慶が浪人生、浩介が大学一年生の時の話になります。
アホみたいな話です。すみません。
エッチな意味でのR18というより、リアルな下ネタ的にR18って感じです。苦手な方、ご注意ください……
浩介視点でお送りします。
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『R18・3つの理由』
同じ大学に西崎という男がいる。
三浪しているので、3つ年上。でも敬語は使うなというので名前も苗字呼びつけで呼んでいる。
とにかく下ネタが大好き。現在人妻と付き合っているらしい。
グループ発表の班が同じなので、西崎含めた男5人でよく集まるのだけれども、いつも最後には西崎のせいで下ネタ話になってしまう。
でも、役に立つこと(人目につかないラブホテルの場所とか、潤滑ジェルの売り場とか)の情報も提供してくれるので、感謝はしていたりする……
そんな西崎が今回言い出したのがこれ。
「マンネリ化したエッチに刺激がほしければケツの穴に入れろ」
他三人は「ありえねー!」と叫んだけれど、そこでしかしたことのないおれはグッと詰まってしまった。でも普通の顔をしてふんふんと肯いてやる。
でも、西崎の話を聞くうちに、え?そうなの?と身を乗り出してしまい、皆から「桜井乗り気じゃーん!」とからかわれる羽目になったわけだけれども……
***
その数日後。いつも行くラブホテルにて……
「だから指ですんなって言ってんだろ!」
「痛っ」
思いきり肩のあたりを蹴られた。慶は、エッチしてるときは攻撃的になってるのか、いつもよりも蹴る力に容赦なくて本当に痛いっ。
「もー蹴らないでよっ」
「お前がしつこいからだっ」
「だって……」
こうして体を重ねるのも、もう10回目になる。(慶には言えないけど、数えてるおれ……)
今までずっと、ほとんどの場合、潤滑ジェルをたっぷりつけてはいるものの、指で慣らしたりしないでいきなり挿入してしまっていた。
でも、西崎の話だと、それではいけないらしい。
「本当はちゃんと指で少しずつ押し広げないといけないんだって!」
「はああ? 何言ってんのお前?」
ガシガシとまだ蹴ってくる慶。こんなに綺麗な顔してるくせに本当に乱暴だ……
「だからー」
足を掴んでとめて、真面目に答える。
「急に入れたりするのはダメなんだって。中が傷ついたりするし、痛いし」
「痛くねーし」
「…………」
そうなんだよな……慶、痛くないっていうんだよな……
初めての頃はあんなに痛がっていたのに、今ではほとんど痛がらなくなったのだ。
慶はムッとしたまま続けた。
「つか、むしろ、指の方が痛い。爪切ってあるっていってもなんか爪が擦れてる感じするからヤダ」
「そ……そっか……」
「それにお前、指冷たいしな」
「あ……ごめん」
そうなのだ。おれは常に手先が冷たい。慶はいつでも温かいのに……
おれの心の闇がおれの手を冷たくしているようで、この冷たさを感じる度に後ろ暗い気持ちになる……
「あ、いや、それは別にいいんだ」
おれが黙ると、慶は慌てたように否定して、おれの両手をギュッと掴んで包んでくれた。
「お前の手は、おれがいつでも温めてやるから、な?」
「慶……」
泣きそうになってしまう。慶は本当に優しい……
「浩介」
ぎゅうっと抱きしめてくれる慶……
そして、耳元で囁いてくれた。
「お前の、いれて」
「……っ」
反応してドクンッとものが固くなる。
「お前の、熱くて、固くて、気持ちいいから」
「慶……」
そんなこと言われたら……もう、指でなんてしていられない。
ジェルをたっぷりとつけ、ゆっくり、ゆっくり、慶の中に押し入る……そしておれ達は一つになる……
「あ……」
「………」
慶の指がギュウッと背中に食いこんでくる。
「きもちー……」
ため息まじりに耳元でささやかれる。
ああ……幸せだ……
***
後日……
「やっぱり、彼女痛がってだめだったぞー」
「げっお前挑戦したのかよ!!」
再び、グループ発表の班で集まった際に、またその話になった。一人の彼女持ちの奴が挑戦してみたらしく……
「桜井! お前はどうだった?」
「え?!」
いきなりふられて飛び上がってしまう。
「こないだやけに食いついて聞いてたじゃん。やったんだろ?」
「あー……まあ……」
みんなには、恋人がいることは言ってある。まさか男だとは思ってないだろうけど。
「彼女、痛がってただろ?!」
「いや………」
「じゃ、そうとう指で丁寧にならしたのか?」
「あ、ううん……なんか、指でするほうがヤダっていわれて……」
「で?」
西崎をのぞく三人に詰め寄られタジタジになってしまう。
「入れられたのか?!」
「う………うん」
「いきなり?」
「う……ん、そういうことになるのかな……」
「………」
へえええ………。三人は一斉に肯いてから、西崎を振り返った。
「西崎センセーこれはどういうことかなー?」
「お前こないだあんだけ偉そうに講釈垂れてたくせに、桜井の彼女は大丈夫だったってよー」
「まあ……そういうこともあるだろうなあ」
西崎は批判をものともせず、ニヤリと笑った。
「理由は3つ考えられる」
「3つ?」
4人で素直に西崎センセーの講義を聞く体勢になる。
「1つは、彼女がすごくリラックスした状態で、変に力が入ってなかったと思われること。これはまあ、桜井の前戯が上手いって証拠だな」
「おおおっ」
「やるじゃん桜井っ」
小突きまわされ照れてしまう。本当にそうだとしたら……ものすごく嬉しい!
