家庭菜園はこの頃手入れ不十分な割には葉物野菜が大豊作で、取り敢えずキリギリス状態がつづいております。
虫も比較的少なくて、ときどき配偶者が収穫に行く程度。
よって晴耕雨読ならぬ、晴歩雨読の様相を呈しており読書の方も順調に進捗しております。
さて今日の本は・・・・と。
「顔のない軍隊」(コロンビア)エベリオ・ロセーロ(著)八重樫克彦・八重樫由貴子(訳)2011.2作品社刊
冒頭の書き出しは・・・・。
まあ、言ってみりゃこんな具合かな。うちの隣のブラジル人の家じゃあ、年がら年中コンゴウインコが笑っていてさ。庭はずれの境の塀から、しょっちゅう俺はそいつを耳にしているんだ。
こんな調子の語り口で、物語は進んでいくのです。
2006年スペイン・トウスケツ小説賞受賞作品だそうで・・・。
コロンビアのとある村を舞台に、武力紛争に翻弄される庶民の姿を描いた小説で、物語は一貫して主人公イスマエルの視点と独特の語りによって進められます。
のんびりとした飾り気の無い口調で語られるショッキングな内容、個々の顔が見えない”軍隊”が貧しい村を蹂躙していく過程がリアルに描写されています。
政府軍・反政府軍・その他幾つもの武装勢力が存在の理由を各々持っていても、いずれも庶民とは無縁の戦いを飽きもせず続けていて、教職を退職し故郷の田舎で暮らす夫婦のささやかな幸せが無残にも崩壊して行く様を、その口調でとつとつと語るのです。
「禁じられた遊び」は子供版ですが、これはその大人版といったとこれでしょうか。