ざっくばらん(パニックびとのつぶやき)

詩・将棋・病気・芸能・スポーツ・社会・短編小説などいろいろ気まぐれに。2009年「僕とパニック障害の20年戦争出版」

藤井聡太が見せた華麗さと泥臭さ、竜王戦

2018-11-26 07:04:29 | 将棋
将棋界は激動の一週間でした。藤井聡太七段は順位戦で増田康宏六段を下して全勝を守りました。しかし叡王戦では斎藤慎太郎七段に敗れ、先週は1勝1敗でした。

まず順位戦の増田六段戦は8手目に藤井七段が本人の意図はよく分かりませんが、本来銀を角の隣にまっすぐ上げる所を右斜めに上がりました。たった1マスの違いなのですが、この手がこの将棋の内容を大きく変えました。居飛車党の増田さんが、藤井君の挑発と取ったのか、あるいは冷静な判断だったのか飛車を振りました。予想外の展開になりましたが、藤井君が次第に優位を拡大し、最後は飛車を横に移動させ相手の飛車にぶつける華麗な手が出ました。これを見て増田六段は投了。この一局は増田さんの内容がよくなかったようですが、振り飛車に動揺することなく快勝した藤井君の冷静さが光りました。

叡王戦は若手実力者の斎藤慎太郎王座との対局。途中、斎藤七段が研究手の角打ちを見せてから、ペースを握り、そのまま最終盤へ。いいところなく土俵を割るかと思われました。しかし、ここから藤井君が驚異の粘り腰で最後は際どい勝負に持ち込みましたが、一歩及びませんでした。敗れはしましたが、華麗さだけでなく泥臭さも兼ね備えていることを改めて証明しました。増田戦の終盤は谷川九段的、斎藤七段戦は若き日の羽生竜王を思い起こしました。それにしても斎藤七段は強いですね。今、A級以外の若手棋士でA級で勝ち越す可能性が高いのは斎藤さんと藤井君くらいしか思い浮かびません。二人とも長時間の対局に強いですからね。

羽生竜王の2勝1敗で迎えた竜王戦第4局。羽生竜王が勝てば王手。広瀬八段としては追いつきたいところです。中盤までは羽生さんの深い研究が実り、大きくリードしましたが、終盤、広瀬さんが驚異の終盤力を見せ、逆転勝ち。これで2勝2敗のタイとなり、第5局が非常に重要な戦いになりそうです。

それにしても1日目に60手以上ですか。コンピューターソフトの影響が大きいのでしょう。そのソフト研究では羽生さんが広瀬さんを上回っているようです。第3局も広瀬さんは苦しい将棋を逆転しました。昔の羽生さんは、序盤から終盤までスキのない将棋で、特に終盤が強く、何度も逆転劇を演じてきました。しかし、今は序中盤型の棋士に変わってきたように思います。序盤、中盤に関してはソフト研究の成果で羽生さんの長い棋士人生の中でも最高の状態でしょう。しかし、かつての終盤力がやや落ちてきたのは否めません。5局目以降も、羽生さんが中盤までどれだけリードを広げられるかが勝負のカギになりそうです。

NHK杯は谷川・森内・羽生という3人の永世名人のそろい踏みでしたね。非常に贅沢な放送となりました。次の20世永世名人は誰になるのか?3連覇中の佐藤天彦か、若き天才・藤井聡太か、あるいは・・・・
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