4月7日水曜日に、新型コロナウイルス感染症の90歳女性を入院させてほしいと保健所から要請がきた。
4月2日に咳と倦怠感を訴えて、当院からはちょっと離れた町の医院を受診した。その後発熱も出て、7日に再受診していた。新型コロナウイルスの抗原定性検査で陽性と出た。胸部X線で右肺炎を認めるという。
抗原定性検査だけで(PCRなしで)決めていいのかと思った。コロナは両側肺炎になるので、右肺炎としたらコロナの肺炎らしくはない(片側性もあるが)。保健所としては、肺炎で入院が必要なので、抗原検査だけで決定としたそうだ。
胸部CTで確認すると、右肺には浸潤影があった。左肺の下葉背側には、すりガラス陰影があり、これはコロナらしい陰影だった。
画像からは、通常の肺炎+新型コロナの陰影のように見える。すりガラス陰影が広がってくると、すりガラスから浸潤影様にはなるが、左右差がありすぎる。通常の細菌性肺炎→新型コロナ感染、新型コロナ感染→通常の細菌性肺炎、新型コロナの肺炎そのもの、などが考えられる。
検査結果は、白血球4600・CRP3.4でDダイマー2.7・血清フェリチン363・LDH254と、いかにも新型コロナらしい結果だった。通常の細菌性肺炎があるとすれば、もっとCRPは上昇するのではないか。
入院時に38℃の発熱があった。酸素飽和度は94~96%(室内気)で有意な低下はなかった。通常の肺炎に対する抗菌薬で治療を開始した。
発熱が続き、8日には酸素飽和度が88%(室内気)と低下して、酸素吸入(2L/分)を開始した。9日金曜日の検査ではCRP3.9と、細菌性肺炎としては上昇が軽度に留まっていた。他のコロナに特徴的な検査項目も微増していた。
浸潤影自体もコロナの陰影なのかもしれない(琉球大学・藤田教授によれば器質化肺炎様の陰影)。抗菌薬にデキサメサゾンを併用して経過をみることにした。