なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

腹膜炎

2015年12月11日 | Weblog

 93歳女性が内科クリニックからの紹介で救急搬入された。高熱ということで肺炎よりは尿路感染症(急性腎盂腎炎)かなと思いながら、救急室に行った。肺炎ではないと思っていると、看護師さんから腹を痛がっているようですと言われた。下腹部に圧痛がある。デファンスととっていいのかどうか、正直わからない。

 やせた女性で(ADLは自宅内を這って動く程度)、単純CTでは読影できないので、造影CTを行った。どちらかというと右下腹部痛のように思われたので(訊いてもよくわからない)、虫垂炎の穿孔を疑って放射線科医と画像を見たが、虫垂自体が同定できない。腹水があり、腹膜炎をきたしているという目でずっと見ていた。外科医も加わって見ているうちに、左下腹部のS状結腸の部位で、腹水の中に腸管外の空気像があると判断された。便塊があるのかもしれない。S状結腸壁の造影が弱くぼんやりしている。便秘で10日排便がないそうだ。S状結腸穿孔による腹膜炎と判断されて、相当なリスクだが、手術を行うことになった。

 そのちょっと前に、左大腿動脈閉塞の99歳男性が救急搬入されていた。どうなるのかと思ったが、血管外科医が血栓を除去して短時間で処置を終えたそうだ。昨日から90歳以上の超高齢者が続々入院している。

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入院4名

2015年12月10日 | Weblog

 今日は内科の若い先生2名が休みで、内科一人での診療だった。朝から昨日の当直医から連絡がきた。当直帯ぎりぎりに2名の救急車を受け入れたのだった。ひとりは胆管癌での85歳男性だった。8月に黄疸で発症して、基幹病院の消化器科で総胆管ステント挿入の処置を受けていた。腫瘍内科でジェムザールの治療が開始されたが、皮疹で中止となった。抗癌剤を変更しての化学療法は拒否したため、そのまま経過観察となり、自宅から近い当院に紹介されていた。発熱・炎症反応上昇・肝機能障害(総ビリルビン3.1)があり、肺炎や尿路感染症など他の感染症もなく、急性胆管炎と判断された。ステントの閉塞の可能性もあり、基幹病院に相談しようと思ったが、奥さんは当院での治療を希望した。閉塞性化膿性胆管炎と断定できず、まず抗菌薬で治療を開始して、1日経過をみることにした。

 もうひとりは施設に入所している90歳女性(老年期認知症)で、意識低下で搬入された。横臥している状態では会話ができた。Hbが4.0g/dlと貧血(正球性貧血)だった。血圧は正常。吐血下血の症状はなく、直腸指診でも普通便だった。大腿骨骨頸部骨折で入院した時にはHb7~8だった。やはり消化管出血が疑われるので、今日は輸血をして、明日の状態を確認して上部消化管内視鏡検査は行うことにした。正しくはNGチューブを入れて確認するべきなのだろう。

 夕方に内科外来の看護師さんからチアノーゼの90歳女性がいると連絡がきた。パーキンソンで神経内科に通院していて、先月から動きが悪くなって神経内科に入院して、数日前に退院したばかりだった。昼食後から呼吸困難になって、家族が救急車を呼びたくないと自宅の車で連れてきたのだった。酸素吸入(10L/分)を開始して、胸部X線・CT検査をすると両側肺野肺側に浸潤影を認めた。誤嚥性肺炎と判断した。救急外来での酸素飽和度は86%だった。点滴をして抗菌薬の投与(ゾシン)を開始して病棟に上がると、酸素飽和度は99%になった。外来で一時的に血圧が70mmHg台になったが回復した。

 もうひとり入院があったが、今自宅で思いだせない。

 

 

