なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

十二指腸水平脚まで見える?

2017年04月20日 | Weblog

 2週間前に糖尿病で外来通院している80歳代前半男性が、発熱と咳・痰(血痰も)で受診した。胸部X線・CTで両側肺炎を認めて入院した。心房細動で内服しているDOACを一時的に休止した。喀痰の抗酸菌塗抹は陰性だった。発症して1週間以内で急性の経過だった。

 広範な陰影で、珍しく抗菌薬2種を併用してなんとか肺炎は治癒した。肺胞出血も考えたが、違うようだ。血糖コントロールが悪化していたので、BOTからインスリン強化療法に切り替えて糖尿病の治療調整も行った。

 今回Hb7g/dl台と小球性貧血(鉄欠乏性)もあった。その目でみると、前回整形外科に入院した時から少しずつ貧血が出ていた。慢性的な消化管出血によると思われるが、肺炎の治療中はそれどころではない。肺炎軽快後に消化管精査としていた。

 肺炎を診るCTは、胸腹部CTで行っていた。胃・大腸に明らかな腫瘤性病変は指摘できない。自分では気づかなかったが、放射線科の読影レポートで十二指腸水平脚に腫瘤(GIST疑い)とあった。

 肺炎治癒で退院として、消化管精査は外来で行うことにする予定だった。今日消化器科医に相談すると、まず上部消化管内視鏡で見えるかどうかわからないが、まず入院中にやってから方針を決めることになった。無症状だが、総胆管結石もある(胆嚢結石も)。手伝いに来てもらっている消化器センターのある専門病院に紹介かなということだった。

 今日は消化器病学会に来ている。幕内雅敏先生が招聘講演で肝移植の話をされた。幕内先生の出された超音波ガイドの本を買ったことがある。昔はPTCDもやっていたが、今はもう自分ではやらない。

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食物が詰まっていた

2017年04月19日 | Weblog

 昨日施設入所中の80歳代後半の女性が、食物で窒息死しかけて救急搬入された。食物がのどに詰まって、一時的に心肺停止になって、施設職員が心肺蘇生をしたところ、呼吸が戻ったということだった。酸素10L/分で搬入されたが、救急当番の外科医が血液ガスを検査すると、二酸化炭素分圧が79でpH7.16だった。酸素飽和度が改善したので、その後酸素4L/分まで下げていた。一通り検査を出して、画像検査が終わって血液結果が出る前に連絡が来た。これから手術に入るので、あとはよろしくということだった。

 寝たきり全介助なので、食事も介助で食べていたはずだが、CTを見ると食物が食道上部まで詰まっていた。食道蠕動運動の問題か食道裂溝ヘルニアの問題か、とにかく食物の食道通過に問題があるらしい。一口分が咽頭に詰まったというより、食物が食道全体から咽頭まで詰まったということらしい。

 酸素量を調整(酸素飽和度90%を目標)して血液ガスを再検すると、二酸化炭素分圧64でpH7.28と改善してきた。正しくは気管挿管・人工呼吸なのだろうが、処置をすると裏目に出そうだった。認知症・寝たきり状態で脊椎は前に曲がってさらに右に曲がっていた。家族にお話して、酸素量の調整と点滴・抗菌薬で経過をみることにした。

 今日はバイタルとしては安定している。昨夜は騒いでいたそうで、日中はずっと寝ていた。もともと両肺に陳旧性の陰影があり、肺胞低換気なのだろう。誤嚥性肺炎がどの程度になるかで予後が決まりそうだ。

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肉眼的血尿~膀胱癌

2017年04月18日 | Weblog

 昨日の夕方病棟を診ていると、貧血の患者さんが入院してくるという。内科医院からの紹介で、肉眼的血尿・貧血の70歳代後半の男性が受診していた。地域の基幹病院泌尿器科(常勤医2名)に連絡したが、ベット満床で断られて当院(泌尿器科常勤医なし)に回されてきた。救急当番だった消化器科医が受けたのだった。

 腹部造影CTで見ると、膀胱癌のようだ。貧血はHb3.6g/dlと重度だったが、小球性貧血(慢性出血)だったので、輸血でしのげば何とかなると判断したらしい。4単位ずつ2日間輸血の指示が出た。昨年から血尿があったという。

 尿細胞診で癌が証明されたら、すぐにがんセンター泌尿器科に紹介しましょうかと言ったが、上下部内視鏡検査をしてから(消化管出血を否定してから)という返事だった。そこまでしなくてもいいと思うが、真面目なんだから。

