10月12日(水)曇り。芭蕉忌(時雨忌)
芭蕉は元禄七年(1694)の今日没した。享年51歳。絶句は有名な「旅に病んで夢は枯野をかけめぐる」。命日は「時雨忌」と名付けられている。時雨の多い季節であること、また芭蕉が時雨を好んで句作に用いたことにちなむという。好きな芭蕉の「時雨」の句は、「笠もなき われを時雨るるか こは何と」。時雨、秋の末から冬の初めにかけて、ぱらぱらと通り雨のように降る雨。
野村先生の句集『銀河蒼茫』の「秋の句」に、「拝啓と書いてしばらく聴く時雨」がある。「時雨」は様々の俳人の俳句に引用されているが、私が好きなのは、山頭火の「うしろすがたのしぐれていくか」。この句は旅を続ける自分自身が、降ったり止んだりする小雨の中を寂しげにとトボトボ歩く姿を詠んでいる。と解説にあった。
芭蕉のお墓は、滋賀県大津市の義仲寺にあるという。野村先生の『銀河蒼茫』の「秋」の「俳句日記」には、その義仲寺について少し触れている。そのお寺の住職でもあり俳人の斉藤石鼎氏の句集が『無韻と三上卓』。その出版の打ち合わせのために新勢力社の毛呂清輝先生が寺を訪ねたことや、お寺の復興に三浦義一先生や保田與重郎先生らがご尽力したこと、そして小林一茶の句に「義仲寺へ急ぎ候初しぐれ」という句があり、先生は「私も晴れて出獄の暁には、是非一度『急ぎ候初しぐれ』と洒落て見たいものだ」。とある。先生は、その後、義仲寺を訪ねたであろうか。
朝食は、ナスと豚肉の炒め物、筋子、モズクの味噌汁。昼は抜いた。夜は、カツオの刺身、クリームコロッケ、キャベツとカニカマのコールスロー。お供は「佐藤の黒」。酔狂亭にて独酌。