なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

不随運動のような?

2021年04月09日 | Weblog

 昨日の昼に、救急隊から搬入要請がきた。市役所の総合福祉センターに来ていた40歳代前半の女性が、ぴくぴくと不随意運動をしているという。

 けいれんという言い方をしなかったのは、意識があって、発語もあるためか。もともと精神遅滞があるそうだ。精神科通院歴があり、てんかんの有無が気になった。

 来てみないとわからない。午後の早い時間に行政依頼のPCR検査がかなり入っていて、新型コロナの患者さんが入院する予定もあった。すぐ来てもらうことした。

 患者さんは開眼していて、右下肢がけいれん様の動きをしていた。話かけると、子供のような声で答える。内容の簡単な会話しかできないのかもしれない。

 そのうち右下肢の動きが止まって、今度は右上肢と左下肢のけいれん様の動きが始まった。神経学的に合わない。少なくともけいれんではない。不随意運動というより、意識的な動きのようだ。特に薬は使わないで、疲れるのを待っていると、動きは治まった。

 

 市役所の職員が2名ついてきていた。それまで収入をどうやって得ていたのかわからないが、今回市役所では生活保護の手続きを進めることになったそうだ。未払いでライフラインは全部?止まっているという。

 ご本人とお子さん2人に精神遅滞があり、お子さん1名は施設に入所している。もう一人の大きい方の子供から家庭内暴力を受けていて、一時的にでもいっしょにしておけないという話だった。(夫に当たる人はいないのだろう)

 てんかんではなく転換性障害のような症状だが、一通り検査することにした。頭部CTは異常がなく、血液検査では鉄欠乏性貧血があり、以前から指摘されていた。

 精神科病院からFAXが送られてきた。それは昨年10月に地域の基幹病院救急科を受診した際に、診療情報として送ったもののコピーだった。

 診断名は、精神遅滞・不眠症・鉄欠乏性貧血・子宮筋腫(これは他院の診断だろう)とあった。処方は鉄剤とエチゾラム(デパス)のみだった。抗てんかん薬や抗精神薬はなかった。

 動いてじっとしていないので、入院するとすれば抑制が必要になる。そもそも本人が入院は拒否していた。市役所職員にいずれ婦人科精査が必要なことを説明した。鉄剤とビタミン配合剤(B1とB12を含む)を処方した。

 結局市役所の方で急遽一時的に入所できる施設に依頼して、子供(10代後半くらいか)と離すことになった。

 

 昨日の保健所依頼の新型コロナウイルスPCR検査の結果、5名が陽性だった。一昨日は4名陽性だったが、当院の一日当たりの陽性者としては新記録を更新した。

 当院のコロナ病床は4床で、4名が入院して満床になっている。

 

 

 

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