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月の女王-11

2014年07月31日 15時59分03秒 | 月の女王(要約と抜粋と短編)
『月の女王』7冊目のノートから、要約と抜粋。


 放課後、香・夕子・妙子でファーストフード店に。イズミは夏休み明けの修学旅行の説明会があったため、クリスと白龍だけが少し離れた席で香たちのことを見守っていた。

 香の封印について話すクリスと白龍。
 白龍曰く、香の深層心理にある変化をこばんている何かがなくなれば完全にとけるはず。それが何かはわからないけれど「キョウコ」というのに関係がありそうだ。
 キョウコのわだかまりがなくなれば封印はとけるけれども、逆に言うと、薄れてきているキョウコのわだかまりが復活すれば、また元に戻ってしまう可能性も高い。

 夕子と妙子と三人で楽しそうにはしゃぐ香。
 その姿を見ながら、クリスと白龍が心配する。
 妙子はリンクス=ホウジョウの仲間であることに間違いはない。ここまで妙子と仲が良くなっている香の気持ちを考えると・・・。

 白龍の瞳にふと遠くを見つめる光がともる。
「信頼していたものに裏切られるのはつらい」と・・・。

↓↓↓

「人を信じるのがこわくなる。自分すらも信じられなくなっていく。立っている地が崩れるように・・・」
 こめかみのあたりを両手でおさえ、白龍は静かに首を横にふった。
「あんな思いを姫には味あわせたくない・・・・・・」
「白・・・龍・・・」
「・・・・・・なんて、な」
 ふと顔をあげ、白龍は照れくさそうに、
「君と話しているとどうも感傷的になってしまうな・・・」
というと、手を洗ってくる、と席を立った。
「・・・どおしよう・・・」
 白龍の背中を見送りながら、クリスは一人ごちた。
「ふいうちだよなぁ、反則だよ・・・」
 うらめしげにいい、頭を抱えこむ。
 白龍が心の内を話してくれたことは大変嬉しい。
 嬉しいけれど・・・・・・
(何ていうだろうか・・・)
 この自分を。彼の家族を死にいたらしめた男の甥である自分を。
(・・・・・・白龍)
 何もかも打ちあけよう。そうすれば・・・分かってもらえるだろうか・・・。
「クリス?もう出るぞ?」
 いつの間にか白龍がトレーを持って立っている。
「・・・・・・ああ」
 立ちあがりながら密かに決意する。
(すべてを話そう・・・本当のすべてをだ)
 黙ったまま、クリスは白龍の後をついていった。

↑↑↑

 夕子と別れ、妙子と香の二人になった帰り道、同じ学校の女子生徒が、他校の生徒に絡まれているところに遭遇する。助けに入る妙子、クリス、白龍。
 その場はそれで終わったのだが・・・・・・。

 香はいったん家に帰り、イズミと合流してからクリスの家にいくことになった。本格的に能力の特訓をしたいらしい。

 部屋着に着替えたクリスと白龍は、リビングでコーヒーと香たちを待っていた。
 クリスは意を決して、白龍に話そうとする・・・が、何度もならされるインターホンの音に中断させられた。
(タイミングよすぎ・・・)
と、ソファにへたり込むクリス。しかし・・・


