なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

腸閉塞

2019年09月03日 | Weblog

 昨日内科外来に高血圧症・発作性心房細動・心不全などで通院している88歳男性が腹痛で受診した。前日の昼から症状が続いているが、経過をみていたそうだ。

 この方は前に診ていた内科の若い先生(退職して他の病院に移動)が診ていて、引き継いだ患者さんだった。両下肢の浮腫が完全にはとれず、心不全症状だけとは言い難い。心気的な訴えも多く、抗うつ薬(リフレックス)も処方されていた。認知症もなく、心気症がむしろ長生きにつながっているような方だ。

 腹部は膨満していた。臍部周囲に圧痛があるが、反跳痛・デファンスはない。若いころの虫垂炎手術の既往があった。嘔気・嘔吐はなかったが、腹痛が出現してから排ガス・排便はない。

 腹部造影CTは腎機能を確認してからとして、まず腹部単純X線で確認した。小腸ガスが描出されて、ニボー(鏡面像)形成がある。腎機能は軽度の障害があるが、造影はできるくらいだった。

 CTでは小腸が広範に拡張して消化液貯留を認める。既往からは虫垂手術の回盲部付近での癒着性腸閉塞だが、むしろ胃背側で小腸が引き伸ばされているようにも見える。腸管壁は造影されていて明らかな虚血はないようだが、腹水貯留がある。

 腸閉塞として外科医に診てもらった。保存的か手術かと言っていたが、イレウスチューブで1日経過をみることになった。今朝は外科医から、改善しないので、今日手術すると言われた。内ヘルニアになっているのではという。

 高齢ではあるが、きっと乗り切って良くなると思う。以前から抗凝固薬(エリキュース)を内服しているが、昨日は食事摂取できないので、朝から飲んでいないかった。夕方なら手術できると思ったが、外科医としてはいやだろう。腹部所見が軽度で、腸管壁の造影不良域がないこともあるが、1日経過をみたのは抗凝固薬のこともあるのかもしれない。

 昨日の心電図は洞調律だったが(抗凝固薬も内服していた)、腹部所見が軽いことから、上腸間膜動脈閉塞症も気になっていた。心房細動があると何かと面倒だ。

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする