新型コロナウイルス感染症で入院していた90歳代の女性2名は、先週金曜日の段階で酸素吸入10L/分(リザーバー付き)になっていた。
県内の重症者が増えている。県のコロナ対策本部に連絡したが、90歳代では通常の肺炎で重症化しても大抵は人工呼吸まではしないことから、重症例を扱う病院への搬送は難しいと言われた。
家族と相談して、酸素吸入とステロイド・抗菌薬・抗凝固薬などの投与で治療を継続して、心肺停止時はDNARの方針となった。
もし家族が大学病院での集中治療を望まれたら、直接コロナ対策本部の先生につないで相談してもらうつもりだった。1名の家族(複数の息子と孫)は医療関係者なので、希望されるかもしれない思ったが、そこまでは言われなかった。(ECMOまで希望されたらとも思った)
土日というか、金曜日の夜間にでも急変するだろうと予想されたが、何とか週明けまでもった。1名は下顎呼吸の状態で、昼過ぎに亡くなった。当院で新型コロナウイルス感染症の患者さんが亡くなったのは初めてになる。
入院時にはすでに上昇していたDダイマー・血清フェリチン・LDHがさらに増加していった。まさに重症化マーカーは正しいと証明する経過となった。
もう1名は少し軽快しているかもしれないが、まだまだ危ない状態は続いている。
本来当院は軽症から中等症までの対応で、重症化した場合は対応できる病院へ搬送となっていた。年齢までは考慮しないで方針が決められていた。ここまで県内の病院が逼迫すると、年齢を考慮した対応になってしまっている。
最近県内で新型コロナの90歳代の患者さんの死亡例が連日出ているが、どこまで治療していたのだろうか。
新型コロナウイルス感染症の患者さんが亡くなった時は、非透過性納体袋に収容して、消毒を行う。非透過性納体袋を納棺して、葬祭業者に依頼して火葬場まで搬送してもらう。火葬後の納骨作業は家族が行ってもいいようだ。
火葬の関係で明日葬祭業者が迎えにくることになった。一晩病院の感染病棟でお預かりする。家族はまだ濃厚接触者としての自宅待機期間になるので、別居の家族に対応してもらうことになる。