79歳男性がろれつが回らず、歩行できないと救急搬入された。救急隊はアルコール臭がしますとも言っていた。搬入された患者さんの第一印象は、酔っているだけだった。しゃべり方はもつれているが、多弁だった。言っている内容は飲み過ぎてすみませんというもので、異常ではない。念のため、一通り検査した。頭部CTは軽度の脳萎縮のみで硬膜下出血などの頭蓋内出血はなく、明らかな脳梗塞もなかった。MRIは動いてとれそうにない。血液検査ではγ-GTPが500だが、AST130・ALT80で、異常は異常だが、相当量飲んでいるので、そんなものだろう。焼酎の一番大きなペットボトル入りを愛飲しているらしい。一升飲むと言っていたが、正確にはわからない。朝から飲んでいて、家族内で問題にはなっていたが、どうすることもできずにいたというところだ。県内にアルコール依存の専門治療病院があるが、遠くて行けないだろう。そもそも本人に行く気がなければどうしようもない。社会的に復帰させたい中年の患者さんの治療を目的としているはずで、高齢者を扱ってくれるかどうかわからない。外来で2本点滴すると、しゃべり方も良くなって、歩けるようになったので帰宅とした。