月曜日に入院した新型コロナウイルス感染症の81歳女性は、入院後すぐから酸素飽和度が低下した。
地域の基幹病院消化器内科に自己免疫性肝炎で通院していた。右肩の痛みがあり、可動域制限があった。同院の整形外科で肩関節の手術をすることになり、4月9日に術前検査としての新型コロナPCR検査を受けた。
その日38℃の発熱が出現していた。予約なしで同院は受診できないので、内科医院を受診して、経口抗菌薬(レボフロキサシン)を処方されていた。
PCR検査は陽性だった。結果的には発熱があって、PCR検査を受けて陽性となったことになる。
4月12日に保健所からの依頼で当院に入院してきた。肺炎だろうと予想していたが、胸部CTで両側肺野にすりガラス陰影が多発していた。
入院時も38℃の発熱があり、酸素飽和度は94%(室内気)だった。保健所の発症日判定は4月9日だったが、その数日前から発症して、高熱になったのがその日ではないかと思われた。
デキサメサゾンの投与は、発症1週間経過した後に使用することが推奨されている。翌日まで1日経過をみることにした。
しかし入院日の夜間から酸素飽和度が低下して、酸素吸入が開始されて、翌13日には4L/分になった。デキサメサゾンと抗菌薬(セフトリアキソン)の投与を開始した。
ステロイド投与で解熱はして、食事摂取にも問題なかったが、14日に酸素飽和度が低下して、酸素吸入が5L/分、6L/分となり、それでも酸素飽和度90%で、7L/分リザーバー付きになった。それだと94~96%になる。
酸素吸入増量とともに心電図モニターが装着された。最初は正常洞調律だったが、すぐに頻脈性心房細動になった。抗凝固薬とβブロッカーを開始した。
すでに新型コロナの重症度としては重症扱いになる。保健所に連絡した。直接、県の新型コロナ本部に連絡するよう指示されて、電話した。(事務の方から)病状を聴取されて、指示待ちとなった。
しばらくして、重症患者のコーディネートをしている先生(大学病院救急科の教授)から連絡が入り、直接病状を聴取された。
追って連絡が入ることになった。その後、地域の基幹病院に搬送するよう指示された。救急隊への搬送の依頼は保健所が行うそうだ。保健所が連絡した段階で受け入れは難しいという話だったが、県からの依頼で受けてくれたようだ。(中等症Ⅱ相当で、気管挿管・人工呼吸になりそうな患者さんがいるためという)
県内に新型コロナウイルス感染症を受け入れる病院では、病床が逼迫していて、本来は重症化した患者さんを受け入れる病院ではベットがなくなってきている。今回は搬送できて、患者さんにとっても病院にとってもラッキーだった。
時間外になった時点で、やっと搬送となった。救急隊が準備に時間がかかり(救急車のビニール張りや防護服着用)、先方の病院から催促の電話がきた。ちょうど救急隊が到着した時で、「申し訳ありません、たった今来ました」と報告した。
その後また連絡が入り、診療情報提供書と画像を入れたCDが来ていないと言われた。診療情報提供書をまずFAXで送った。
対応した看護師さんたちに確認したが、確かに救急隊に渡したという。結局、救急隊が先方の病院に渡さずに、救急車内に置いたまま帰ったことが判明した。救急隊の方で届けるそうだ。(まああの宇宙服みたいなもこもこの防護服をきているし)
他の90歳代の新型コロナの患者さん2名はそれぞれ、酸素吸入8L/分・6L/分で重症相当だが、人工呼吸器装着の適応ではないということで、最後まで当院で対応することになっている。