↓↓↓

『おっお待ちくださいっ』
 あわただしい高村の声に飛び起きた。
 嫌な予感がする。
「どうしたっ高村っなにが・・・」
 いいかけて言葉をとめた。リビングのドアを勢いよく開け、入ってきたのは・・・
「カッカトリシアッ」
『クリストファー!会いたかった!』
 きれいな縦巻きロールの金髪に、海の底のような深い青の瞳をもった小柄な少女が飛び込んでくるなりクリスに抱きついた。
『ちょ、ちょっとまて、カトリシアッ離れろっ』
 わたわたとクリスが慌てまくる。
 そこへ・・・・・・
「おじゃましまーす。玄関あいてたから勝手に入ってきちゃった・・・と、あれ?」
 香とイズミがカトリシアを見て立ちすくむ。
「か、香っ」
(タイミング悪すぎっ)
 ザーッと血の気が引いていくのが感じられる。
『・・・・・・『香』?』
 クリスの言葉にピクリと反応して、少女が香を振り返った。
『ふーん・・・・・・あなたが『斉藤香』・・・』
 上から下までじっくりと見ると、くすりとばかにしたように小さく笑い、
『へえ・・・『月の姫』なんてたいそうな名前の人だからけっこう期待してたんだけど・・・たいしたことないのねぇ』
「え?」
 早口の英語なのでまったく聞き取れない香。
『カトリシアッ』
 クリスが声を荒げるのにもかまわず、カトリシアは香の横にいるイズミを見上げると、
『目をそらしていたって分かるわよ。古沢イズミでしょう?古沢は何をしているの?自分の娘が月の戦士だなんて、報告があがっていないわよ。テーミスの血を持つすべての者に命令は下っているのに・・・これは裏切り行為だわ』
『・・・・・・父には知らせていません』
 イズミがうつむいたまま答えると、カトリシアが肩をすくめた。
『ふーん。そう・・・・・・。で、こちらの人が辻白龍ね。あなたはしょうがないわね。命令を知らなかったんでしょう?だって父親が・・・・・・』
『カトリシアっッ』
 顔色を変えてクリスが怒鳴りつける。しかしカトリシアはおかまいなしにクリスに微笑むと、
『ねぇクリストファー、どうして自分が月の戦士だって教えてくれなかったの?わかっていたら日本になんて来させなかったのに・・・』
『・・・・・・帰れ、カトリシア』
 怒りをこらえてクリスが言う。
『オレを、本気で怒らせるな』
 冷たく言い放ち、カトリシアのお供についてきている黒服の男二人を振り返ると、
『カトリシアを連れて帰ってくれ、今すぐ』
『し、しかし、クリストファー様っ。私どももマーティン様よりきつく言いつけられてまいりました。クリストファー様を連れて帰ってくるよう・・・』
『・・・・・・お前ら死にたいのか?』
 低くいうのに男二人は縮みあがった。クリスの能力は痛いほどよくわかっている。
『カッカトリシア様・・・』
『わかったわ。今日のところは帰ります』
 妙に大人びた表情でカトリシアは告げた。
『でも覚えておいて。クリストファー。あなたは必ず私のところに戻ってくる。必ずね』

↑↑↑

「今の女の子、誰?」
 予想通り、香が口に出した。会話が全編ネイティブイングリッシュだったので、話の内容はまったく分かっていない。クリスが返答に窮していると、
「クリスの叔父の娘、つまりいとこですよ」
と、今までずっと黙りっぱなしだった白龍が説明しだした。ぎょっとしてクリスが白龍を見上げる。
 白龍は淡々と、彼女は世界的に有名な『ホワイト=コーポレーション』総裁の娘であると説明する。
「すごーい。どうりであんたも金持ちなわけね・・・」
と納得する香。

 高村が、香とイズミにケーキ作りの手伝いを頼み、二人を台所に連れて行く。

 残されたクリスと白龍。

↓↓↓

 クリスは覚悟を決めて白龍と向かい合った。息をのみ、言葉を出す。
「・・・・・・白龍、オレ・・・」
「知ってたよ」
 さらり、と白龍はいい、テーブルの上のコーヒーを取り上げ静かに飲み下す。
「知ってたって・・・・・・」
 言葉の意味を取りかねて聞き返すと、白龍は目をふせたまま言を継いだ。
「これだけの金持ちでLA出身となったらホワイト家関連の人間だと考えるのが普通だろう?しかも君は『クリス』と名乗った。ホワイト家当主の姉エレン=ホワイトの長男の名前が『クリストファー』」
「・・・・・・」
「しかも君と一緒に住んでいる高村さんの名前は『高村芳和』、ホワイト家筆頭秘書官の名前が『高村芳信』。・・・・・・偶然も三度重なれば必然、と言ったのは君だよ、クリス」
「知って・・・知っていてお前・・・」
 思わず絶句する。白龍はゆっくりカップを元に戻し、印象的な瞳をこちらに向けた。
「だからといって君が仲間であるのには何の問題もない。今までの君の言動を見ていて分かっているつもりだ。君は僕と同じ考えを持っているんだろう?」
「白龍・・・・・・」
「確かに、家族を死に追いやった奴らは許せない、でも、君には何の責任もないんだからな。憎むのはお門違いだろ?」
「白龍・・・・・・」
 目をめいいっぱい見開いて、白龍を見上げる。黒い深い瞳にはいつも通りの澄んだ色がゆらいでいる。
「白龍・・・オレを信じてくれるのか・・・?」
「・・・・・・」
 ふっと白龍は笑ったようだった。
 胸の奥のつかえがとけていくのが分かる。
「ありがとう・・・」
 小さく、心をこめてクリスはつぶやいた。

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 眠いのでちょっと休憩。。。
 半分いってないし・・・・・・。

