先週土曜日の早朝に発熱・四肢痛の83歳男性が救急外来を受診していた。
金曜日の当直は外科医で、朝(午前8時過ぎ)になってから連絡が来た。コロナの検査をした後に、検査したら肺炎があるという。入院にしてセフトリアキソンを開始したので、後は内科でみてくれ、ということだった。
「当直の深夜~早朝の内科入院は連絡なしで入院にして、こんな治療でお願いします」とマニュアルを外来に置くことにした。これまでも常勤医はわかっているので、朝病院に来た段階で、「入れておいたよ」と言われていた。
はっきりした記載がないと、いつ連絡するか、入院させていいのか迷うので明文化した。判断・対処に困る時は、すぐ連絡してもらってかまわない。
病院に行って、病棟の患者さんを診に行った。認知症のない、しっかりした方だった。呼吸器症状はない。白血球7600・CRP11.1と炎症反応は中等度の上昇だった。
胸部CTを見ると、両側肺の背側に淡い陰影があり、肺炎様にも見える。ただしうっ血というか、横臥した際に物理的に水分が背側に来ているようでもある。肺炎ではないのでは。
四肢痛が気になって、詳しく訊いてみた。2月半ばに歩行がつらくなったそうだ。本人は両下腿が痛いと言うが、下腿に所見はなく圧痛もない。整形外科クリニックを受診して、脊柱管狭窄症といわれた。理学療法で通ったが、効果はなかった。
3月30日に38℃の発熱があった。その後は37.2~37.5℃の発熱が続いていた。それまでできていた両下肢の挙上がつらくなった。
かかりつけの内科クリニックに連絡すると、リモート診療で症状を訊いて、経口抗菌薬(セフカペン)とカロナール500mg錠を処方されたが、効果はなかった。
両上肢を挙上しようるとすると、肩~両上腕が痛い。両上腕に軽度だが圧痛(把握痛)がある。下肢はやはり両下腿が痛いと訴えるが、下腿にはまったくがなかった。両大腿に把握痛はない。
発熱が始まる前から、寝返りや(ふとんに寝ていて)起き上がりがひどくなったので、ベットを購入していた。
症状からはリウマチ性多発筋痛症(PMR)を想定したが、合うところと合わないところがあり、確定し難い。
入院時に血液培養2セットが提出されていた。培養結果が出るまで、あるいは切りよく5日か1週間は、セフトリアキソンを継続することにした。抗菌薬併用からいいかと思って、プレドニンも開始した。
月曜の検査ではCRP6.2と低下していた。血沈85mm/時と高値で、Dダイマー2.8・血清フェリチン582(血清鉄は低下)と肺炎では出ないような検査値だった。
上肢の挙上が良くなって、下肢の症状もとれたという。もう少し、抗菌薬とプレドニン併用で経過をみることにした。PMRはmimicがいろいろあるので難しい。