昨日は地元の循環器懇談会の特別講演会で、帝京大学溝口病院第4内科の村川裕二先生が講演された。内容は実践的な不整脈診療の話だった。エッセイ風の循環器診療の著書を愛読しているが、話を聞いたのは初めてだった。 循環器科医に村川先生を講演で呼んでほしいとリクエストしたら、MRさんに話をしてくれた。講演依頼の多い先生なので、という話だったが、なんとか実現した。講演を聴いた後に、「循環器治療ファイル」にサインしてもらって、感激して帰ってきた。たぶん直接話を聴く機会はもうないと思う。
基幹病院脳外科から当院神経内科jへ脳出血後遺症の患者さん(70歳台女性)が転院してきた。すでにカルテはなくなっているが、画面上7年前当院内科に数か月の間だけ、高血圧症・糖尿病・高脂血症で通院歴があった。最後の検査は未施行になっているので、中断したようだ。今回脳出血で入院した時のHbA1cは15%となっていた、1か月後の今日の血液検査では11%になっている。体重が100Kgあったが、脳出血急性期の絶食と入院中の食事療法で、一気に改善してきたようだ。昨日から始まった血糖測定では食前血糖は110~120mg/dlになっている。アクトス15mg/日とメトホルミン1000mg/日にランタス12単位になっているが、入院して減量すれば、インスリンはやめられそうだ。リハビリをしているPTの話では、幸いに麻痺は軽いので、体重の問題はあるが、自力歩行可能で退院できる見込みという。
17歳女性が体重減少・下肢のつっぱり感で内科新患を受診した。高脂血症(脂質異常症)で内科クリニックに通院しているそうだ。血糖が500mg/dlでHbA1cが15%あった。親も糖尿病で治療していた。体重が100Kgあったが、10kg減少していた。2型糖尿病が早期に出現したものと判断された。食生活も甘い飲み物・果物・お菓子らしい。入院治療が好ましいが、高校2年生で、出席日数が足りなくなるので、できないという。とりあえず食生活を改善させて、外来治療を開始して、冬休みを待つしかない。通院しやすい糖尿病専門医の医院に紹介となった。
今日は消化器病学会の教育講演会に行ってきた。外科教授が会長なので、半分は外科手術の話になっていた。それで内容には期待せず、今年は消化器病の学会に全く行ってなかったので、単位がとれればいいというつもりだった。テーマは消化器癌の治療についてだが、思ったよりも興味深く聴くことができた。metabolic surgeryの話で、糖尿病の肥満症の患者さんにバイパス手術を行うと、減量前に血糖値が改善するそうだ。今入院している統合失調症があり、肥満度が増して血糖が悪くなっている40歳台女性に受けさせたいと思いながら聴いた。ただし、費用は自費で200万というから、払えないだろう。父親が糖尿病で透析を受けている。家にいるといくらでも食べてしまうので、定期的に教育入院させる予定だが、それでは良くならない。治療の工夫をしたという記録を残すための入院になっているだけだ。
島根大学第二内科で出した「日常診療における消化器治療薬の使い方」を読んでいる。消化器だけでも多数のガイドラインが出ていて、全部集めるわけにもいかない。今度の本はガイドラインの基本的なところが記載されているので、まずはこれを読んで、興味がある分野のガイドラインを購入することにしよう。
70歳台男性が右肺炎で受診した。数年前まで喫煙していて画像上はCOPDの変化がある。両側肺に喘鳴が聴取された。肺炎によるCOPDの増悪だ。COPDの場合喘息が合併しているとするか、気管支攣縮とするかが難しい。喀痰には好中球しか見られず、好酸球は見られないので、喘息とは違う(アレルギー性気管支炎ではない)と記載されていたと記憶している。治療は喘息発作と同じになるので、どちらでもかまわないのだが。
内科の若い先生が担当になった。春にも同じ病態で入院しているので、その時と同じ治療でどうでしょうかと伝えた。前回、喘鳴が軽快するのに1週間かかったので、今回も苦戦すると予想された。夜間の悪化時にステロイドの追加点滴をするように、指示を出しておくことにした。
12月の当直表を作成している。年末年始分は別に作るが、9日間をどう埋めるか。内科・外科2名体制だが、外科は大学病院からの応援で埋められるそうだ。内科は応援医師が今のところ決まってないので、全部自前(常勤医)で埋めることになりそうだ。一人2回から3回の日直当直になるが、私は連年通り大晦日か元旦に入る。
何度か誤嚥性肺炎で入退院を繰り返している83歳男性が、また発熱で受診した。右下肺に浸潤影を認め、誤嚥性肺炎の何度目かの再発だった。まだ車いすに乗っているので、状態としてはましな方だった(ひどい時は意識混濁)。家族も慣れたもので、奥さんは「ずーっと入院できませんか」、と言っていた。病棟の看護師さんは「治ったら退院です」と即座に答えた。たぶん今回も治って退院になるのだろう。