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月の女王-10

2014年07月31日 01時33分59秒 | 月の女王(要約と抜粋と短編)
『月の女王』6冊目のノートから、要約と抜粋その3。


 香の能力発動のおかげで、イズミと白龍が自由になる。
 体制を立て直し、反撃!と思ったが、
「またくるよ」
「香ちゃん、またねー」
と、余裕の微笑みのリンクスと、無邪気な笑みのスタンがバイクで逃走。

 アーサーも遅れてようやくやってくる。
 アーサーもうちで一緒に住んだらどうか、とクリスが提案していると、
「約束の時間に遅れちゃう!」
と、香があわてて駅に向かおうとする。

↓↓↓

「ちょっとまて!」
 走りかけた香を慌ててクリスが呼び止めた。
「なによ?」
「お前、よーく落ち着いて考えてみろ。あのな・・・」
 一瞬だけ白龍に視線を移し、承諾を求めてから話しはじめた。
「昨日も言ったけど、妙子はあやしい」
「だから・・・・・・」
「最後まで話をきけ。まず、妙子が転入してきたその日、お前は妙子とテニスをしていて、『妙子が』ボールを外に出してしまって、空き地にいって襲われた」
「それは・・・・・・」
「それに昨日、『妙子が』着替えるのが遅くなって更衣室に残っていたところをさらわれた」
「・・・・・・・・・」
「そして今日。『妙子に』呼び出されて出かけるところにこの騒ぎだ」
「・・・・・・偶然だよ」
 ぽつりといった香にクリスは冷静な口調で、
「偶然も三度重なれば必然と考えるのが当然だ。だいたい妙子は初めからお前に執着しすぎていておかしいと思ったんだ」
「だってそれは、小さいころ遊んだことがあるって・・・・・・」
「それ、なにか証拠があるのか?お前は覚えていないんだろう?妙子がそう言っているだけであって・・・・・・」
「妙子さんが嘘をついてるっていうの?!」
「だから・・・・・・いてっ」
 なだめようと伸ばした手を思い切りはたかれた。
「あんたこそなんか証拠があって言ってるの?!」
「だから三回も・・・・・・」
「それは偶然だって!」
「偶然じゃないっ」
「偶然っ」
「偶然じゃないっ」
「偶然よっ」
 叫んだのと同時に、ばんっと金の光が立ち上り、クリスに直撃した。
「うわわわわっ」
 クリスがバランスを崩しかけたのを白龍があわてて支える。
「サ、サンキュー。白龍・・・・・・」
「あんた、いきなりなんで転んでるの?」
 眉をよせて香がいうのに、クリスはムキになって、
「おー前っ!自分でやっておいて何言ってんだよっ」
「私、何もやってないわよ」
「やったっ」
「やってないっ」
「やったっ」
「やってないっ」
「やったっ」
「だから、やってないっ」
 再び金の光がクリスに向かって走り出す。
「うわわわっ」
「クリスッ」
 とっさに白龍とイズミがバリヤーをはったが、それを軽く破って、光の矢はクリスの足元で爆発した。
「いってーーーー!今のすっげー痛かったぞっ」
「そ、そんなこと私に言われても・・・」
「何もしてないとは言わせないぜっ香っ」
「え?えええ?私が?今の??」

↑↑↑

 そうこうしているところに、高村が車でやってきた。
 香の母からの伝言で、妙子が今日は来られなくなってしまった、と・・・。

「ほらっ三度目の偶然はなくなったじゃないのっ。二回くらいの偶然で人の友達悪く言わないでよねっ」
「はいはい私が悪うございましたっ」

 軽くあしらって、妙子との用事がなくなったのなら、みんなで海に行こう、と提案するクリス。
「スクール水着しか持ってないから嫌」
という香に対し、
「別にいいよ。初めから期待してないし。どうせお前の水着姿なんてたいしたことない・・・・・・」
と余計なことを言って香を怒らせたクリス。香の光の矢をあやういところでかわしながら逃げ回る。

