九月十五日(水)晴れ。※一日間違えて更新しました。
午後から大行社の執行部会議に出席。山口申、四宮正貴の両先生と共にご挨拶を述べる。三時過ぎに終了。直帰した。
民主党の代表者選びで、菅直人が小沢一郎に大差をつけて当選した。もちろん、こちとらカンでもビンでもどちらでも一緒。非日か反日を選ぶに等しい代表者選びなどにもとより興味は無い。正に蝸牛角上の争いである。
最近、また中国の古典詩を読み直している。漢詩の全集や古典詩のダイジェストを随分と読んだが、俗に辺塞詩と言うものが好きだ。辺塞とは、辺境にある防備のとりでのことで、遠く故郷を離れて、万里の頂上の果ての辺塞に赴く兵士の心情を詠んだものが多く、読む者の胸を打つ。特に唐代の辺塞詩が良い。王昌齢、岑参、李益そして李白、王維、白居易もいい。有名なのは王昌齢の「出塞」ではないか。
秦時の名月 漢時の関
万里長征 人未だ還らず
但だ竜城の飛将をして在らしめば
胡馬をして陰山を度らしめず
秦の時から照る明月、漢の時にもあった関所。はるばる万里の道を出征してきた私人は中々故郷に帰れない。いまもしあの盧竜城で飛将軍名をとどろかせた漢の李広にここを守らせたならば、えびすの騎馬にむざむざ陰山を越えさせたりはしないものを。(佐藤保訳)
私が個人的に好きなものは、岑参の「君聞かずや胡茄の声最も悲しきを」で始まる、「胡茄の歌、願真卿の使いして河隴に赴くを送る」と題した七言古詩。
胡笳曲送顔真卿使赴隴西 | |
君不聞胡笳聲最悲 | 君聞かずや胡笳の声 最も悲しきを |
紫髭緑眼胡人吹 | 紫髭緑眼胡人吹く |
吹之一曲猶未了 | 之を吹く一曲猶未だ了らず |
愁殺楼蘭征戊児 | 愁殺す 楼蘭征戊の児 |
涼秋八月蕭關道 | 涼秋八月蕭關の道 |
北風吹断天山草 | 北風吹断す 天山の草 |
崑崙山南月欲斜 | 崑崙の山南にて 月は斜めならんと欲す |
胡人向月吹胡笳 | 胡人月に向かって胡笳を吹く |
胡茄怨兮将送君 | 胡茄の怨みまさに君を送らんとす |
泰山遙望隴山雲 | 泰山遙かに望む 隴山の雲 |
邊城夜夜多愁夢 | 邊城夜夜 愁夢多し |
向月胡笳誰喜聞 | 月に向かって胡笳 誰か聞くを喜ばん |
「征戊の児」とは出征する兵士の事である。はるかシルクロードの果てに赴く、盟友の願真卿に対して贈った詩である現在の共産党政権下の中国は嫌だが、古(いにしえ)の中国は好きだ。漢詩を読んでいると、人生の別離、送別といった悲哀が感じられて心に沁みる。特に唐詩はそんな詩が多い。
夜は、酔狂亭にて月下独酌。肴は、札幌の石澤博文君の心づくしの「いくら」に「たらこ」とシラスおろし。