土曜日に医学書院本社で開かれたPOCUSのセミナーに行ってきた。呼吸器・腹部・循環器の各分野のレクチャーとハンズオンで、計5時間のなかなか充実した内容だった。エコーはポケットエコー活用セミナーなので、GEヘルスケアVscanだけを使用した。(WiFiで大きな画面に表示されたが、途中から不具合でVscanの画面だけを見るようになった)
病院では内科用のエコーがなく、使用する時は救急外来か外科病棟から借りて来るしかなかった。院長が不憫に思ったのか(?)、内科用にVscanを買ってくれたのでちょうどよかった。聴診器のように使いこなせるようにしたい。セミナー代は8000円と安かったが、Vscanの宣伝を兼ねるからだろう。
医学書院本社は文京区本郷で水道橋駅から歩いて10分くらい。東京駅から中央線で行けるので便利だ。立派なビルで、たぶんこれまで医学書院の本は100万円以上購入しているので、感慨深く見てきた。
水曜日に隣町の町立病院から血糖高値の90歳女性が紹介されてきて、内科の若い先生が診察していた。
そちらの病院に糖尿病・高血圧症で通院していて、今年の4月まではHbA1cが6%台だった。6月にHbA1c7.8%まで上昇したが、ジュースなど甘いものは控えましょうというくらいの食事療法でみていたそうだ。
今回は食後血糖618mg/dlまで上昇して、HbA1c9.5%だった。口渇・多飲・多尿はあるが、意識清明で食事摂取もちゃんとできている。尿ケトン体は陰性。高浸透圧高血糖症候群とも言い難い。
画像では膵癌は指摘できなかった。CEAは正常域・CA19-9が軽度上昇で、膵癌は今のところ否定的だった(要再検)。血中Cペプチドと抗GAD抗体の外注検査を提出した(緩徐性進行Ⅰ型糖尿病のチェック)。
眼科(当方の同級生)に通院していて網膜症の問題はなかった。入院してインスリン強化療法が初期量から開始された(計1日12単位)。DPP4阻害薬も併用する。あとはインスリン量を調整して、年齢を考慮して適切な範囲に調整する。
実は、この患者さんは7月末から9月初めまで、胸椎圧迫骨折で当院整形外科に入院していた。入院時検査ではHbA1c9.2%だったが特に内科に相談はなかった。かかりつけの病院から糖尿病薬が処方されていなかったので、気にしなかったのだろうか(内科で軽度の骨折を見逃すのといっしょ?)。
入院後、血糖コントロールだけのはずが、翌日に心窩部痛を訴えた。炎症反応上昇と肝機能障害を認め、腹部エコー・CTで胆嚢結石・胆嚢炎と診断された。次の日には腹痛が軽快したが、肝機能障害が悪化した(胆道系酵素上昇が目立つ)。総胆管結石が疑われたが、MRCPでは胆道系に異常はなかった。
手術を考慮して外科に転科になったが、十二指腸の傍乳頭憩室があり、Lemmel症候群と判断された。胆道系の内視鏡治療ができる地域基幹病院消化器内科に依頼して、連休明けに転院予定となっていた。