なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

動脈血栓塞栓

2018年01月06日 | Weblog

 昨日誤嚥性肺炎疑いで87歳女性が施設から救急搬入された。クリスマスころから発熱・食事摂取低下があり。施設で点滴と抗菌薬投与をしていた。心房細動があってワーファリンを内服していたが、それもできなくなった。もともとのADLが認知症・寝たきり状態で介助でやっと食事摂取できるというくらいだった。

 搬入されて検査をすると、確かに誤嚥性肺炎があったが、意識低下と左下肢のチアノーゼ・冷感の方が問題だった。意外にも腎機能障害がなく、造影CTを行った。左大腿動脈が閉塞している。施設では当日朝に下肢の色が悪いのに気付いたそうだ。血管外科医に診てもらったが、下肢の状態からはもっと前からの閉塞らしい。総合的に判断して切断術やカテーテル治療はむずかしいとなった。

 左腎臓に楔状の陰影欠損があり、腎梗塞をきたしている。腸間膜動脈に明らかな閉塞は指摘できないが、結腸壁の浮腫と腹水貯留もあり、末梢の方での閉塞が疑われる。右頸動脈の閉塞もあり、MRIまでは撮らなかったが、広範囲な脳梗塞をきたしているはずだ。

 保存的に経過をみることになったが、予後は当然悪い。心房細動で治療していて、抗凝固薬を内服できなくなった時にはどうしたものだろうか。ワーファリンは半減期3~4日でDOACは12時間なので、それ以上服薬できないと血栓が生じるそうだ。すぐ病院に連れてきて注射薬を使うかと言われても現実的には難しだろう。心房細動は怖い。

 

 

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