「灯火親しむの候」などと言ってもピンと来ない時代ではありますね。
電子書籍が一般化する時代も直ぐにも来そうな雰囲気ですから、尚更この言葉も死語確定でしょう。
さて、それはさておき、書籍の扱いにもいろいろあります。
当局によって発禁処分の憂き目に遭う発刊物も結構多いのでしょうが、何度も処分されながらそれでも版を重ね続けるものもあるわけで・・・。
「ジョニーは戦場へ行った」(米)ドルトン・トランボ(訳)信太英男 1996角川文庫(1939初版)
異国の地で砲弾にあたり、物のようにベッドに横たわりながら過去から現在そして未来へと思いを巡らす青年の物語。第一次大戦後に執筆され第二次大戦の2日前に発行され、発禁となること数度(第二次大戦・朝鮮戦争など・・・)、左翼示威運動の旗印にされた歴史もあった。
死しても守るべきものとは・・・。スローガンに惑わされ、空気に流され自分たちで自分たちを縛ってしまう。・・・しかも性懲りもなく・・・何度でも。
戦争計画立案の前には一度は読んでおくのがいい、国家指導者必読の書の一つでしょうか。
次なるものは、老前が50歳から・老前中期60歳代・老前後期70歳代・本当の老後75歳から、とおっしゃりコレに備えよとその心がけを説く元NHKの鈴木健二氏。
「老いの災厄(七転びしても八起きはない)」 鈴木健二(著)PHP新書2012刊
非金三原則・・・「使わず」「使えず」「持ち出さず」、とか「暮らしの基準が天気予報になる」とか「夫よ喋れ・妻よ聞け」などなど、老前・老中・老後の心構えがダジャレを交えてちりばめられております。
納得もあれば、異を唱えたくなる内容もあるものの・・・総じて確かにおっしゃる通りごもっとも。
さて・・・これを配偶者にも読めよと持って行くべきか、ふと・・思案したりなどして・・・。
売れなくて絶版になったり、当局に発禁処分を受けたり、空気を読んで自発的に発行を自粛して自ら手足を縛ってみたりと出版界も大変ですが、電子書籍が一般化した後のこうした言論統制的な動きはどうなるのか、野放しやりほうだいなのか・・・目が離せませんなあ。
燈火はなくても、内蔵バッテリーがある間は大丈夫。
何故か寂しい秋の夕暮れではあります。