二日前このへんで飛び降り自殺した人のニュースが流れてきた
血まみれセーラー濡れ衣センコー
たちまちここらはネットの餌食
「危ないですからはなれてください」
そのセリフが集合の合図なのにな
馬鹿騒ぎした奴らがアホみたいに撮りまくった
冷たいアスファルトに流れるあの血の何とも言えない赤さが綺麗で綺麗で
泣いてしまったんだ泣いてしまったんだ
何も知らないブラウン管の外側で
生きて生きて生きて生きて生きて
生きて生きて生きていたんだよな
最後のサヨナラは他の誰でもなく
自分に叫んだんだろう
「今ある命を精一杯生きなさい」なんて綺麗事だな
精一杯勇気を振り絞って彼女は空を飛んだ
鳥になって雲を掴んで風になって遥か遠くへ
希望を抱いて飛んだ
生きて生きて生きて生きて生きて
生きて生きて生きていたんだよな
最後のサヨナラは他の誰でもなく
自分に叫んだんだろう
サヨナラ サヨナラ
作詞・作曲 あいみょん。2016年11月発売。メジャーデビューシングル。
最新の統計で小中高生の自殺者数が過去最多を記録しました。これだけ少子化が進んでいる中で、異常であり深刻な事態です。「生きていたんだよな」の歌詞にも、その謎を解く手掛かりが潜んでいる気がしてなりません。
冒頭からしばらくあいみょんのセリフが続きます。
「危ないですからはなれてください。そのセリフが集合の合図なのにな」。まさにその通りで、状況が目に浮かびます。
「馬鹿騒ぎした奴らがアホみたいに撮りまくった」
現代社会への強烈な風刺です。我以外はみな風景。まさに風景のように女子高生の死体を撮りまくる愚かさ。
「生きて生きて生きて生きて生きて、生きて生きて生きていたんだよな。最後のサヨナラは他の誰でもなく、自分に叫んだんだろう」
あいみょんのストレートな思いが伝わります。正解かそうでないかは、死んだ彼女にしか解らないけれど、想像することに意味があるのだと思います。
「今ある命を精一杯生きなさい、なんて綺麗事だな」
ここは難しいところです。しかし、誤解を恐れていたのでは歌詞や詩は書けません。
最後の「サヨナラ、サヨナラ」が切なく響きます。
改めて凄い歌詞です。もしかしたら、今のあいみょんには書けないかもしれない。二十歳そこそこの感性。まだ何者でもないが故の強み。出来ればあいみょんにはこのように社会を風刺する歌詞も書いてほしい。誰にでも書けるというものではないですから。
子供は社会の鏡。彼らの自殺が何らかの社会の歪みを表しているのは間違いないでしょう。