 第一の封印がもう少しで解ける・・・



 翌日、香は妙に機嫌がよかった。
 連れていかれた海で、クリス・白龍・イズミ・アーサーにより、能力の引き出しの儀式が行われたのだ。

↓↓↓

「そんなこと私できないよっ」
「できる。今のお前にならできる」
 やけにきっぱりとクリスは言い、香の右側に立った。左に白龍、前にイズミ、後ろにアーサーがそれぞれ立つ。
「目をつむれ。心を真っ白にしろ」
「そんなこと言われても・・・・・・」
 いいかけて、やめた。
「・・・・・・あ」
 流されるような勢いで熱いものが伝わってくる。足元からどくどくと力がわきでてくる。
「!!」
 それが頭のてっぺんまでのぼりつめたとき・・・・・・
「香っ」
 くらり、と倒れこんだ。がっしりとクリスの強い腕が香を支える。
「・・・・・・いっつーーー」
「大丈夫か?!」
 のぞきこむ青い瞳があまりにも近かったので、香はぎょっとして飛び離れた。
「だ、大丈夫じゃないわよっ。何よっ今のはっ」
「何って・・・そうだな・・・」
 クリスは空き缶を拾うと、3メートルほど離れた岩場に置き、
「あの空き缶、吹き飛ばしてみろ」
「はあ?!そんなことできるわけないでしょ?!」
「できるよ。オレにだってできるんだから」
 言いながら手をかざすと、ぱんっと青い光が飛び出し缶をふきとばした。
「ほら、な?お前もできるって」
 缶を元に戻し、やってみろ、とうながされると、
「そんなこといってもねえ・・・」
 見よう見まねだ、と思って、クリスがしたように手をかざし、空き缶をにらみつけると、
「えいっ」
 かけ声と共に、がしゃがしゃがしゃっという音が響き渡った。
「あれ?」
 確認してみると、缶は元の位置にあるのだが・・・
「あっれえ・・・」
 その横にある岩が粉々に砕けていた。
「オレ、お前のこと怒らすのもうやめよっと・・・・・・」
 ぽつりとクリスがつぶやいた。

↑↑↑

 その後、訓練をしてなんとかコントロールは身につけられたけれども、そうするとパワーが激減してしまうという問題点にぶつかった。だが、激減といっても、今まで遭遇した『手』の化け物を退治するくらいには問題がないパワーはある。
「これでオレ達が四六時中守っている必要もだいぶなくなったな」
と、クリスに保障されて、香は単純に喜んだ。今まで自分だけが皆の足手まといになっていたことがかなりの重荷だったのだ。

 今日は大掃除。機嫌良く、一人で焼却炉にごみ出しに向かった香。
 そこで、広樹親衛隊の連中に取り囲まれる。先日謝ってきたメンバーとは違い、派手な子が多い。
 あることないこと言われる香。しらーっとしている香に業を煮やし、手をあげようとした親衛隊の手を後ろからつかむ妙子。
「あたしの大好きな香ちゃんに手をあげようとするなんて・・・許せないわ~」
 ターゲットを妙子に変えてつっかかってくる親衛隊を、軽くあしらってしまう妙子。
 親衛隊が退散したあと、お礼を言った香に対し、

「お礼なんていうことないわよっ。あたしはあたしのためにやったんだからっ」
「妙子さんのため?」
 きょとんと聞き返すと、妙子は香の手をつかみ、
「そうよっ。あたし香ちゃんにもしものことがあったら死んじゃうものっ死ぬのやだから香ちゃん助けたのっ」
「何それ?」
 眉をよせた香に妙子はやさしく微笑むと、
「だからようするにっあたしは香ちゃんが大切なのっ」

 香はあらためて思う。自分を大切だといってくれる友人をどうして疑うことができるだろう。

「あ、夕子ちゃん教室戻ってきたよっ。ずーるいよねぇ。校庭掃除なんてゴミ拾いだけだったんだってっ」
「えーずるーい!私たちワックスまでかけてるのにっ」
「ねー!その上夕子ちゃんたちお菓子までもらって食べたんだってっ」
「がーーんっ今度は絶対校庭掃除がいいーーー」

 たわいもない会話。たわいもない一日。いつまでも続いてほしい、と願う香。


----------------

 ようやく6冊目終わった・・・
 冊が進むにつれ、写してる量が増えてるような・・・

 まだ携帯がない時代なので、高村さんが香母の伝言を伝えにくるんですね~。
 いまだったら、メールとかラインとかだよね・・・。


 個人的に、うおっと思ったセリフを最後に写してみました。

 ええ。校庭掃除がゴミ拾いだけでお菓子までもらえたって話です。

 学生生活から離れて長いので、忘れてたよーーーー。
 そうだよねーーー大掃除とか担当分かれたよねーーー。
 なんて、ちょっと昔を思い出して、うおーーと思ったので書いてみた。

 お菓子もらえたって話、本当にあったことだと思った。
 これ書いてる私、現役の女子高生だったのでね~~。

 まあ、わたくし、思いっきり「ハザマの世代」なもんで、
 女子大生ブームにも女子高生ブームにも乗れなかったんですけどね・・・・・・。
 「ハザマ」とはうまいことネーミングしたもんですな。

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