救急外来を診ていた外科の女性医師から連絡が来た。90歳女性が呼吸困難で救急搬入され、両側性肺炎だという。6月にも肺炎で入院して、治って退院していた。両側肺の背側に浸潤影が散在している。かろうじて自宅内で杖歩行していたという。前回の肺炎よりも重症と息子さんに伝えて、入院となった。
内科小児科医院から90歳女性が紹介されてきた。Hbが6g/dlと著明な貧血があった。9月の検査ではHb13g/dlだったので、半減している。朝食後に嘔吐したがどのようなものだったかは憶えていないそうだ。直腸指診をするとタール便だった。変形性膝関節症でNSAID(クリノリル)が処方されていた。PPIの処方はなく、珍しいことにマーズレンSやムコスタなどの胃薬の処方もなかった。
上部消化管出血疑いとして、消化器科で内視鏡検査を行ってもらった。胃内には出血はなく、十二指腸潰瘍があった。通常の慢性潰瘍の形で、潰瘍底に出血点があったが、露出血管はなかった。急性出血ではなくて、慢性的に出血にしていたらしい。MCVは80とほとんど小球性を呈していた。止血処置は必要なく、点滴・輸血・PPIで経過を見ることになった。
急に寒くなって、タイヤ交換を早急にする必要があった。今日は午前中外来がなく、病棟回診も簡単に終わったので、昼休みにイエローハットに行った。タイヤ交換で混んでいるかと思ったが、意外にすいていて20分で終了した。先週末か今週初めに交換する人が多かったらしい。土日に自宅近くの店に行くと半日がかりになる。土日予定があるので、平日に済ませたくて、一昨日から交換するタイヤを車に乗せていたが、忙しくて昼休みがなくて行けなかった。毎年、来年は11月初めにタイヤ交換に行こうと思うが、必ず遅れてしまう。
糖尿病で通院している45歳男性はうつ病で精神科にも通院している。血糖コントロールはそれほど悪くはないが、良い状態とはいえなかった。前に担当していた先生の時からインスリン注射(30Rの朝夕2回打ち)になっていた。担当するようになってから、メトホルミンを追加処方したが、それほど効果はなかった。けっこうな肥満があるが、投与後も体重は同じだった。
その後メトホルミンの投与が2250mg/日まで認められるようになった。まず750mg/日から1000mg/日に増量した。さらに消化器症状(嘔気・下痢)に注意しながら、1500mg/日まで増量した。目立った副作用はなく、内服を継続できた。体重が減少して、血糖が改善した。さらにDPPⅣ阻害剤を追加すると、HbA1cが良くなって正常域になった。インスリン量を数回減らして、今日は以前の半分の指示にした。メトホルミンを1500mg/日まで増量した患者さんが数人いて、それなりに効果がある。その中でも、この患者さんは一番効果を実感できる。
発作性心房細動で循環器科に通院している73歳男性が、頭痛で内科新患を受診した。内科にも高血圧症で通院している。頻回に心房細動になるようになって(そろそろ慢性化か)、抗凝固剤として先週プラザキサが処方された。その2日後に頭痛がするようになり、車を運転すると右に傾くという。今週その話があり、循環器科医はプラザキサを中止した。右に傾く症状はとれたそうだが、頭痛(前頭部痛)が続くので内科を受診した。自分で車を運転してきて、診察室に普通に歩いて入ってきた。特に、麻痺はない。ふだんは頭痛がないという。
頭部CTを摂ると左後頭葉皮質下に出血があった。血腫周囲が低濃度になっていて、出血性梗塞を疑って頭部MRIも撮ったが、出血そのもののようだ。脳外科医に診てもらって、そのまま脳外科入院となった。脳出血の既往ありということになると、心房細動に対する抗凝固療法はできなくなってしまう。今日の心電図では心房細動になっていて、慢性化してしまったようだ。
86歳女性が食欲不振・倦怠感で受診した。循環器科に高血圧・うっ血性心不全・難治性不整脈で通院している。検査で炎症反応上昇(白血球数12000、CRP12)があった。胸部X線で肺炎はなかった。尿は少量しか出なかったが、混濁していた。胸腹部CTで見ると、右腎臓上極に腫瘤があった。腎細胞癌かとも思われたが、腹部エコーでは血流がなく、内容は低エコーでCTで見るよりも膿瘍のようだった。右腎自体が腫大していて、周囲の脂肪織に炎症像があった。造影CTで見るともっとわかるのだろうが、数日の食欲不振で脱水症になっている可能性があり、今日はやめた。 泌尿器科医に相談したが、まずは保存的に抗菌薬で経過をみることになった。
一昨日に心窩部不快感で発症して、その後右下腹部痛が続いたと73歳男性が受診した。炎症反応上昇(白血球数12000、CRP5)があり、急性虫垂炎と思われた。鑑別として結腸憩室炎があるが、診断は虫垂炎寄りだった。腹部造影CTで見ると、上行結腸近位部に憩室が数個あり、そのうち1個が腫大して周囲の脂肪織に炎症像があった。虫垂は正常だった。結腸憩室炎として入院治療となった。
今日はアストラゼネカのTVシンポジウムに林寛之先生が出演するので、中継のある支店に行った。やはり林先生の講義は面白くてためになる。ケアネットのDVDと著書で復習することにした。