3月30日に記載した、心原性脳塞栓症で内科クリニックから紹介された69歳男性のその後の経過。
入院時検査の胸部X線で両側肺炎像を認めて、胸部CTで確認すると新型コロナウイルス感染症に特徴的なすりガラス陰影だった。コロナのPCR検査陽性と判明した。
感染病棟に入院していたが、特に肺炎の悪化はなくコロナとしては順調に経過した。日数経過とPCR検査再検(回復期リハビリ病棟の担当医からの要望)で感染病棟の隔離解除となって、禍福期リハビリ病棟に転棟した。
入院時にしか頭部画像検査をしていなかったので、特に出血性梗塞の有無を見るために、さっそく頭部CTを再検した。意識や神経症状の悪化はないので、出血性梗塞には至っていないとは考えていた。(抗凝固薬は継続投与していた)
頭部CTを撮影した放射線技師さんから、出血ではと言われたが、違うようだ。放射線科の頭部CT読影レポートでは、皮質に沿った高吸収域で層状壊死の所見とされた。
層状壊死は頭部MRI所見で確定するので、MRIも追加した。テキストにあるようなきれいな皮質に沿った層状壊死の像ではないが、おそらくそうなのだろう。出血でなければ問題ない。層状壊死は、T1強調画像・FLAIRで梗塞部の脳表が高信号に描出される。
患者さんは、認知力低下はあるが自力歩行可能で、連休明けに自宅退院予定だ。
「症例でたどる頭部MRI・CT 時間経過で画像はこう変わる」(金芳堂)は、題名の通り頭部MRI・CTの時間経過による画像の変化を記載している唯一の本で、わかりやすい。