なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

血液培養2セットからグラム陽性球菌

2021年04月11日 | Weblog

 4月3日土曜日に、早朝に入院した患者さんを診に病棟に来ていた(肺炎として入院になったがリウマチ性多発筋痛症だった)。さらに土曜日の日中も入院があった(こちらはふつうの肺炎)。

 内科の若い先生が診ている89歳男性が40℃の高熱があると、病棟の看護師さんから報告があった。入院5日目の方だった。

 3月初めから3月24日まで肺炎で入院して、昨年度当院に勤務した内科の若い先生(自治医科大学の義務年限)が担当していた。3月31日に発熱・下痢(軟便)で再入院になた。

 状況からクロストリディオイデス・ディフィシル感染症(CDI)が疑われたが、CD抗原・トキシンは陰性だった。肺炎はなく、尿路感染症ともしがたい。

 急性腸炎として点滴で経過をみていた。解熱傾向で便の性状も軽減した。前日の検査では入院時の炎症反応上昇が軽快していた。順調な経過と判断していたはずだ。

 

 胸部X線で肺炎はなかった。尿混濁があり、他に原因がなければ尿路感染症となる。血液培養2セットと尿培養を提出して、抗菌薬を開始した(セフトリアキソン)。

 月曜日にまだ発熱があり、ここは第4世代でスタートだったか、と思った。細菌検査室から連絡があり、尿培養からグラム陰性桿菌、血液培養2セットからグラム陽性球菌が出ているという。

 グラム陽性球菌?。中心静脈カテーテルは挿入されていない。どこから入ったか不明だった。抗菌薬について相談された。グラム陰性桿菌に対してはメロペネムに替えたいという。グラム陽性球菌に対してはバンコマイシンを使用することにした。

 その後、尿培養からはSerratia marcescensが検出されて、カルバペネム耐性だった(第4世代セフェムも耐性)。アミノグリコシドとニューキノロンには感受性がある。クラビット(レボフロキサシン)に変更した。

 血液培養2セットからはStaphylococcus haemolyticus(MRS)が検出され。こちらはバンコマイシンが感受性がある。

 セラチアは耐性菌だったのは想定外だが、尿路感染症としてあり得る。血液培養の菌はいったいどこから侵入したのだろう。抗菌薬変更で、患者さんは解熱してきた。

 

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