小倉が初めて将王への挑戦権を手にしたのはプロ入りから5年、19歳の時だった。相手は川野将王である。
川野は25歳。色白で端正な顔立ちをしている。小倉同様、10代から天才棋士と言われ続け、昨年、初めて将棋界最高峰である将王の座を手にした。今回が初防衛戦となる。
下馬評は川野優位が大勢だった。いかに小倉が強いとはいえ、まだ19歳。他のタイトル経験もない。それに対し、川野は将王位に就いたのを皮切りに、5大タイトルのうちの3つまでを保持していたのだから、無理もなかった。
この大方の予測に小倉は苛立っていた。育成倶楽部時代の一時期は、川野に憧れの気持ちを抱いたこともあった。しかし、川野との初対決こそ敗れたものの、2度目の挑戦で彼を倒した時、小倉は川野も大したはないと思い始め、憧れの気持ちは次第に失せていった。
川野将王対小倉六段の7番勝負は、2勝2敗のタイで迎えた第5局を小倉が制し、王手をかけたものの、初挑戦ということもあってか、6局目以降は小倉のミスが目立ち、結局、4勝3敗で川野が辛くも初防衛に成功した。
負けた日の夜、床に就いても小倉は寝付けなかった。ミスで負けた悔しさと、次は川野に間違いなく勝てるとの確信で、自らの興奮を抑えることができなかった。
川野は25歳。色白で端正な顔立ちをしている。小倉同様、10代から天才棋士と言われ続け、昨年、初めて将棋界最高峰である将王の座を手にした。今回が初防衛戦となる。
下馬評は川野優位が大勢だった。いかに小倉が強いとはいえ、まだ19歳。他のタイトル経験もない。それに対し、川野は将王位に就いたのを皮切りに、5大タイトルのうちの3つまでを保持していたのだから、無理もなかった。
この大方の予測に小倉は苛立っていた。育成倶楽部時代の一時期は、川野に憧れの気持ちを抱いたこともあった。しかし、川野との初対決こそ敗れたものの、2度目の挑戦で彼を倒した時、小倉は川野も大したはないと思い始め、憧れの気持ちは次第に失せていった。
川野将王対小倉六段の7番勝負は、2勝2敗のタイで迎えた第5局を小倉が制し、王手をかけたものの、初挑戦ということもあってか、6局目以降は小倉のミスが目立ち、結局、4勝3敗で川野が辛くも初防衛に成功した。
負けた日の夜、床に就いても小倉は寝付けなかった。ミスで負けた悔しさと、次は川野に間違いなく勝てるとの確信で、自らの興奮を抑えることができなかった。