11月26日(日)の日直の時に、施設入所中の32歳男性が職員に連れてこられた。精神遅滞と四肢の拘縮があり、ベット上では自分で動くことができるが歩行はできない。
11月22日から発熱があったが、呼吸器症状はなかった。内科医院を受診して、アセトアミノフェンが処方された。発熱が続いて同院を11月24ひに受診した。炎症反応の上昇があり、抗菌薬(レボフロキサシン)内服も処方された。
それでも発熱が続いての救急外来受診だった。症状が長引いていて、炎症反応からは細菌感染症が疑われる。胸部X線を撮る方が難しいので、最初から胸腹部CTにした。
右中葉に浸潤影があり、急性肺炎だった。ただ、陰影の濃さが気になった。日数はそれほど経過していないが、膿瘍の可能性を考えた。レボフロキサシンが効いていないのも気になったが、投与日数の問題かもしれない。
体格は良いいが、末梢静脈が見えにくい。喀痰培養はとれず、血液培養もあきらめた。ふだん明らかなムセはないそうだ。家族は遠方で来院はしないという。
入院でスルバシリン(ABPC/SBT)を開始した。3日目から解熱して、炎症反応も軽減した。炎症反応は増加しているが、白血球数11000・CRP3.9と所見の割に上がっていない印象があった。
少し長めの10日間投与とした。点滴が何度か抜けてしまって指し直しを要した。自己抜去というより、ベット上で動いてしまい、何故かうつ伏せスタイル(両膝は曲げて拝むような恰好が好みらしい)になっている。
体格が良く、看護師さんが仰向けにしようとしても頑として動かない。ポータブルX線撮影に来た技師さんもいったん帰って、仰向けになるのを待つしかなかった。末梢静脈からの点滴が難しく、看護師さんからはもうできません、といわれた。
解熱後は平熱が続き、炎症反応も軽快して(0.6)退院とした。ところが、施設で迎えに来る日に微熱があった。
気になったので、胸部CTで確認すると、浸潤影は縮小しているが、内部に液体とエアーを認める。大きくはないが、膿瘍化しているようだ。
抗菌薬内服(AMPC/CVA+AMPC=オグサワ)で経過をみることにした。退院後の夕方に施設から発熱38℃という報告があったが、抗菌薬の効果はすぐには評価できないので、そのまま経過をみてもらうことにした。
その後は37℃台になり、平熱になったので、予約していた1週間後に外来に受診した。血液検査ではCRP0.0となっていたが、そもそもこの患者さんはあまり炎症反応上がらない体質らしい。
胸部X線正面では陰影は大分薄くなっていたが、側面で見るとまだ残っている。
抗菌薬をあと10日間継続して、外来を再受診とした。