今週は「本当は教わりたかった ポータブル胸部X線写真の読み方」(MEDSI)を読み返していた。
この本にも記載されているが、重症度の高い酸素吸入や持続点滴をしている患者さんでは、ポータブル胸部X線で評価する。それでわからないと、安易にベットでCT室に下ろして胸部CTで確認してしまう(重症過ぎる時は移動自体が危険でできない)。それはポータブルX線写真を読み込めていないから。
この本はポータブル胸部X線の読影について、コツが詳しくわかりやすく記載されている。
放射線科で撮影する胸部X線は基本的に立位だが、ポータブル胸部X線は臥位になる。臥位での胸水貯留すなわち水の貯留と、気胸すなわち空気の貯留が詳しく記載されている(この本のウリ)。
臥位では、水は一番低い位置である肺底部から貯留して、肺の周りを這うようにして頭側および腹側に楔状に進展する。胸水は、傍脊椎線の消失→下行大動脈の不明瞭化→肋骨横隔膜角の鈍化→心辺縁の不鮮明化→Apical capping→大動脈弓の不明瞭化、の所見になる。
臥位では、胸腔内に漏れ出した空気は胸腔の中で一番高い位置である尾側の腹側に溜まり始める。気胸は、肺底部の透過性亢進(basilar hyperlucency)や肋骨横隔膜の深淵化(deep sulcus sign)で認識する。臥位の撮影で、立位胸部X線で見るような肺尖部のvisceral pleural lineが観察される時は相当気胸が進行している。
この本の内容は呼吸器内科医でもあまり知らないんじゃないだろうか。臥位での胸部X線読影の話は聞いたことがない。