 今日は内科再来をみていた。60歳代後半の女性が心不全の悪化で受診して、何度か入院で診てもらっている心臓血管センターに搬送した。糖尿病があり、CTで見ると走行が全部わかるくらい冠動脈の石灰化がある。PCI後だが、再検してもPCI対象になる血管は案外通っていたそうだ。末梢の冠動脈硬化症で心機能は著しく悪い。その病院の処方を継続していたが、サムスカなど、それ以上追加のしようがないくらいの処方だ。時間外に受診した際に担当医がわかるように、「病状悪化時は専門病院へ転送」と画面に付箋をつけてわかるようにしていた。

 胃瘻造設後にS状結腸癌と判明した80歳代の男性(寝たきり全介助)は、治療の適応なしとなり、行けるところまで自宅療養としていた、今日診たところでは、もう少し在宅でやれそうだった。1か月後に最初の胃瘻(器具)交換になるが、そのあたりで入院治療になって結局交換はなしとなるかもしれない。

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保存的には治らず~急性胆嚢炎

2017年04月17日 | Weblog

 前の週の日曜に急性胆嚢炎で入院した70歳代後半の男性は、入院後は症状軽快していた。根熱して、肝機能障害・炎症反応ともに改善していた。MRCPで総胆管結石は否定的で、内視鏡的治療を他院に依頼する必要はなさそうだった。いったん治癒してから待機手術をどうするか今週相談することにしていた。

 土日に一回だけだが、37℃台後半の発熱があり、腹痛の訴えはほとんどないものの、食欲が低下してきた。今日の血液検査で、肝機能諸具合としては軽快していたが、順調に軽減していた炎症反応が上昇していた。白血球数16500・CRP24だった。右季肋部の圧痛は軽度で、外見上は何でもないように見える。

 腹部造影CTを行うと、胆嚢壁の肥厚が肥立ち、肝床部の炎症像が目立った。炎症がくすぶった感じで進行しているらしい。外科にコンサルトして、早期手術をお願いすることにした。外科では腹部所見が軽度なので、早急な手術はいらないと判断したようだ。ただこの患者さんは、入院時の血液培養でEnterocossus gallinarumが2セットから検出された。

 土日に喀痰吸引すると喀痰に血液が混じってきたと連絡が来ていた80歳代前半の男性(胃瘻造設後)は、今日は軽快していた。土日に急に嘔吐した90歳代後半の男性は、本当は今日施設入所予定だったが延期にした。今日は嘔気嘔吐はなく、腹部は平坦・軟で圧痛もない。嚥下訓練再開だが、どうなるか。

 5月の連休中の内科当番表を作成した。退職予定で、5月に年休(有給休暇)を消化する循環器科医は、5月の連休のところは手伝ってくれるというので、2回入ってもらうことにした。今日は6月のプライマリケア学会春季セミナーの申し込みをした。

 amazonで注文していた、「実用青春俳句講座」小林恭二著と「俳句の世界」小西甚一著が届いた。どちらも思ったよりきれいな状態の本だったので、ちょっとうれしい(前者は古書)。昔は俳句評論といえば山本健吉さんだが、今だったら断然小林恭二さんだ。

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近くに温泉があるのも

2017年04月16日 | Weblog

 金曜の早朝に、40最代半ばの女性が、腹痛・嘔吐・下痢(水様便)で朝方に救急外来を受診していた。当直は外科医。温泉旅館からの救急搬入だった。断続的に腹痛が出現して、鎮痛薬を使用していた。腹部CTでは小腸壁が軽度に肥厚して、消化液がたまっている。胃内には食物が充満していた。炎症反応は陰性。外来治療で帰宅もできず、短期間の予定で消化器科に入院になった。

 二人連れで、関西から東北の温泉(渋い温泉地を選んでいる)を巡る旅行に来ていたそうだ。その日は他県の温泉地に移動する予定だった。外科医は、「夫婦じゃないんだよ」と騒いでいたが、年齢的にはちょうど釣り合うので、中年のカップルということで粛々と対応する。

 以前、若い愛人さんと温泉に来ていた中高年男性が、急死して救急搬入されたことがあった。心肺蘇生術に反応なく、死亡確認になった。当直だった消化器科医が対応した。「下世話な話題で恐縮ですが」というところだが、消化器科医の持ちネタになっていて、今でもたまに「そういえばこんなことが」という感じで話が出る。

