あまり長編は疲れる気分だったので、短編を選んで図書館から借りた。
その1冊が「レンブラントの帽子」バーナード・マラマッド(米)
3つの短編からなっていて、訳者はそれぞれ違う。
レンブラントが被っていた帽子に似た帽子を被っている美術学校の講師に同僚の講師が廊下で行き違うときに気軽にその帽子が似合うと言ったときから二人の仲は行き違いとなる。
気まずい仲となった二人が、やがて元より素敵な関係になるまでの22ページの物語で、まあさらりとした文体ではある。
いまひとつは、「我が子に殺される」という短編で家に閉じこもった息子と親の関わり合いが三人称で進んだり一人称で語られたりする。
とても深刻な内容だが、救いが無いわけでもない。
そして最後は「引き出しの仲の人間」・・・これは疲れた・・・疲れる小説ってあるもんだ。
あと一冊は「ヌレエフの犬(あるいは憧れの力)」(独)(エルケ・ハイデンライヒ)
バレーダンサー後に振り付け師にもなるルドルフ・ヌレエフが1993年にパリで生涯を閉じたとき、美術工芸品とは別に、オブローモフという名前の犬を残した。というところから話は始まる。
軽やかに踊るヌレエフと、重い体で毛の薄汚れたのろまな犬が如何にして出会ったのか。
そしてヌレエフが死んでも更に生きたこの犬は如何なる生き方をしたのか。
最後の飼い主となる女性はその犬を、犬の秘密と共にかっての主人ヌレエフの墓の傍に葬ることになる。
世界中の熱狂的バレー・ファンの一種の巡礼地となっているヌレエフの墓にお参りする人達は、同時に素晴らしいダンサーに敬意を表していることになるのだという。
犬の秘密は最後の飼い主の女性が語らない限り誰も知らない。
と、まあ、疲れさせられたり、何やらホンワカとしたものを感じさせられたり・・・。
短編って難しいですね。
凝縮してみせたり、さらりと力を抜いた振りをして見せられたり・・・。