ざっくばらん(パニックびとのつぶやき)

詩・将棋・病気・芸能・スポーツ・社会・短編小説などいろいろ気まぐれに。2009年「僕とパニック障害の20年戦争出版」

「痴人の愛」と「潮騒」

2010-12-13 22:59:57 | 
僕の店はお茶やコーヒー豆のほかに古本も扱っています。規模は小さいですがそれでも数千冊はあります。本好きの人にはたまらない環境でしょうが、僕はそれほど本が好きではないし、しかもここ4年近く原因不明の強い眠気やだるさがあり、かといってどっしり腰を下ろすほどの余裕はありません。

しかしこの1ヶ月ほどで2冊の本を読みました。谷崎潤一郎の「痴人の愛」と三島由紀夫の「潮騒」です。

「痴人の愛」は主人公の男がナオミという少女を自分の理想の女性に育てようとするのですが、思うようにはいかず結局ナオミの奔放さに振り回される話です。「潮騒」は男らしく無口な主人公の新治と初江の純愛です。

対照的なのは女性像で「痴人の愛」は大正時代、「潮騒」は昭和20年代だと思いますが、「痴人の愛」のナオミの方が現代的で「潮騒」の初江は古風です。この逆転現象は「痴人の愛」の舞台は都会で潮騒は人口千数百人の小さな島である事と小説を書いた当時の谷崎と三島の心情によるものでしょう。

どちらの作品もこれまでに何度も映画化され、「潮騒」は僕も観ていると思うのですが、今もし映画化するなら「痴人の愛」のナオミは少し前なら沢尻エリカ、今なら黒木メイサあたりが似合いそうです。「潮騒」の初江は堀北真希のような清純派女優がいいですね。

まあ、たまにはこうした文豪の作品を読んでみるのも悪くなかったです。

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