 近隣に温泉があると、お客さんが浴槽の中で死亡して(あるいは死亡しかけて)救急搬入されることが、1~2年に1回くらいある。大浴場でも、深夜に1人で入浴していると発見が遅れてしまうようだ。

 今日は、「血液内科ただいま診断中」渡邉純一著(中外医学社)を購入した。池上彰さんと佐藤優さんの対談本「大世界史」文春新書が面白かったので、「新・リーダー論」文春新書も購入。

 

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こめかみが痛い

2017年04月15日 | Weblog

 先週の月曜に20歳の男子大学生が内科外来を受診した。その1週間前から右こめかみの痛みがあった。受診2日前の土曜日に高熱が出て、近くの内科クリニックを受診した。インフルエンザB型と言われて、リレンザを処方された。

 リレンザを吸入しようとしたが嘔吐してしまい、使えなかった。翌日曜の夜間に当院の救急外来を受診した。当直の外科医が点滴とラピアクタの点滴静注をして帰宅とした。

 月曜日に受診した時は解熱していたが、こめかみの痛みが続いていて、食事がとれないという。痛みの部位は1週間同じだった。圧痛はない。他の部位に痛みはない。咳はわずかにあったらしが、その日はなかった。鼻汁・咽頭痛は訴えない。痛みは継続していて、時々耐えられないくらいひどくなるそうだ。患者さんとしては初めての症状だった。

 何の痛みかわからなかった。くも膜下出血疑いとして頭部CTを行ったが、頭蓋内に異常はなかった。1週間経過して出血が吸収されてきたことも考えて、微小な出血の有無をみようと頭部MRIまで行ったが、なかった。ただ右副鼻腔に液体貯留があり、副鼻腔炎の所見だった。血液検査で白血球数11500・CRP9と炎症反応は上昇していた。食欲もないし、アパートに一人暮らしなので、入院でみることにした。

 右眼の奥は痛くないかと聞いてもいたくないという。耳鼻咽喉科の外来(大学病院から出張)で診察してもらうと、右鼻腔内に膿性鼻汁の垂れ込みがあった。副鼻腔炎で間違いはなかったが、耳鼻咽喉科の先生も「右側はあっているけど、こめかみですか」と言っていた。

 抗菌薬の点滴静注を5日続けると、こめかみの痛みは消失して、炎症反応も陰性化した。入院後に受診時にはなかった発熱が2日だけあったが、すっかり解熱した。こめかみの痛みは、副鼻腔炎の痛みと判断される。そこに痛みを感じるのもあるのだろう。食欲も出たので、その後抗菌薬は内服に切り替えた。退院2週間後に、耳鼻咽喉科外来で経過をフォローしてもらえることになった。

 こめかみの痛みを訴えた細菌性副鼻腔炎というだけの話。こめかみは、目(目尻)と耳の間の噛んだ時に動く部位。「米噛み」ということらしい。

 

 

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市中のCDI

2017年04月14日 | Weblog

 4月から消化器科に若い先生が来た。残念ながら常勤ではなくて、2か月交代の診療応援だった。さっそく3名の患者さんの担当していたので、どんな病気なのかと画面で確認した。前立腺肥大症で泌尿器科クリニックに通院していた70歳代半ばの男性が、下痢(水様便)が続いて、そのクリニックから当院に紹介されていた。

 この方は当院の腎臓内科外来に通院していた。50歳代からの糖尿病があり、内科クリニックに通院(その前は別のクリニック)していて、腎機能障害(ネフローゼ症候群)で4年前に当院の腎臓内科外来に紹介された。糖尿病腎症はあるが、経過からそれだけにしては早いかもしれないということで、他疾患併発の疑いとして腎センターのある専門病院に紹介された。腎生検の結果、糖尿病腎症+Focal segmental glomerular sclerosisと診断された。一時的にステロイドも使用されたが、その後は中止されている。

 血糖コンロトールは以前からよくない状態だった。現在はHbA1c8%台。治療は混合型インスリンを朝夕自己注射+DPP4阻害薬になっている(強化療法かな)。最近の血清クレアチニンは4mg/dl弱で推移している。今回は下痢による脱水症が加わって、血清クレアチニン6.7mg/dlに上昇していた。

 泌尿器科で抗菌薬(フルオロキノロン)が処方されていた。現在の処方としての記載があり、これまでも断続的に使用していたかもしれない。便のCD検査で、抗原陽性・トキシン陰性となり、培養を追加して再検するとトキシンも陽性と出た。CD腸炎(CDI)だった。

