以前は、古書店めぐりにずいぶん時間を費やした。
欲しい本、読みたいものは多岐にわたるので、
専門古書店一軒に行ってもなんにもならない。
あっちこっち行ってどこに何が有るかチェックする。
マンガをよく買っていた頃は更に混迷を極めていた。
手帳に、何は何巻を持っていて、何巻がまだ無いか、リストしていた。
古書店のどこに行けばどの本の在庫が有るか、なんて分からないので、
とにかく常に欲しいものを思いながら全体をねちねちと眺め回していたものだ。
※
そんな生活が、インターネットショップで激変した。
インターネットというものは、ニッチなものに強い。
多数派の人気は無いけれど好きな人は好きなもの、
マニアックなもの、かたよったもの、裾野のもの、隙間のもの。
リアルでは探しにくいものが、
インターネットなら検索できる。
多数派か少数派かということは、ネット検索においては問題にならない。
たすかるう。
※
「神烏傅」という詩がある。
とある尊い烏の物語を、ちょいとくだけた漢詩の体で歌ったものだ。
その昔、中国では竹や木の棒に墨書したものが本だった。
以前、木の棒から作って、「急就章」を書いたことが有る。
当時の漢字スピードラーニングテキストだ。
https://blog.goo.ne.jp/su-san43/e/b821124f2d762ef76c8c9c88e6987dad
もういっちょやりたいなー。と思っていた。
そこで、「神烏傅」を知った。
これまたインターネットは良い時代で、全貌のカラー写真を見ることができる。
http://www.9610.com/qinhan/hanjian/shenwu.htm
ほんのちょっと前までは、印刷したものを本で見るだけだった。
原寸の良さ、拡大印刷の良さ、それぞれ有る。
木に書いている場合、カラー写真じゃないと分かりにくい事が多い。
木目のせいで線が途切れていることが有ったり、
ひび割れが有ったり。
モノクロ写真だと、ヒビやシミも線画に見えてしまったりする。
そんな中、モノクロ写真のテキストを買った。
天来書院のテキストシリーズ中国古代の書5『木簡』。
なぜなら、これには骨書が付いているからだ。
骨書とは、毛筆で書いた文字を、どういう書き順で書いているか分かるように、
硬筆で書いたものだ。
私のような入門者には、とても助かる舟だ。
ここに、「神烏傅」全編が載っている。
編者は佐野光一で、解説は(「神烏傅の草法」より抜粋)とある。
なに、ただのカギカッコということは、書籍ではないのか。
※
調べてみると、それは國學院雑誌のある号に掲載された佐野の論だった。
〇マゾンだの〇ルカリだのを探すが、平成12年11月号ズバリは見付からない。
結局、「日本の古本屋」というサイトに、1冊だけ出品されているのが見付かった。
沖縄の古書店だった。
送料含めて千円かからないなら、私の心には安いもんだ。
※
前掲の天来書院のテキストも、「神烏傅の草法」からの引用に加え、
「字形と筆順」という新たなまとめが載っている。
文字の形は筆順によって変わってくる。
だから、書かれてあるものを見て筆順が推測できる。
けれど、私のような入門者(以下同文)。
※
沖縄から本が届いた。わーい。
タイトルと署名は佐野自身の「神烏傅の草法」による。再帰的。すてきー。
論考は、19頁にわたる。
読むのが楽しみだ。
他の論も楽しみ。
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