12月4日内科再来を診ていると、新患が多いので診て下さいと、61歳男性が回ってきた。糖尿病の治療を中断しているということだった。
5年前に急性心筋梗塞で地域の基幹病院に入院した。その時に糖尿病を指摘されて、糖尿病科に2~3か月通院したそうだ。その後内科クリニックに紹介されたが、すぐに中断してしまった。理由がお金がないということだった。
ずっと中断していて、どうして受診する気になったかというと、2~3か月前から左半身の不全麻痺があった。糖尿病としての口渇・多飲・多尿もありそうだが、それは気にしていない。
検査しようとすると、お金がないのでといわれた。頭部MRIは値段が高いので、すでに数か月経過していることもあり、頭部CTでと言ったが、それも受けたくないという。
胸部X線、心電図と血液・尿検査は行った。心電図は心室性期外収縮が単発であったが、あまりST-T変化は目立たない。PCIの成果だろうか。
随時血糖331mg/dl・HbA1c 11.0%だった。尿糖(4+)・尿蛋白(1+)だが、尿ケトン体は(-)。SGLT2阻害薬はケトアシドーシスが危惧され、DPP阻害薬とメトホルミン初期量くらいで治療開始するところだ。
入院して一時的にインスリンを使用するのが好ましいが、入院はできないという。では外来治療を始めましょうというと、福祉サービスを受けられるか役所に行くので、それからにしたいという。
院内処方ならば、その日に支払いしなくてもと伝えたが、また来るといって帰ってしまった。血圧も高いし、心筋梗塞の既往があるので、抗血小板薬・降圧薬も開始するつもりだったが。
この患者さんは内臓逆位がある。(2006年のCTが残っていて、腹部臓器も逆位だった)PCIは、かなりやりにくかったのではないか。