内科医院から腎盂腎炎疑いの75歳女性が紹介されてきた。
悪寒戦慄がして、その後微熱が続いてた(10日前というが?)。1週間前の9月2日に腹部違和感(正確に覚えていないが、左下腹部?)があって、ふだん高血圧症で通院しているクリニックではなく、胃腸科の先生の医院を受診して、タケキャブが処方された。
9月7日(土)に熱感を感じて、同医院を受診した。尿混濁があり、膀胱炎症状はないが、抗菌薬内服(メイアクト)が処方された。昨日の8日(日)に38℃の発熱があり、今日また受診した。7日に行った血液検査の結果が、白血球31300・CRP27と著明な上昇を認めた(よく知っている先生で、驚いた顔が目に浮かぶ)。
当院受診時は、意識清明で体温37.0℃以外はバイタルサインに問題はない。診察しても腹部所見・CVA tendernessはなかった。尿混濁は軽度で、白血球11500・CRP13.3と軽減している。
当初不明熱としての検索を考えていたが(数か月前に抜歯歴とか)、これは尿路感染症だろうと判断された。メイアクト100mgを内服しても、第3世代経口セフェムの中でもbioavailabilityが20%弱の薬だ。尿路以外の細菌感染症に効く気がしない。
肺炎はなく、心エコー(経胸壁)でも明らかな疣贅はなかった。尿所見も混濁の程度は軽減していた。一人暮らしということで、軽快していても入院が好ましいと思った。
画像検査で尿路閉塞の有無をみたが、腹部エコーで左水腎症を認めて、尿管結石があった。閉塞性腎盂腎炎だった。さてどうするか。当院入院で抗菌薬を投与するのもあるが、やはり尿路閉塞の場合は泌尿器科紹介だ。
地域の基幹病院に連絡すると、地域医療連携室の方から、泌尿器科の外来は今週いっぱいとのことで、直接泌尿器科の先生に相談して下さいという(予約枠をオーバーしているので、直訴して直接予約をもらって下さいということ)。
泌尿器科医に相談すると、明日の外来に紹介して下さい、と引き受けてくれた。ありがとうございます。外来で尿管ステントを入れて、入院にすると言っていた。今日は外来でセフトリアキソンの点滴静注をした。500mlの点滴もしていたが、時間がかかると家に帰って明日の準備ができなくなると言われて、半分で抜去した。(抗菌薬内服があり、尿培養と血液培養2セットは提出したが、多分出ないだろう)
経過からは閉塞性尿路感染症で敗血症性ショックになってもおかしくない状況だが、メイアクトで踏みとどまっていた、というところか。尿路感染の場合は経口第3世代セフェムでもいけるものだ。血液中の濃度は低いが、尿路には濃い濃度で入っていくためだろう。