なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

ウイルス感染とは思ったのですが・・・

2019年09月25日 | Weblog

 先週の金曜日に内科医院から高熱の17歳男性が紹介されて、内科の若い先生(地域医療研修の内科専攻医)が対応した。その日は帰宅して連休明けに再受診予定としていた。

 発熱・食欲不振が続いて、土曜日に救急外来を受診した。日直の先生(バイトの外部医師)が診察して、家族の希望もあり、入院となった。ちょうど内科当番の若い先生が担当になった。

 先週の月曜日からの発熱になる。初日は37℃台だが、2日目からは39℃台になった。発熱以外の特異的な症状はなく、食事摂取量は低下している。

 咽頭の症状・所見はなかった。白血球2400・血小板12.8万と白血球減少・血小板減少があり、CRPは4.4の軽度上昇、軽度の肝機能障害(AST 61・ALT 43・ALP 244・γ-GTP 40・LDHv405・総ビリルビン1.3)を認めた。リンパ球の比率は21%で異形リンパ球0%だった。腹部CTで肝脾腫がある。

 伝染性単核球症を考えたくなる症例ではある。昨日相談された。訊かれたのは、抗菌薬を入れてしまったのですが、まずかったでしょうかというものだった。

 ウイルス感染症だろうとは思ったそうだ。入院後も翌日も40℃の発熱だったので、感染巣は確定していないが抗菌薬を開始していた。血液培養2セットは提出していたので、その点は良かった。

 敗血症性塞栓もないが、心内膜炎の疑いもないとはいえないので、培養提出後ならば許容されるのではないか。むしろ3連休中だったことが大きいかもしれない。月曜日の入院だったら、他の先生方にも相談できるし、1日1日いっしょに経過をみていける。

 

 昨日(発症後1週間)には解熱傾向があり、食事摂取も改善していた。白血球3700・血小板16.7万と軽快して、2日後に6.4まで上がったCRPも3.5になっていた。異型リンパ球5%だった。肝機能はほぼ同程度だった。臨床的には明らかに改善している。

 HBV抗原・HCV抗体は陰性で、IgM-HBc抗体・IgM-HAV抗体・IgA-HEV抗体、EBV・CMV感染のマーカーは外注なので、まだわからない。咽頭所見に乏しいが、年齢的にはEBVだが、全部陰性で「名もなき夏風邪ウイルス」になるかもしれない。

 感染症の先生から聞いた話では、「まったく分からない時は血液培養2セットなど培養検査を提出したうえで、セフトリアキソンで経過をみる」、というのがある。

 緒事情をかんがみて、抗菌薬使用は絶対ダメだったとはいえない、と答えた。ただ、EBV感染だからABPC/SBTの使用はまずい。幸い発疹は全く出ていないが。

 さて正解は何だろう。

(後日記)

 EBV-IgM抗体偽陽性(±)・EBV-IgG抗体陰性・EBNA陰性で、微妙だがEBV感染のようだ(再検しないと確定できない)。CMVは未感染で、肝炎のマーカーはいずれも陰性。 

 

コメント
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