なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

置換弁の細菌性心内膜炎?

2019年09月13日 | Weblog

 昨日、内科新患担当の先生(大学病院からバイト)から、68歳男性のことで相談された。1週間前から熱感(体温測定はしていない)・食欲不振があって受診していた。

 炎症反応は白血球7100(普段は5000台)・CRP23.4。慢性腎不全で腎臓内科外来(大学病院の先生)に通院していて、透析を考慮する時期になっている。血清クレアチニンは5mg/dl台だが、脱水症傾向で6.69mg/dlになっていた。後で追加した凝固検査でDダイマー3.0・フィブリノーゲン1172(こちらは炎症を反映)だった。

 昨年10月に心臓血管センターのある専門病院で大動脈弁置換術を受けていた(生体弁)。歯科受診はしないように言われていたそうだが、齲歯は自称いっぱいあるという(歯肉腫脹はない)。

 5日前から左肩痛で肩が上がらないという。肩関節は若干の熱感くらいで、腫脹・発赤はなかった。むしろ昨日の朝から右手関節痛があり、こちらは発赤・腫脹・熱感がある。手背まで発赤していたので確認したが、蜂窩織炎ではなく、関節炎だった。この影響も考慮された。

 胸部X線に加えて胸腹部CTも行ったが、肺炎はなく、腹部にも腎嚢胞以外に異常はない。関節X線も追加したが、関節内石灰化はなく、関節は案外きれいだった。

 血液培養2セットと尿培養を提出した。入院でと言ったが、車は代車で来ていて、家に誰もいないので帰宅して翌日入院するという。セフトリアキソン1gとソルデム1の500mlを外来で点滴した。

 今朝になって、細菌検査室から連絡が来て、血液培養2セットからグラム陽性球菌が検出されたという。菌名と感受性は早くて明後日には判明するそうだ。

 昨日の心エコーを循環器科Drに診てもらうと、大動脈弁に疣贅があるかもしれないという。確診には経食道エコーが必要になる。置換した大動脈弁の細菌性心内膜炎疑いとして、手術をした病院に連絡した。救急外来で診てくれるというので、さっそく家族に車で向かってもらった。

 今日改めて手足・結膜を見たが、残念ながら敗血症性血栓は指摘できなかった。

 

 

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