「次に……」
持ちあげておいて、落とすのもなんだけど、と西崎は前置きをして、コホンと咳をしてから言った。
「桜井のものが、大きくないってことだな」
「…………」
グサッと刺さる。
「予想するに……その体型と一緒で、細長い、とかそんな感じだろ?」
グサグサグサッ
ひ、否定できない……というか、肯定するしかない……
「さ、桜井、ドンマイ」
胸を押さえて、うううっと言っているおれに、みんなが声をかけてくれる。
言った本人である西崎はあっけらかんと、
「まあ、いいじゃねえか。大きさはテクニックでカバーしろ。こう……抉るような腰使いがオススメだ」
「………」
さ、参考にさせていただきます……
「で、3つ目は?」
「あー3つ目は……真偽のほどは定かじゃないし、聞きたくない話かもしれないんだよなあ……」
「なんだよ教えろよっ」
西崎がもったいぶるのを、みんなで詰め寄って聞かせてもらったんだけど……
「………聞きたくなかった」
聞いたら聞いたで、3人とも一斉にブーブー言い出した。
おれは……、うん。慶ならありうる。というか、そうに違いない。と思った。
その3つ目の理由とは……
***
それからまた数日後。
今日は付き合って2周年記念日。
12月23日の祝日だけれども、慶は朝から予備校があった。受験生には祝日もクリスマスもないってことらしい。
夜も予備校があるそうで、日中の数時間だけ一緒に過ごしてくれることになった。そうしてやりくりしてでも一緒にいようとしてくれることが本当に嬉しい。
「やった~!食べ放題!ありがとな~!」
「どういたしまして」
この日のために、慶の好きそうな店を調べて予約しておいたのだ。せっかくの2周年。特別に過ごしたい。でも……
「慶、あんまり食べ過ぎちゃダメだよ? 夜の授業にさしつかえるよ?」
「わかったわかった」
わかった、といいながら、慶はやっぱりおれの倍は食べて、「食べ過ぎたー苦しいー」と言いはじめた。案の定だ……
「もう、慶……」
「苦しいからホテルいって休むー」
ケロリと言った慶。
「え」
え、いいの? 夜授業なのに? いいの? いいの? いいの?
「お前、にやけ過ぎ」
おれの額をピンッとはじくと、慶は時計を見て立ち上がった。
「制限時間まだだよな? ちょっとトイレ行ってくる」
「はーい」
少し残っているピザとアイスコーヒーで時間を潰す。たぶん慶、しばらく戻ってこない。
西崎の言っていた3つ目の理由……それは。
「毎日快便で、でかいクソしてる女は道筋できてるから痛くない、という説がある。真偽のほどは定かじゃないけどな」
「…………」
みんなが、聞きたくなかった!オレの彼女はクソなんかしねえ!とか色々言っている中、おれは妙に納得してしまった。
慶は良く食べる。食べるくせに全然太らない。鍛えてるっていうのもあるんだろうけど、それだけでは説明できないくらい、食べるのだ。
(出るものもキチンと出てるんだろうな……)
西崎の話を聞いた翌日、駅で電車を待っている間にそれとなく聞いてみたら、
「え!? 誰でも毎朝出るもんじゃないのか!?」
と、驚かれた。世の中そんな健康的な人間ばかりなわけがない。
慶はキチンと毎朝出るし、食べ過ぎたりした場合もすぐに出るそうだ。なんて健康的……。
おれなんて、あれだけ完璧にバランスの考えられた食事を毎日食べさせられているのに、毎朝快便、なんて経験したことがない。家にいると、いつでも何となくお腹の調子が悪くて………まあ、ストレス性のものなんだろうけど……。
「おまたせー。もう行くか」
慶がスッキリした顔をして戻ってきた。
「大きいの出た?」
「おお」
軽くうなずきながらカバンとコートを取った慶に更に聞く。
「どのくらいの大きさ?」
「えーと、このくらい……って!」
手で形を作ろうとした慶がゲラゲラ笑いだした。
「何言わせんだお前」
「いや、なんとなく………」
このくらい………
慶が作った手の大きさを思い浮かべ、うっと詰まる。
(おれのより大きい……)
いや、適当にやっただけで、本当にその大きさかどうかは分からないし……
ても………でも、でも、でも。
「慶」
「あ?」
会計を終え、外に出たところで、真剣に告げる。
「おれ………頑張るから」
「は?」
