別の内科の先生が外来で診ていた78歳男性が一気に腎機能が悪化した。
高血圧症・糖尿病で通院していて、血圧・血糖は安定していた。糖尿病はDPP4阻害薬(トラゼンタ5mg)とメトホルミン500mg/日で、HbA1cが6.0%前後だった。高血圧症はARB(アジルバ20mg)とCa拮抗薬(アムロジピン2.5mg)と標準的な処方だった。
腎機能は1月が血清クレアチニン1.15mg/dl、2月が1.45mg/dlで、3月が3.12mg/dlと上昇した。高蛋白血症もあった。腎臓内科外来に来ている先生(大学病院から出張)に相談した。
血清免疫電気泳動で多発性骨髄腫と診断された。血液内科への紹介を予定していたが、2週間後に血清クレアチニンが15.01mg/dlと一気に悪化した。
急遽、入院で緊急透析用のカテーテルが挿入されて、血液透析が開始された。1週間で透析が軌道に乗ったところで、大学病院血液内科へ転院予定となり、担当医も一息ついたところだった。
ところが、この週末に40℃の高熱が出てしまった。血液培養を採取して、抗菌薬を開始された。カテーテル関連血流感染症のようだ。転院延期になったが、汎血球減少症もあり、原疾患の治療を早期に開始する必要がある。解熱後は早急に大学病院にお願いしたい。
「骨髄腫腎myeloma kidney」という言葉は有名だが、実際に見たのは初めてだ。