なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

転送された急性腹症

2018年01月11日 | Weblog

 現在担当の入院患者数が31名で忙しい。今日は少し余裕があったので、入院患者さんのカルテ入力ができた。毎日はとても書けない。

 昨日内科外来を診ていると、地域の基幹病院の消化器内科医から連絡が来た。75歳男性が腹痛で救急搬入されたが、ベット満床で入院させられないので、当院にそのまま搬送したいということだった。外科で診てもらった方がいいかとも思ったが、まず内科で診てから相談することにした。

 下肢の血管の手術後で、普段は血管外科外来(大学病院から出張)に通院していたそうだ。その前々日夜から腹痛が出現して、救急外来を受診したが帰宅となった。前日朝に腹痛がでひどくなって、救急要請した。腹部造影CTや血液検査をして、点滴とおそらく鎮痛薬投与が行われたが、ベット満床で帰宅となった。その翌日に再度救急要請したという経緯だった。

 当院に救急搬入されて診察すると、腹部は膨満して全体に圧痛がある。percussion tendernessがある。38℃の発熱があり、洞頻脈になっていた。意識清明で血圧は正常域だった。腹部手術の既往はなかった。もともと便秘気味だが、今回は1週間排便がないそうだ。白血球増加(16000)とCRP上昇(12mg.dl)と炎症反応が上昇している。昨日の造影CTをみると、回腸の肛側で小腸壁の肥厚と腸間膜血管が太くなっているように見える。腹水はなかった。明らかな腸管の造影不良はなさそうだ。

 腹部手術歴がないので、絞扼性イレウスを考えたが、内ヘルニアになっていそうな部位は指摘できない。造影不良域がないので、NOMI(非閉塞性腸管虚血)ともいえない。

 外科医に相談して診てもらった。昨日のCTで決定的な所見がないが、腸間膜の動脈が少し巻いているようにも見えたが、whirl signとはいえない。造影CTを再検することにした。腹部立位X線で見るとイレウス像だが、昨日のCTと比べると上行結腸から直腸まで大腸が拡張して便汁が貯留していた。消化液は流れているようだ。腸管の造影不良域はないようだ。腹水もない。開腹するかどうか、慎重に経過をみて決めるということになった。

 当院は稼働率が下がっているので紹介はありがたいが、できればもう少しわかりやすい患者さんの紹介を希望したい。

 

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