何を? と、眉を寄せた慶の耳元に顔を近づけ、囁く。
「だから、セック……痛っ」
言い終わる前にはたかれた……。
「お前、真っ昼間から何言ってんだよっ」
「だってこれから行くんでしょ?」
「行くけど……っ」
慶、真っ赤。
「行くけど、するとは言ってない!」
「…………」
………確かに。
しばらくの無言の後、
「……わかった」
おれが無表情に言うと、「え?」と、慶の瞳が不安そうに揺れた。
(……かわいいなあ)
慶って普段は強気なのに、時々こういう顔をする時がある。たぶんおれにしか見せない顔……おれのことが好きだからする顔。
「浩介、あの……」
「うん。だからわかったって」
「ちがくて、だから……って!お前!」
耳にキスすると、慶が再び真っ赤になった。
「何して……っ」
「『行くけど、するとは言ってない』」
「え?」
眉をよせた慶にニッコリとする。
「だから、する気にさせろってことでしょ?」
「…………」
慶は呆気にとられた顔をしていたが……
「……ばかじゃねーの」
言うとクルリと背を向け歩きだしてしまった。慌てて追いかけ、顔をのぞきこむ。
「慶くーん?」
「うるせーばか」
慶は拳でおれの額を押しのけると、シュッとダッフルコートの帽子をかぶって、おれの腕にしがみついてきた。こうしていると、身長差と色白で中性的な慶の面差しのおかげで男女のカップルに見える(たぶん)ので、ホテルに行くときにはいつもこうしている。
慶はうつむきながら、ボソボソと、
「もう、する気になった。時間ないし一番近いとこ入る」
「…………」
………やばい。かわいすぎる。我慢できない。早く行きたい。
「じゃ、こっちの道のが近いから」
「……。なんで詳しいんだよ」
「西崎が教えてくれた」
「また西崎か……」
そうだ。西崎センセーに言われたんだ。テクニックでカバーしろって。
あ、いや、でも、今日はこのあと予備校なんだから、無理させちゃいけない。今日はあまり激しくはしないで、慶の気持ち良いことだけ…………
「………何考えてる?」
「え?」
妄想中の本人からの問いかけに、緩んだ頬を引き締めようとしたけど無理だった。
「お前、今、すっげーやらしい顔してるぞ?」
「だってやらしいこと考えてるもん」
「…………変な奴」
ボソッと言われた。
そういえば高校で初めて会った時も「変な奴」って言われたなあ……なんてことを思い出した。
あれからもう3年半以上経つのか……
「なあ……」
ふいに慶がいった。下を向いたままだから、どんな顔をしているのか分からない。
「ん?」
「来年もさ……」
掴まれた腕の手に力を入れられる。
「来年も一緒にいような?」
「……………」
来年。
「…………うん」
慶の手を上からぎゅっと握る。
「来年も、再来年も、ずっとずっと一緒にいようね」
「ん」
去年も約束した。そして今年も一緒にいる。来年も再来年もその先も、ずっとずっと一緒にいる。
「だから、頑張るね」
「何を?」
「だから、セ………」
「もーそれやめろって!」
慶は怒ってから……クスクス笑いだした。おれも笑ってしまう。慶と一緒にいると笑ってばかりだ。
こうやって、ずっとずっと笑って、ずっとずっと一緒に生きていきたい。
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お読みくださりありがとうございました!
浩介大学一年生、慶浪人生、のお話でございました。
この「来年」にあたるのが「自由への道」編になります。
「3つの理由」の内容については、実は「風のゆくえには」シリーズを再開したころ(1年半くらい前?)に、そういった行為について調べまくった時期からずっと考えておりました。今回こうして具体的に書けてなんだかスッキリ^^
次回もどうぞよろしくお願いいたします!
クリックしてくださった方、本当にありがとうございます!画面に向かって拝んでおります……。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。ご新規の方もどうぞよろしくお願いいたします!
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