あなたは私の敵・・・」
問われたが返答できない。
確かに敵なのに、傷つけてしまったことを後悔している・・・・・・。
イズミとアーサーが近づいてきていることに気がつき、
「逃げてっ」
とっさに口に出して自分でも驚く。
立ち去ろうとした彼女に、名前を聞く。
「・・・名前、は?」
「桔梗」
ふわりと微笑み、彼女は闇の中に吸い込まれていった。
「白龍、どこだ?!」
イズミの問いに、白龍は答える。
「すみません・・・逃がしました・・・」
「そうか・・・気にするな」
「・・・・・・」
逃がした、では逃げられたともとれるんだな、と白龍はぼんやり考えた。
ワッフルをめぐり、クッションを投げ合って戦う香とクリス。
止めにきた高村の言葉から、高村の初恋の人がクリスの母エレンであることを聞く。
エレンが十年前に事故で亡くなったことも聞き、ぶしつけなことを聞いたことを謝る香。
会話の流れから、自分に自信があるんだね、とクリスに言う香。
クリスは「そりゃ当り前。自分が自分に自信を持たなかったら、他のどこの誰がオレに自信もつんだ?」と。
香は自分に自信ない・・・と話す。
クリスは「だからお前かわいいって」「守ってあげたいって感じ」と、今度は少々ふざけた感じにいう。
照れも通りこして呆れる香。
話の流れから、妙子の話題に。
「オレと妙子のどっちを信用する?」の質問に、
「妙子さん」と即答の香。ガクッとするクリス。
「だってあんたウソばーっかり言ってるんだもんっ」
「じゃあ、妙子がウソをついてないって言い切れるのか?」
妙子のことを信用しているのか、と問われ、「信じてる」と答える香。
↓↓
「信じてる、よ」
「あ・・・・・・っそ」
なんか変、な表情をしてクリスが言う。
「なんでそんなこと聞くわけ?」
「別に・・・ただ妙子がなんのためにお前に近づいたのかわかるまでは・・・」
「・・・どういう意味よ?」
ずいっと身を乗り出す。クリスは一瞬つまったが、
「妙子はあやしい。信用しないほうがいい」
「理由は?」
「理由は・・・その・・・」
口ごもったクリスに香はピシャリと言い切った。
「理由も分からないのにそんなことできない」
「・・・・・・」
何もいわず紅茶を飲むクリスの横顔を香はどうもすっきりしない気持ちで見上げていた。
↑↑↑
ふーーーーーーーーーーーーーーーー
ようやく第2章終わった・・・次から3章。
放課後、クリスの家をイズミと共に訪れた香。
今日のように自分をかばって誰かが怪我をしたりしたら嫌なので、目覚めさせたいと言う。
クリスとアーサーは見張りに出たため、白龍とイズミが教えることになる。
↓↓↓
「では、簡単なものからはじめましょう。斉藤さん、『気』というものをご存じですか?」
「気功術とかの気?」
「ええ。僕達が使っているのはそのようなものです」
ボッと白龍の右手に白い光がともった。
「精神の集中によって自分の中にあるエネルギーを結集させ、そして外に出す・・・」
「へええ。きれいねえ・・・」
感嘆の声をあげた香に、白龍は深く肯くと、
「見えるんですね?これが」
「え?どうして?だって・・・」
「普通の人には見えないんです。これは」
「あ・・・・・・そうなんだ」
↑↑↑
香は白龍が白、クリスが青、アーサーが赤のオーラを持っていることを分かっていた。
イズミが深い漆黒のオーラを持っていることも見ることができた。
香は神経を集中させ、左手からオーラを出そうとするが・・・
意識が遠ざかり、昔の記憶がよみがってきた。
キョウコという少女が現れ、香の右手を引いて歩いていく・・・
↓↓↓
『ねえ、カオリちゃん、シンユウって知ってる?』
振り返りニコリと笑うキョウコ。
「シンユウ?」
『うん。すっごく仲良しの友達のこというんだって』
「へえ・・・そうなんだ」
『だから私達も、シンユウだね』
「シンユウ・・・うん。そうだね」
くすくすっと笑いあって・・・・・・そして・・・・・・
「キョウコちゃん?」
つないでいた手が離れていく。いつも右側を歩いていたキョウコが・・・
『カオリちゃんと仲良くしない方がいいよ、キョウコちゃん』
放課後の教室。ドアの陰にかくれてきいた自分の悪口。
『どうして?』
『香ちゃん、変、なんだよ。人の心がわかるの』
『うそだあ』
『本当だって。幼稚園一緒だった子がみんな言ってるんだよ。カオリちゃん変だって』
『ふーん・・・』
いたたまれなくてかけだした。長くて暗い廊下。一人ぼっち。寂しくて・・・
『カオリちゃん』
キョウコがいつものように呼びかけ、手を差し出している。
「キョウコちゃん・・・」
『いこう』
「うん・・・」
右手から伝わってくるキョウコの想い・・・
『カオリちゃんはシンユウだもん・・・』
「キョウコちゃん・・・」
涙が出そうになったのをこらえるため目をつむった。そして再び目をあけると・・・
『カオリちゃん、ごめんね』
キョウコの苦しそうな顔・・・
『今日からヒトミちゃんたちと一緒に帰るから』