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COPD増悪

2015年12月09日 | Weblog

 今日は午前中に内科再来を診て、午後は病棟の指示を出していた。内科医院から喘息発作の82際男性が紹介されて来た。年齢的に単なる喘息発作ではないだろうと思ったが、4-5年前まで喫煙歴があり、胸部X線・CTで両側肺野に気腫性変化を認めた。明らかな肺炎の浸潤影はない。ウイルス感染による増悪か。血液ガスはPaO2が58mmHg・PaCO2が45mmHgだった(室内気)。午前中にかかりつけの医院を受診してデカドロンの点滴を受けたが、改善しないので午後に再受診していた。ふだんの処方はシムビコート吸入とテオドール内服だった。酸素吸入・ステロイド・抗菌薬で経過をみることにした。酸素吸入を開始すると、それだけでも改善してきたようだ。午前中のデカドロンが効いてきたのかもしれない。この慢性閉塞性肺疾患の患者さんで発作的に喘鳴がひとくなるのをどう表現するかだが、ACOSとしてとらえていいのだろうか。今回は吸入できるまで改善したらLAMAの追加かな。

 夕方にリハビリテーションセンター長をしている神経内科医と、リハビリのスタッフ内でのもめごとで、理学療法士の上二人がやめることになる話をした。若いリハビリの職員からの不満が出て、院長に直訴したことなどを聞いた。医局は内科系の先生方が春から3人辞めることになり、病院としては大きな痛手だ。

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いきなり終末期

2015年12月08日 | Weblog

 79歳代女性が意識障害で救急搬入された。血糖が20mg/dlと低血糖だった。グルコース静注で血糖は140mg/dlになったが、意識は戻らない。頭部CTは異常がなく、電解質異常でもなかった。胸腹部CTで肝臓が著しく腫脹して、全体に転移巣が広がっていた。胆嚢全体が腫瘤となっていた。CEA・CA19-9が高値で、肝機能障害が大変な値を呈している。胆嚢癌の肝転移と診断はすぐについた。ついたが、治療は難しい。救急当番だった外科医が、自分が主治医となって入院とした。

 午後に81歳女性が内科クリニックからの紹介で受診した。この方も肝左葉に転移巣があり、右胸腔に胸水が貯留していた(おそらく癌性胸膜炎。肺癌も否定できず。)。CEAとCA19-9が高値で特にCA19-9は振りきれていて12000以上だった。原発は膵臓にはなく、胃でもなさそうだった。横行結腸の肛門側に全周性の壁肥厚があり、結腸癌が疑われた。消化器科に入院して、明日大腸内視鏡検査が予定された。この方も治療は難しいだろう。

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腸閉塞

2015年12月07日 | Weblog

 気管支拡張症で在宅酸素療法を受けている67歳男性は、直腸癌・肝転移・肺転移もあるが、手術できず過観察になっていた。昨日から腹痛・腹部膨満感が続き、今日救急搬入された。腹部単純X線で小腸の拡張があるが、大腸は拡張していなかった。直腸癌そのものによる閉塞で起きたわけではなかった。腹部手術の既往はない。腹部造影CTで内ヘルニアは指摘できなかった。腸間膜動脈の閉塞もない。小腸自体の絞扼性腸閉塞を疑ったが、明らかに絞扼性とはいえなかった。癌の腹膜播種や非閉塞性腸間膜虚血が考えられたが、画像のみではわからない。

 外科医に相談したが、なにしろ低肺機能で癌の進行状況から、手術はできないと判断されて経過をみていた方だ。イレウスチューブで保存的に明日まで経過をみて、改善しなければ開腹することになったが、相当な命がけの処置になる。身寄りがなく、直接本人に訊いて決めるしかない。外科医が厳しい病状であることを伝えた。手術が必要になるかもしれないが、手術すれば人工呼吸管理のまま死亡する可能性が高いがどうするかと訊くと、先生の好きなようにしてくれと答えた。

 

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脳梗塞

2015年12月06日 | Weblog

 今日は日直で病院に出ている。昨夜からの当直医(大学病院からの応援医師)から救急車を受けたので、よろしくと申し送りがあった。脳血管障害疑いの88歳女性だった。朝7時過ぎに起きてこないので家族が見に行った。呼びかけても意識がなく、左上肢をしきりに動かしてた。救急搬入時、痛み刺激で開眼はなく、(健側の)左上肢を刺激部位にもってくる。右半身は完全麻痺だった。