 点滴(低カリウム血症の補正あり)とメトロニダゾールで症状は軽快して、数日前から食事摂取が開始されている。血清クレアチニンもふだんの値に近づきつつあった。

 若い先生はカルテ記載が丁寧で、これまでの記載をうまくコピーして経過がわかるようにしていた。入院当初から少しずつサマリーを積み上げていくようになっている。

 当院では市中感染としてのCDIは少ないが、クリニックの外来でセフェム系・フルオロキノロンが頻繁に使用されているので、今後も増えていくのだろうか。

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傍腫瘍性辺縁系脳炎

2017年04月13日 | Weblog

 4月12日のNHKドクターGは徳田安春先生で、症例は傍腫瘍性辺縁系脳炎だった。見ていてヘルペス脳炎かなと思ったが、違った。

 自分で診たことはない。数年前当院の神経内科に、他院神経内科で傍腫瘍性辺縁系脳炎と診断された20歳代の女性が、リハビリで転院してきたことがある。卵巣腫瘍だったと聞いた。当院の神経内科医が、診断した神経内科医のことを珍しく褒めていたのを覚えている。今時は、研修医でも疾患を想定できるようになっているらしい。

 テレビの症例は25歳女性で、失認・幻覚(幻視)・錯乱・痙攣の症状を呈していた。不随意運動(ジスキネジア様)もあった。病識があり、統合失調症ではない(ことになっていた)。CT画像で卵巣腫瘍(奇形種)があった。急性発症のヘルペス脳炎と比較すると、辺縁系脳炎は亜急性の経過になるということだった。経過だけでは否定できないので、当然髄液検査で単純ヘルペスウイルスの検査もするのだろう。

 当院に入院していた辺縁系脳炎後遺症の女性は、傍から見ていただけだが、表情・雰囲気・会話の内容が統合失調症様に見えた(個人の感想です)。年齢を考えると気の毒としかいいようがないが、時間経過とともに改善していくのだろうか。

 傍腫瘍性神経症候群paraneplastic neurological syndrome:PNS)は、悪性腫瘍(良性腫瘍も)の患者さんに、(腫瘍の浸潤・転移ではなくて)自己免疫的機序で神経筋障害が、多くは腫瘍の発見に先んじて発症する。主な症状から臨床病型が分けられ、患者の血清および髄液に病型に特徴的な自己抗体(腫瘍神経共通抗原認識抗体onconeural antibodies)が検出される。神経症状の発症と抗体の検出が腫瘍の発見に先行するため、抗体の検出は診断と腫瘍発見のマーカーになる。

 PNSの病型としては、脳脊髄炎・小脳変性症・傍腫瘍性辺縁系脳炎・傍腫瘍性オプソクローヌス・ミオクローヌス症候群・感覚性運動失調型ニューロパチー・ランバートイートン筋無力症候群・傍腫瘍性全身硬直症候群などがある(もう難しくてわからないが)。

 傍腫瘍性辺縁系脳炎は、脳脊髄液でリンパ球・蛋白の増加があり、頭部MRIでは一側または両側の側頭葉内側面にT2強調画像やFLAIR画像で高信号を呈する。

 傍腫瘍性辺縁系脳炎の中に抗NMDA受容体抗体関連PNSがあり、卵巣奇形種を有して、腫瘍や免疫療法に反応して予後が良好な若年女性の辺縁系脳炎がある。症状は、精神症状・てんかん・不随意運動など。

 自分で診断できる気はしないが、神経症状・精神症状の患者さんでは、傍腫瘍性神経症候群(辺縁系脳炎など)も考慮しなければならないということだ。神経内科にコンサルトするだけになりそうだが、精神症状で精神科に紹介してしまうとまずいことになる。

  

 

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それぞれの家庭の事情

2017年04月12日 | Weblog

 昨日は内科の当番だったが、当直の外科医からは特に連絡がなかった。今日病院に来て昨日の当直帯での受診を確認すると、受診数は少なかったが、1名だけ入院になっていた。

 他県の精神科病院に入院している60歳代前半の男性が、自宅に外泊していた。6月の退院を目指しての外泊というので、精神科の時間はゆっくり流れているようだ。

 家族が、入浴中に意識消失しているその患者さんに気付いて救急要請した(いつ入浴していたのか家族も知らなかった)。意識消失(JCS200)・血圧70mmHg・SpO260%で当院に救急搬入された。

