昨日の夕方に、駅で転倒して頭部を打撲した85歳女性が救急搬入された。救急当番だった内科の若い先生が対応した。
自宅のある県庁所在地から電車で当市に来て、転倒して左後頭部を打撲した。めまい(浮遊感)がして、救急要請した。意識消失はなかった。
搬入時、意識清明で神経学的所見はなかった。バイタルはむしろ血圧高値だった。ふだんは高血圧症・糖尿病・脊柱管狭窄症・骨粗鬆症で通院している。
頭部CTで左後頭部にこぶができているが、その部位の脳所見はない。体側の右前頭部の濃度が粗雑になっているように見える。
頭部MRIで確認していて、薄く硬膜下血種が形成されていた。さらに右前頭部に低濃度と高濃度のまだらな病変があり、脳挫傷が疑われる。
当市にはたまたま来ただけなので、居住地にある医療センター脳外科へ搬送となった。診療情報提供書には保存的治療になると思われるが、脳外科で診ていただきたいと記載していた。
直撃損傷coup injury(外力が直接加わった脳損傷)ではなく、対側損傷contrecoup injury(外力が加わった部位と反対の部位に生じる脳損傷)になる。
今年度来られた内科の若い先生は自治医大の義務年限6年目なので、診療で訊かれることはまったくない。昨年度の3年目の先生だと、いったんは相談してから対応していた。
放射線科の読影レポートは、単に硬膜下血種とだけあった(大学病院放射線科の遠隔診断)。この画像だと、脳挫傷があると思うが。