 頭部CTで出血はなく、左MCA領域の皮質白質境界が不明瞭だった。頭部MRIの拡散強調画像で確認すると左ACA・MCA領域に脳梗塞を認めた。MRAでは左ICAが閉塞している。右ICAなども狭窄しており、どこが詰まってもおかしくない脳血管だった。家族に病状を説明して、当院で入院治療する予定だったが、脳血管疾患の専門病院を希望された。家族・親族で2名がくも膜下出血になり、その病院で治療を受けたそうだ(1名の高齢者は死亡)。

 高齢で効果的な治療も見込めないため、受けてくれるかどうかわからなかった。電話して事情を説明すると、案外受けてくれた。ただし、家族には特別な治療もないことを伝えてほしいというこおtだった。おそらく、脳萎縮があり、脳浮腫で悪化することもなく急性期を乗り切ると思われるが、会話や嚥下は難しい寝たきり状態になる。それでも専門病院で急性期を診てもらえれば、家族は納得するだろう。さっそく紹介状と画像を入れたCDを用意して搬送した。

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来年度の契約をどうするか

2015年12月05日 | Weblog

 医学書院の「総合診療」の電子版を契約していたが、更新の時期になった。1年弱どうだったかというと、使いきれていない。自分が電子書籍よりも紙の本に慣れていて、電子版になじめないのがある。もう1年やってみようとは思っているが。若い先生は論文をコピーして紙で持っているのではなくて、PDFの形でもっていたり、スキャンして取り込んでいる。この前初めて論文をスキャンしたくらいで、これも慣れない。

 careNeTVを契約していて、これはけっこう見ている。以前はケアネットのDVDを購入していていたが(かなり購入した)、今の形の方が便利だ。DVD購入のように場所をとらない。1月5000円は充分元が取れている。これは少なくとも定年まで継続することにした。

 岸田直樹先生の「感染管理」が始まっていた。これまでケアネットでは抗菌薬の使い方のみで、感染管理を取り上げるのは初めてのはずだ。岩田健太郎先生の「極論で語る感染症」も始まって、これからのシリーズが楽しみだ。生坂先生の「千葉大GMカンファランス2015」も良かった。症例は、「甲状腺中毒性ミオパチーを伴う周期性四肢麻痺」と「睡眠関連てんかん(複雑部分発作)」だった。睡眠異常とてんかんの鑑別診断をみごとにわかりやすく説明されていた。

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けいれん発作

2015年12月04日 | Weblog

 昨夜の当直医は整形外科の若い先生だった。70歳男性がけいれん発作で救急搬入された。この方は1年半前にもけいれんで救急搬入されている。この時は短時間で治まっていて(搬入時にはけいれんなし)、神経内科外来を受診したが、経過観察となっていた。昨夜は搬入された時も続いていて、けいれん重積状態だった。 セルシン5mg2回とホストイン点滴静注をして治まったが、2回血液ガスを採取しているから、数10分続いたようだ。pH7.2のアシドーシスになっていた(よく血液ガスをとったものだ)。頭部CTは異常なしで、他にも急性症候性けいれんとしての検査もしていた。

 今朝は意識清明で、神経症状はなかった(筋肉痛あり)。後は神経内科の問題になる。それにしても、臨床研修制度後の先生は、初期対応がちゃんとできるのだなあと感心した。県内でも有数の臨床研修病院の出身で、そこは研修医だけで50名近くいるそうだ。

 昨日のドクターGは、洛和会丸太町病院の上田剛士先生。右膿胸の50歳代男性が右腹痛(臍部右側)で受診して、右膿胸の関連痛(Th11)だったという内容だった。鑑別診断の考え方に感心して見ていた。ケアネットTVで見ていたが、ドクターGで見るとまた違う。大部の著書も出されているが、すごい若手がいるものだ。当方は、できる先生の著書を購入したり講演を聴いたりして、ずっと後ろから追いかける(絶対追いつけない)作戦だ。

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NOMI?

