今日は日直で病院に出ている。施設入所中の88歳女性が意識障害(昏睡)で救急搬入された。認知症があるが、施設内を自力歩行していた。
昨日の午後6時ごろから自力歩行ができなっていた。呼びかけると返答はした。夜間は1時間おきに見回るそうだが、いびきをかきていたというので、意識が下がってきていたのだろう。今朝は職員が呼びかけても身体をゆすっても反応しないので、救急要請した。救急隊から意識レベルJCS200と連絡があった。血糖も測定したが110mg/dlと正常だった(既往に糖尿病はない)。
搬入時は痛み刺激にもまったく反応がなかったが、そのうち右上肢を曲げるようになった。バイタルは血圧が160/100mmHgと高めだが他は正常域だった。脳血管障害だろうと思われた。エアウェイだけ挿入して検査を行った。
頭部CTで頭蓋内出血はなかった。昨日午後6時からゆっくりと進行しているので、脳梗塞が疑われる。CTでわかるサインを探したがはっきりしない。脳血管の石灰化が目立ち、内腔はだいぶ狭窄している。脳循環は相当悪いはずだ。血液検査はHb10g/dlと貧血があり(以前もその程度)、他は若干血清クレアチニンが上昇しているが、電解質異常などの意識障害をきたす異常はなかった。
頭部MRIを行うことにした。他の患者さんを診ているうちに検査が終わった。拡散強調画像で新規の梗塞巣はなかった。とりあえず、拡散強調だけでいいと指示していたが、MRA以外は撮影してくれていた。経過をみると梗塞巣が出てくる可能性があるが、今のところ脳血管障害は否定的だ。
そのうち痛み刺激をしなくても左上肢を曲げたりするようになった。呼名に発語はないが、両眼をうすく開けようとする動きが見られた。意識が極めてゆっくりと回復している可能性がある。入院で点滴を継続して経過をみることにした。どこまで回復してくるか。
市内にいるのは義妹だけで、夫は数年前に亡くなっている。ひとり息子(独身)は東京にいて明後日の4日にならないと来れないという。義妹さんには入院後に脳梗塞がはっきりする可能性があることを伝えた。
昨日、精神科医・春日武彦先生の新著(対談本)をamazonで注文した。今日自宅に届いている。今日は病院に泊まって待機なので、明日帰ってから読むのが楽しみ。