それでも、小倉は自分が上座に着いたことは正しいと思っていた。対戦相手だった川野も「もし僕が先に来ても下座を選択していた。小倉さんは間違っていないのでは」とコメントしている。
しかし、新聞や雑誌の論調は小倉に厳しいものだった。それらを要約すれば「確かに小倉は強いが、もっと礼儀や伝統を重んじるべき」という事らしい。
将王の地位に君臨する棋士が、将棋界の第一人者という考えに異論を挟む者はほとんどいない。しかし、60歳を過ぎたベテラン棋士や将棋関係者の一部には、将王と金将を同等の地位とみなす考えが根強くあるのも事実だった。
小倉はそうしたベテラン棋士を軽蔑していた。彼らは「遊びも含めた人生経験が盤上に滲み出る」という考えを持っているものが多かった。小倉は口にこそ出さないものの、「くだらない考え」と決め付けていた。
どう遊ぼうが、どう生きようが、そんなものは関係ない。答えはもっと単純で、高い才能を持ち、それに加えてたゆまぬ努力をした者が勝つのが当然と小倉は考えていた。
しかし、新聞や雑誌の論調は小倉に厳しいものだった。それらを要約すれば「確かに小倉は強いが、もっと礼儀や伝統を重んじるべき」という事らしい。
将王の地位に君臨する棋士が、将棋界の第一人者という考えに異論を挟む者はほとんどいない。しかし、60歳を過ぎたベテラン棋士や将棋関係者の一部には、将王と金将を同等の地位とみなす考えが根強くあるのも事実だった。
小倉はそうしたベテラン棋士を軽蔑していた。彼らは「遊びも含めた人生経験が盤上に滲み出る」という考えを持っているものが多かった。小倉は口にこそ出さないものの、「くだらない考え」と決め付けていた。
どう遊ぼうが、どう生きようが、そんなものは関係ない。答えはもっと単純で、高い才能を持ち、それに加えてたゆまぬ努力をした者が勝つのが当然と小倉は考えていた。