2015年12月03日 | Weblog

 先週の火曜日に誤嚥性肺炎が治癒した後、施設入所待ちだった80歳男性が腹痛を訴えた。腹部は平坦・柔で圧痛もはっきりしなかった。翌日には臍周囲痛を訴え、はっきりと圧痛があった。腹部造影CTを行うと、小腸の壁肥厚・拡張・消化液貯留を認めた。麻痺性イレウスの所見だった。心房細動があり、抗凝固薬(イグザレルト)を内服していたが、上腸間膜動脈血栓塞栓症などはなかった。腸管壁は造影されていたが、一部造影が弱いかもしれないという放射線科で読影された。穿孔性腹膜炎ではなかった。外科手術には踏み切れず、保存的に経過をみた。

 下血はなかった。炎症反応などが一時悪化したが、その後軽減した。腹痛の訴えも当初ほどでなくなっていた(ように思われたが、希望的な判断か))。バイタルは変わりなく、このまま時間をかけると軽快してくるかと思われた。思われたが、5日目に急激に血圧が低下して、そのまま亡くなった。別の疾患が併発した可能性もあるが、やはり腸管の問題だったのだろう。non-occlusive mesenteric ischemia(NOMI)の可能性があり、開腹手術を行うべきだった。(身寄りのない方で、市の福祉センターの扱いになった)

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多発性筋炎、抗ARS抗体

2015年12月02日 | Weblog

 先週の木曜日に整形外科クリニックから四肢の疼痛・筋力低下の76歳男性が紹介された。筋原性酵素上昇と炎症反応上昇を認め、また画像上間質性陰影があり、多発性筋炎の疑い・間質性肺炎として希望する総合病院のリウマチ膠原病科に紹介した。

 今日家族が報告に来て、翌日に受診してそのままその病名で入院したという。当院受診日に提出していた外注検査でも抗核抗体640倍、抗Jo-1抗体500U/ml以上だった。診断としては合っていた。

 抗ARS抗体の方がというコメントをいただき、知らなかったのでちょっと検索してみた。ARS(aminoacyl tRNA synthetase)はアミノ酸とtRNAを結合させてアミノアシルtRNAを合成する酵素。20種類のアミノ酸に対応する20種類のARSがある。

 抗ARS抗体はそれぞれのARSに対する抗体。多発性筋炎・皮膚筋炎ではこれまで8種類の抗ARS抗体(抗Jo-1抗体・抗PL-7・抗PL-12抗体・抗EJ抗体・抗KS抗体・抗OJ抗体・抗Zo抗体・抗体Ha抗体)がわかっている。検査キットの抗ARS抗体は、このうち5種類(1番目から5番目まで)の抗体に対応する。当然抗Jo-1抗体単独よりも、多発性筋炎・皮膚筋炎での感度が高い。どの抗体が陽性かによって、病状に違いがあるそうだ(まだ研究室レベル)。

 抗ARS抗体検査は当院のオーダー画面の外注検査項目になかったので、さっそく入れてもらうことにした。これまで診た多発筋炎・皮膚筋炎は前にいた病院での2例のみだった。1例は30歳代女性で、「痛くて動けません」と言って診察室に倒れ込むように入ってきた。Snap diagnosisそのもので、ヘリオトロープ疹とゴットロン徴候が素人目にもわかった。院内で検査できる筋原性酵素と炎症反応の上昇を確認して、即リウマチ膠原病科に紹介した(患者さんとかかわった時間約1時間)。もうひとりは70際台男性で、ある病院のリウマチ膠原病科の先生とケンカして、こちらで処方してほしいと突然受診してきた。病状照会で、診療情報提供書をいただくとamyopathic DM・間質性肺炎と診断されていた。今の病院に移るまで外来でプレドニンを処方していた。年齢の割にこれしか経験がないのは、ちょっとさびしい。

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