 搬入後は、呼びかけに開眼するようになり、酸素飽和度も上昇した。画像検査をすると、両側肺に誤嚥性肺炎と判断される陰影があった。頭部CTは異常なかった。血液検査では、炎症反応はまったくの陰性。入浴中に何らかの原因で意識消失して、お湯を誤嚥したと推定される。

 事故と言えなくもないが、外科疾患ではない。ないが、内科に入院依頼しにくかったらしく(遠慮深い真面目な先生)、外科で入院になっていた。

 今日は内科再来を診ていた。80歳代初めの男性は、退職した先生から引き継いだ血糖コントロールの悪い糖尿病の患者さんだった。以前からインスリン導入を勧められているが、拒否していた。教育入院もしたくないという。ちょっと医療費の話が出て、家庭の事情を教えてくれた。

 この方はいつも奥さんといっしょに来院する。年金が夫婦二人で月25万というので、二人なら十分では、と言った。しかし、離婚した娘さんが実家に戻ってきていて、孫も二人いる。その分の出費もあるので生活は楽ではないという。娘はまったく働こうとはせず、そのことを指摘すると怒鳴ってくるそうだ。

 60歳代半ばの女性も糖尿病で通院していて、血糖コントロールは良い。このごろ胃の調子が悪いという。最近、お舅さんと同居しているが、そのお舅さんはCOPDで在宅酸素導入になった。さらに夜中に騒ぐので、それがストレスになる。とりあえずPPIを処方して、そのうちに胃内視鏡検査をしましょうと勧めた。 

 元気よく診察室に入ってくる70歳代半ばの女性は、時々ペットボトルに入ったお茶を差し入れしてくれる。500mlのボトル3本なので、500円くらいか。断るのも悪いので、ありがたくいただいている。処方内容は胃腸薬と安定剤少量で大したものではない。この方は脳梗塞後遺症で要介護5の夫を介護をしている。週1回のデイサービスを受けているので、その時に合わせて3か月に1回受診しているらしい。

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血液培養でグラム陽性球菌

2017年04月11日 | Weblog

 朝病棟で指示出しをしていると神経内科医から連絡がきた。昨日救急搬送した40歳代半ばの男性は、前交通動脈(A com)の破裂による出血で、脳外科で手術になったそうだ。発熱に引っ張られてしまった、とも言っていた。何度も側頭葉病変を探してもないという話をしていたが、それも当然だった。

 脳実質内出血とくも膜下出血を発症して、くも膜下腔の血液が頸部に流れて、後頸部痛の訴えになったのだろうか。頭痛の有無を訊いても痛くないといっていた。出血像は薄まっていたので、1週間前からの経過としては合う。発症時は突然の頭痛だったはずだが。結果的に脳外科に回されたので、搬送して間違いはない(と思うことにしよう)。

 喉頭癌と診断された後に両側誤嚥性肺炎をきたした80歳代男性は、学会に行った日に亡くなって、内科の先生が看取ってくれていた。代わりにといってはなんだが、日曜日の日直の時に、その先生が主治医の誤嚥性肺炎で悪化していた80歳代の男性を看取った。

 急性胆管炎と黄疸で入院した80歳代半ばの女性は(胆管癌術後・左右肝管空腸吻合術後)、炎症反応横ばい・黄疸漸増で学会出張中も無事だった。昨日も血液検査を入れていたが、黄疸の漸増は同じ。腹部エコーで見ると、拡張した肝内胆管内に内部エコーあり(結石ではなくて腫瘤)と指摘された。入院時にはなかった腹水貯留もあった。入院時のCTでも左右の肝内胆管内が不整な腫瘤様に見える。腫瘍マーカーはCA19-9が4000弱と、胆汁うっ滞だけにしては高すぎる値だった。肝内胆管癌が疑われる。治療は継続するが、予後は厳しい。家族は苦痛がないようにお願いします、ということだった。

 日曜日の朝に高熱・肝機能障害で入院した80歳代男性は、総胆管結石疑いだったが、MRCPで明らかな結石はなかった。腹部エコーで見ると、胆嚢内に小結石と充満したdebrisが描出される。右季肋部痛の訴えがないが、急性胆嚢炎そのもののようだ。抗菌薬投与で今日は解熱している。細菌検査室から、血液培養2セットからでラム陽性球菌が検出されたと報告があった。腸球菌らしい。これはちょっと感染症の学会帰りらしいかもしれない。

 

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