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月の女王-8

2014年07月29日 01時02分44秒 | 月の女王(要約と抜粋と短編)
『月の女王』6冊目のノートから、要約と抜粋。



第三章 思惑

 荒涼とした海辺で少女が一人たたずんでいた。黒いつややかな髪。やさしい瞳。はかなげな影。さみしそうに両腕を広げている。
(泣かないで)
 必死に呼びかける。彼女に聞こえるだろうか。
(泣かないで。一人じゃないから)
(オレがいるから・・・必ず守るから・・・)
 少女はふいっと背をむけた。そしてゆっくりと歩き出す。
(行かないで。今、そこに・・・・・・)
 手を伸ばし、彼女の肩に触れようとすると、
(・・・・・・!)
 彼女が消えた。残されたのは自分一人。
(・・・・・・姫)
 守りたい。命をかけて。守りたい。・・・だから。
 だから、今、そこに・・・・・・あなたのそばに・・・・・・。

「クリスッもう9時半っ。いいかげんに・・・」
 耳元で聞こえる聞き覚えのある声にクリスはぼんやりと目を覚ました。
「・・・・・・白龍、か?」
「いつまで寝てる気だ?!もう三回目・・・」
 ふと言葉をとめ、クリスをのぞきこむ白龍。
「なに?何か言ったか?」
「・・・・・・だから」
 クリスはごそごそと布団から這いでると、白龍の腕をつかみニッコリと、
「おはようのキスしてって言ったのっ」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
 十秒ほどの沈黙のあと・・・・・・
「いってーっ!なんだよっ本気で殴ることないだろー!!」
「殴られるようなこと言うからだっ」
 耳まで真っ赤になった白龍と頭をおさえたクリスが言い合いをしながら部屋からでてきた。
「おはようございます。クリス様。よいお目覚めで」
「・・・・・・高村。お前がちゃんと起しにこいよ。白龍じゃ・・・生傷が絶えない・・・」
 殴られたところをさすりさすりクリスがいう。白龍はツンっとコーヒーのお代わりを飲んでいる。
「まあとにかく朝食を。その前に着替えてきてください」
「えーめんどうくさい・・・いいだろ別にパジャマのままだって。誰が迷惑するわけでもないし・・・」
「いいえ。私が困ります」
 高村がきっぱりと言い切り、真顔で、
「クリス様にパジャマ姿でウロウロされると思わず襲いたくなるじゃないですか」
「・・・・・・」
 もはや何も言うまい、と白龍は決めたらしい。一方のクリスは、
「そぉだなぁ。オレも朝っぱらからそんな体力ないからそれは困るなあ・・・」
 などとブツブツ言いながら着替えに部屋に戻って行った。
「で?我らがお姫様はお目覚め?」
 記録的な素早さで着替えをすませ席についたとたんクリスが口を切った。
「もうとっくに。7時前には」
「そーれは休みの日だっていうのに早いねえ。能力のお目覚めもそんくらい早けりゃいいのにねぇ」
「・・・・・・」
 コーヒーに砂糖をドバドバ入れるクリスを気味悪そうに白龍が見つめる。これだけ甘党でありながら、モデル並みの容姿をキープしていられるクリスは、相当運動量が激しいということか。
「・・・そろそろやばいんじゃなかったっけ?予言の日は香の十八歳の誕生日の十日後だから、あと・・・」
「今日を入れてあと六日。それまでに『第一の封印』をとかなくては『第二の封印』がとかれたときに、その力をおさえきれなくて命を落とす可能性もある」
「・・・・・・」
 スクランブルエッグ相手に悪戦苦闘していた手を止め、まじまじと白龍を見上げ、
「そんなきっぱりはっきり・・・」
「事実だ。それにそんなことにならないために僕達がいるんだろう。万が一、『第一の封印』がとかれる前に予言の日がきてしまった場合は、僕達の誰かが受けとめればいい。能力の性格からいって僕かイズミさんのどちらかかな」
「でもそれって、むちゃくちゃ危険なんだよなぁ?」
「やむをえないだろう。それにそうなる前に斉藤さんの封印をとけばいいんだ。といっても、これはなかなか難しいな。封印をかけているのは今では斉藤さん自身なんだから」
「・・・うん。まずよいなあ、このままじゃ・・・」


↑↑↑

 高村が本庄妙子に関する報告書を持ってくる。
 母親が織田家の血筋だということだ。
 香に伝えて離れるように言わなくては・・・と相談している最中にイズミから電話。

 白龍がイズミからの電話に出ている隙に、高村がクリスに耳打ちする。
「カトリシア様の下の者が数人こちらにきているようです。それとジーン様がおそらく・・・。そうなる前に白龍君に話したほうがいいと思いますけど?」と。
 頭を抱えこんでクリスが言う。
「あいつの家族、ホワイト家の犠牲になってるんだぜ。オレがホワイト家中枢の人間だって知られたらこのままじゃいられない・・・」

 電話を切った白龍が血相をかえて飛び込んでくる。
「斉藤さんが、本庄さんに誘われて出かけるそうですっ」
「ワナに決まってんじゃねえかっ」
 あわててベランダから飛び降りる二人・・・。


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夏休みのためなかなかパソコンの前に座れません。
とりあえず、ここまで!アップしちゃいます~~。

もう8まできてしまった時点で、「小説ネタ帳」カテゴリから独立すべきな気がしてきた。
そのうち変えよう・・・。(変えました)
コメント
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