11月29日(水)は当直だった。午後4時45分ごろ、救急当番をしていた外科医(大学病院から応援=バイト)から、救急搬入があるのでよろしくといわれた。
隣町在住の慢性閉塞性肺疾患(COPD)の83歳男性が、低酸素を呈して搬入されるという。3月に当院に大腿骨頸部骨折後のリハビリで入院していた。
現在は市内のクリニックに通院している。11月20日に受診した時に、肺炎として抗菌薬内服(レボフロキサシン)が処方されているが、効果が出ていない。
訪問看護師さんが、血圧低下・酸素飽和度低下(70%)に気づいて、救急要請になったそうだ。搬入時は末梢循環が悪く、酸素10L/分リザーバー付きで90%前半になったり、測定できなかったりだった。血液ガスでは、PaO2が72.7、PaCO2が17.9。
血管も虚脱して見えにくかった。時間外になっていたが、日勤の看護師さん2名が残って手伝っていた。前腕の難しいところから点滴を入れようとして入らなかった。別の部位を勧めると、うまく入った。
胸部X線・CTで両側肺、特に右肺の背側に浸潤影を認めた。肺炎の範囲としてひどくはないが、もともと肺気腫で気腫性変化が目立つ。そこに肺炎が加わったので一気に悪化となった。肺炎による慢性閉塞性肺疾患の増悪だった。(喘鳴はない)
血圧は120くらいで保っていた。酸素はそのままで継続とした。患者さんは一見して老衰状態で、今月始めから食事摂取も低下していて、うまく軽快したとしても食べられないかもしれない。
朝まではとりあえず、もっていた。病室に見に行くと、酸素マスクを外していて(手で払ったようだ)、四肢がチアノーゼを呈していたので、急いで付け直した。
家族には人工呼吸器管理まではしないことで了解してもらっている。