「どうして・・・?」
『・・・・・・』
目をそらすキョウコ。流れ出る心の声・・・・・・。
『だってカオリちゃんと仲良くしてるとあたしまで仲間外れにされるんだもん・・・』
「・・・キョウコちゃん」
『カオリちゃん、変だっていうし・・・。一緒にいるとあたしまで変になるってヒトミちゃん言ってたもん・・・・・・』
「キョウコちゃん、私・・・変じゃ・・・」
はっとキョウコが顔をあげた。
『カオリちゃんっ。今、私の考えてること読んだの?!』
「あ・・・・・・ちがう、キョウ・・・」
『やっぱりヒトミちゃんの言ってたこと本当なんだっ』
「キョウコちゃん・・・」
『カオリちゃんは変なんだっ』
「キョウコちゃん・・・・・・私っ私・・・・・・」
離れていくキョウコの影・・・。
「私、変じゃないよっキョウコちゃんっ」
真っ白な世界にこだまする自分の声。
「キョウコちゃんっ。キョウコ・・・・・・」
果てしない孤独・・・・・・壊れていく世界・・・・・・。
↑↑↑
香は意識の集中から戻ってきてもぼんやりとしていた。
そこへクリスとアーサーが戻ってくる。
一気に明るい雰囲気になったことに、白龍もイズミもほっとする。
次は白龍が見張りに出て行く。
アーサーが席を離れた隙に、クリスがアーサーのいつも持っている手帳を勝手に見る。
中には緑の瞳のきれいな女性の写真が・・・・・・
戻ってきたアーサーに誰なのか聞くと「マリア。とても大切な人」と返事が返ってきた。
少なからずショックを受ける香。
そこへ白龍から信号が送られてきたため、イズミとアーサーがベランダから飛び降りた。
残された香とクリス。
クリスは香に「アーサーのこと好きなのか?」と直球で聞いてしまう。
「好きっていうか、憧れてたの」と香。
でも、写真をみて諦めがついた、という。
こんなにかわいい彼女がいるなら、私なんかが叶うわけない、と。
それに対し、クリスは思わず「そんなこと、ない。香はかわいいよ」と言ってしまう。
ひるんだ香に、ゆっくりと顔を寄せようとする・・・が、途中で我に返り、
「なーんちゃってっ」
と、冗談ですませる。香が怒り、その場は収まる。
クリスはいったん部屋からでて、「やっぱりちょっと・・・きついな・・・」とつぶやく。
その少し前、見張りに出た白龍。
敵らしき影を追い、風を放つと、その先で女性の悲鳴が上がった。
近づくと、凛とした美しい女性が一人・・・
怪我をしたらしい彼女に思わずハンカチを差し出す。
「どうして?あなたは私の敵・・・」
問われたが返答できない。
確かに敵なのに、傷つけてしまったことを後悔している・・・・・・。
イズミとアーサーが近づいてきていることに気がつき、
「逃げてっ」
とっさに口に出して自分でも驚く。
立ち去ろうとした彼女に、名前を聞く。
「・・・名前、は?」
「桔梗」
ふわりと微笑み、彼女は闇の中に吸い込まれていった。
「白龍、どこだ?!」
イズミの問いに、白龍は答える。
「すみません・・・逃がしました・・・」
「そうか・・・気にするな」
「・・・・・・」
逃がした、では逃げられたともとれるんだな、と白龍はぼんやり考えた。
ワッフルをめぐり、クッションを投げ合って戦う香とクリス。
止めにきた高村の言葉から、高村の初恋の人がクリスの母エレンであることを聞く。
エレンが十年前に事故で亡くなったことも聞き、ぶしつけなことを聞いたことを謝る香。
会話の流れから、自分に自信があるんだね、とクリスに言う香。
クリスは「そりゃ当り前。自分が自分に自信を持たなかったら、他のどこの誰がオレに自信もつんだ?」と。
香は自分に自信ない・・・と話す。
クリスは「だからお前かわいいって」「守ってあげたいって感じ」と、今度は少々ふざけた感じにいう。
照れも通りこして呆れる香。
話の流れから、妙子の話題に。
「オレと妙子のどっちを信用する?」の質問に、
「妙子さん」と即答の香。ガクッとするクリス。
「だってあんたウソばーっかり言ってるんだもんっ」
「じゃあ、妙子がウソをついてないって言い切れるのか?」
妙子のことを信用しているのか、と問われ、「信じてる」と答える香。
↓↓
「信じてる、よ」
「あ・・・・・・っそ」
なんか変、な表情をしてクリスが言う。
「なんでそんなこと聞くわけ?」
「別に・・・ただ妙子がなんのためにお前に近づいたのかわかるまでは・・・」
「・・・どういう意味よ?」
ずいっと身を乗り出す。クリスは一瞬つまったが、
「妙子はあやしい。信用しないほうがいい」
「理由は?」
「理由は・・・その・・・」
口ごもったクリスに香はピシャリと言い切った。
「理由も分からないのにそんなことできない」
「・・・・・・」
何もいわず紅茶を飲むクリスの横顔を香はどうもすっきりしない気持ちで見上げていた。
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ようやく第2章終わった・・・次から3章。