十月十日(水)晴れ。
毎日、六時に起きる癖がついた。早寝早起きは三文の徳、と言うが語源は、「朝早く起きれば、健康にも良いし、それだけ仕事や勉強がはかどったりするので得をするということ。『三文』とは、一文銭三枚のことで「ごくわずかな」という意味。わずか三文だとしても、得るものがあるということで、朝寝を戒める意味を込めて使う。とのこと。減酒をしているせいか、目覚めがいい。
今読んでいるのが、『昭和の怪物 七つの謎』(保坂正康著・講談社現代新書)。その中で、印象に残ったのが五・一五事件で、青年将校に殺害された犬養毅首相の孫の犬養道子さんへの取材を元にして書かれた「犬養毅は襲撃の影を見抜いていたのか」と、二・二六事件の際にやはり殺害された渡辺錠太郎の娘で、襲撃された現場で、その一部始終を目撃した渡辺和子さんのエピソードである。私は、民族派として、五・一五事件や二・二六事件を支持する立場ではあるが、何か特別な過ちを犯したわけでもなく、私利私欲に走ったわけでもなく、その政治的な「立場」ゆえに殺害された人たちも尊敬する気持ちもある。
しかし、今回、遺族である犬養道子、渡辺和子の両氏のエピソードを読むにつれて胸が痛んだ。事件を盲信していた若い頃とは違い、歳をとり、それなりに勉強した結果でもあるかもしれない。渡辺さんは、学校法人ノートルダム清心学園理事長のポストについていたが、二〇一六年十二月三十日に学園内にある修道院にて亡くなられた。その死亡記事を読んだ記憶がある。
渡辺さんは、自身の「赦し」についてこう語っている。「私は自分の小さな世界の中でもいいですから、出来るだけ人を赦して笑顔で過ごしているのです。家族や友人への優しさ、そしてその延長としての優しさがなどが大切と言うことです」。しかし、渡辺さんは「二・二六事件は、私にとって赦しの対象からは外れています」。事件の時、渡辺さんは九歳。八十年が過ぎても、父が殺された二・二六事件は「赦し」の対象から外れているのである。とても重い言葉だ。是非、この本をご一読願いたい。行為者と被害者・・・。埋まることのない溝をどうすべきか。とても考えさせられた本だった。
毎日、六時に起きる癖がついた。早寝早起きは三文の徳、と言うが語源は、「朝早く起きれば、健康にも良いし、それだけ仕事や勉強がはかどったりするので得をするということ。『三文』とは、一文銭三枚のことで「ごくわずかな」という意味。わずか三文だとしても、得るものがあるということで、朝寝を戒める意味を込めて使う。とのこと。減酒をしているせいか、目覚めがいい。
今読んでいるのが、『昭和の怪物 七つの謎』(保坂正康著・講談社現代新書)。その中で、印象に残ったのが五・一五事件で、青年将校に殺害された犬養毅首相の孫の犬養道子さんへの取材を元にして書かれた「犬養毅は襲撃の影を見抜いていたのか」と、二・二六事件の際にやはり殺害された渡辺錠太郎の娘で、襲撃された現場で、その一部始終を目撃した渡辺和子さんのエピソードである。私は、民族派として、五・一五事件や二・二六事件を支持する立場ではあるが、何か特別な過ちを犯したわけでもなく、私利私欲に走ったわけでもなく、その政治的な「立場」ゆえに殺害された人たちも尊敬する気持ちもある。
しかし、今回、遺族である犬養道子、渡辺和子の両氏のエピソードを読むにつれて胸が痛んだ。事件を盲信していた若い頃とは違い、歳をとり、それなりに勉強した結果でもあるかもしれない。渡辺さんは、学校法人ノートルダム清心学園理事長のポストについていたが、二〇一六年十二月三十日に学園内にある修道院にて亡くなられた。その死亡記事を読んだ記憶がある。
渡辺さんは、自身の「赦し」についてこう語っている。「私は自分の小さな世界の中でもいいですから、出来るだけ人を赦して笑顔で過ごしているのです。家族や友人への優しさ、そしてその延長としての優しさがなどが大切と言うことです」。しかし、渡辺さんは「二・二六事件は、私にとって赦しの対象からは外れています」。事件の時、渡辺さんは九歳。八十年が過ぎても、父が殺された二・二六事件は「赦し」の対象から外れているのである。とても重い言葉だ。是非、この本をご一読願いたい。行為者と被害者・・・。埋まることのない溝をどうすべきか。とても考えさせられた本だった。