なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

ジェイゾロフト友の会

2019年09月04日 | Weblog

 8月初めに、熱中症疑いの91歳女性が、高血圧緊急症として67歳女性が、それぞれ救急吸搬入されて入院した。

 91歳女性は、高血圧症・心不全で地域の基幹病院循環器内科に通院している。当院の循環器科がなくなった時期に、最後に残っていた先生が、心不全増悪で入院して軽快退院したばかりということもあって、紹介していた。

 ずっと以前からうつ病として、市内の精神科医院にも通院していた。四環系のセチプチリンマレイン酸塩(テシプール)が処方されて、症状軽快して数十年内服していた。最近うつ症状が悪化して、それまでの2錠分2から3錠分3に増量されていた。

 数日点滴したが、食べられない(実際はある程度食べている)・身体がだるいなどの訴えが続いた。熱中症の要素が加わっていた可能性はあるが、うつ病の悪化そのものと判断された。

 四環系だけでは改善しないので(主に鎮静効果)、SSRIを開始することにした。ジェイゾロフト25mgから開始して、訴えは同じだったが、少し表情が良くなってきた(しかめっ面が和らいだ)、声量も少し上がっている。2週間経過して50mgに増量した。年齢的にはここまでだと思う。

 通院している精神科医院は以前は病院で入院も診ていたが、無床化して医院になったので入院はできない。市内には別の精神科病院があるが、相当精神科的な問題がないとなかなか入院させてもらえない。

 もう一人の67歳女性は、頭痛・めまい・嘔気で救急搬入されて、血圧210/120と高値だった。内科医院から、アメジニウムメチル硫酸塩(リズミック)が処方されていた。低血圧と言われていたという。

 ニカルジピン静注を1回だけ使用して、血圧160程度になり、経過観察のため入院にした。リズミックを中止しても血圧は160前後で推移して、むしろ高血圧症だった。

 入院後、嘔気は治まって食事摂取も良好だったが、倦怠感・頭重感・めまいを訴え続けた。そして言い方は「立ちくらみがする」だった。おそらくかかりつけの医院を受診する度に、「立ちくらみがする」と執拗に訴えたことによる処方だったようだ。

 降圧薬はCa拮抗薬(ベニジピン)で開始して、ARB(テルミサルタン)を追加して血圧120程度に落ち着いた。

 表情は暗く、一人暮らしの不安を訴えた。日中寝てばかりいて、トイレ以外は動こうとしない。うつ病としての愁訴と判断された。ジェイゾロフト25mgから開始して、少し起きている時間が長くなってきた。少し表情も以前よりはいい。2週間後に50mgに増量した。

 高齢者の老年期うつ病では、精神科受診を希望しないこともあり、ジェイゾロフトを使用して経過をみている。

 

 SSRIとしては、フルボキサミン(デプロメール、ルボックス)は最初に処方した数名がいずれも消化器症状の副作用が出たこともあり、使用していない(副作用の消化器症状がSSRIの中で最も高率)。パロキセチン(パキシル)は出始めのころにけっこう使用していたが、現在はずっと使用している1名だけで新規には使用していない(離脱症状が高率)。

 SSRIとしては、サルトラリン(ジェイゾロフト)をもっぱら使用している。副作用としての下痢が問題になるが、精神科医以外の医師にとって使用しやすい薬だ。25mgから開始して、50mgまで増量するがそれ以上にはしない。そこまでで効果がなければ精神科医紹介としている。

 エスシタロプラム(レクサプロ)は最も忍容性が高いそうだが、QTc延長の副作用があり、使用していない。デュロキセチン(サインバルタ)は、癌患者の緩和ケアなど疼痛性障害に対して使用することが多い。20mgで開始して、40mgまでしか増量してことはない。

 ということで、SSRIはジェイゾロフトとサインバルタだけ使用している。

 

 

 

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