なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

急性心筋梗塞

2023年12月04日 | 循環器疾患

 11月29日(水)の当直の時に、午後5時半に搬入された呼吸困難の患者さん(肺炎による慢性閉塞性肺疾患増悪)を診ていると、別の内科の先生(もともとは消化器外科医)が救急室に顔を出した。

 後で訊くと、急性心筋梗塞の患者さんを地域の基幹病院循環器内科へ救急搬送してきて、その戻りだった。

 

 72歳女性がその日の午後3時に胸痛と背部痛を訴えて、外来を受診していた。前日の夜間から始まって、眠れなかったそうだが、朝まで我慢していた。

 午前8時過ぎに市内の内科クリニックを受診して、採血検査後に上部消化管内視鏡検査が予約された(1月に)。受診時にどういう訴え方をしたのかわからない。嘔気があるとも訴えたらしい。

 別居の妹さんに当院受診を勧められて、午後に当院に来たという経緯だった。ふだんは眼科医院に通院しているだけで、内科系の通院はない。

 心電図でV1-4に明らかなST上昇を認めた。血液検査では白血球7200・CRP0.3だった。トロポニンIが20728.5と著明に増加している。CK 2128・CK-MB 274・AST 173・LDH 721と筋原性酵素が全部上昇している。(受診した内科クリニックは末梢血・CRPは迅速で出て、生化学は外注のはず)

 胸部X線ではなく、胸部CTを検査していた(大動脈解離の鑑別か)。心嚢液が軽度に目立つ。単純CTだが大動脈解離はなかった。明らかな心不全の所見はない。

 検査後に救急室に移動して、点滴・酸素吸入を開始した。来院時は血圧が100ちょっとだったが、その後99/71mmHg、91/68mmHgと低下している。酸素飽和度は97%(室内気)だったが、顔色不良・末梢冷感を認めた。

 救急隊にそのまま搬送依頼というわけにいかず、先生も同乗しての搬送となった。先方の病院には無事着いて、当院に戻って救急室にちょっと顔を出した、というところだった。

 

 この先生は11月いっぱいで当院を辞めて、関東圏の病院に移ることになる。その日は勤務最終日だった。

 翌30日は挨拶周りをして、お昼には病院を出られた。200床弱の病院の院長先生になられる。世代交代が進んでいない病院でなかなか、と言っていた。持ち前の明るい人懐こい性格で、きっと何とかやっていかれるのだろう。

 

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