ざっくばらん(パニックびとのつぶやき)

詩・将棋・病気・芸能・スポーツ・社会・短編小説などいろいろ気まぐれに。2009年「僕とパニック障害の20年戦争出版」

柱にかかる時計

2019-07-15 19:31:24 | 
夜だった
自宅で多くの心が殺された
大きな音を立て白い箱車が迎えに来る
朝方、帰ってきた頃には
柱にかかる時計は数時間進んでいた

俺は生き残った心たちと外に出た
心が立てなくなっている
立ち上がろうとしても恐ろしく
すぐに手をついてしまう
這いつくばって帰ると柱時計は一回りしていた

四つ足の俺は世の中のスピードについていけず
後ろから次々と足音が聞こえ、すぐにその背中は遠ざかっていく
もう何周遅れなのだろう

家は帰るたびに少しずつ廃墟となり
時計だけが1年、10年、30年と秒針を響かせて進んでいる
単4の電池ひとつで
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする