なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

不安な新年度スタート

2021年04月01日 | Weblog

 医局秘書(派遣)さんから、3月末で転勤した若い内科の先生宛の診療情報提供書を見てください、と言われた。

 患者さんは急性膵炎・総胆管結石疑いの30歳女性だった。昨年11月に地域の基幹病院の消化器内科に転送していた。

 10月24日から心窩部痛・背部痛があり、2か所の内科医院を受診していた。11月9日に腹痛が増悪して、動くのも大変になって当院内科を受診した。

 検査では、炎症反応の上昇(白血球13900・CRP0.4)、肝機能障害(AST 379・ALT 428・ALP 306・GTP 487・総ビリルビン4.7)、血清アミラーゼの上昇(2165)を認めた。(経過が長いわりにCRPの上昇が軽度だった)

 腹部単純CTで膵臓の腫脹・周囲浸出液貯留、胆嚢内結石、総胆管拡張を認めた。総胆管結石は指摘し難いが、肝機能上昇・総胆管拡張・飲酒歴なし、からは総胆管結石による急性膵炎発症と判断される。

 転送後は緊急でERCPが行われて、総胆管結石を摘出していた。大量輸液・蛋白分解酵素阻害薬(ガベキサート・ウリナスタチン併用)・抗菌薬投与が行われた。

 処置の翌々日に腹部所見の悪化・炎症反応の悪化があり、腹部造影CT再検で膵2区域の造影不良を認めて、浸出液も腎臓下極以遠へ及んだそうだ。

 若年者の重症急性膵炎として、大学病院消化器内科に転送となっていた。幸いにも大学病院転院後は症状軽快して、約2週間で退院になった。(特別な治療はしていない、と言うか膵炎には特別な治療もない)

 その後大学病院の外来に通院して、12月に当地域の基幹病院に回された。外来経過良好でこの3月で終診になりました、という報告だった。

 当院で対応したのは2時間くらいで、診断をして転送しただけなので、そんな経過になっていたとは想定外だった。

 

 内科の若い先生は、今日転勤先の病院に出勤したはずだ。今度の病院は当院よりもさらに小規模な病院で、やはりその地域の基幹病院からの療養転院を引き受けるような病院だった。自治医科大学の9年間の義務年限もけっこう大変だ。

 

 4月1日新年度がスタートした。当方は何も変わらないが、今年度の当院内科の体制は昨年度よりさらに手薄になる。事情は分からないが、院長先生はなぜか名誉院長扱いになり(定年ではない、権限をはずされた?)、院長不在状態になった。

 財政面でも運営面でも不安なスタートだった。

 

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