[あらすじ] 自宅の前は、幅1.8mの細い砂利道だ。
そこに毎日、糞の放置がある。
糞は毎日続いたり、ふと止んだりする。
道のど真ん中にしていくので、その後で新聞配達のバイクが通ると
轢きつぶしてしまう。
糞はいつも、ゆるい。
原形をとどめないほどゆるい時もある。
バイクが轢くと、飛び散る。
小型犬くらいの量だ。
毎日のように放置されている糞を、私はシャベルで道のすみに埋める。
かなり臭いの . . . 本文を読む
[あらすじ] センダン、ネムノキ、ハナミズキ、ハゼ、ヤナギ、 チャンチン、サンゴジュ、カキ、サルスベリ、ムクゲ、ニワトコ、 シロダモ、ビワ、アワブキ、サクラ、クワ、アカメガシワ、ツツジ、 サツキ、モモ、ツバキ、アオキ、アンズ・・・ そうだ、バラ科の樹木と言えば、枝垂れ梅がある。 「シダレ」の「シ」が「枝」の音読みだと知ったのは、 ずいぶん最近のように思う。 ほったらかすとザンバラ髪のようにな . . . 本文を読む
ちょうど先週の火曜日も、雨だった。
老母の寝室である和室には、濡れ縁がある。
縁側とは言っても、戸の外ではある。
しかし屋根の下なので、少々の雨ならしのげる。
そこに、猫がいた。
庭で犬を飼っていた頃なら、考えられない光景だ。
焦げ茶色のまだらの、きったねえ色の猫である。
目やににまみれて、顔もきったねえ。
雨に濡れて、背中から腰の毛が束になっている。
ガラス戸を隔てて、すぐ室内には人間 . . . 本文を読む
[あらすじ] センダン、ネムノキ、ハナミズキ、 ハゼ、ヤナギ、
チャンチン、サンゴジュ、カキ、サルスベリ、ムクゲ、
ニワトコ、シロダモ、ビワ、アワブキ、
サクラ、クワ、アカメガシワ、ツツジ、サツキ・・・
玄関先の右側が幹の朽ちかけた桜で、
左側にはモモの木が生えている。
これも、植わっているのではなく、生えている。
春に真っ白な花を咲かせてくれる。
その後、たくさんの実を付けるが、食用のモモで . . . 本文を読む
たまーに触れてきたが、私はファンクが好きだ。
そう言うと、知らない人にはパンクに聞こえる。
パンクで育ったところもあるので、別にそれでもかまわない。
ファンクとちゃんと聞き取ってもらえた場合でも、
ファンクって何?と聞かれることもある。
米国の黒人の音楽で、ソウルやR&Bの流れを汲み、ロック要素も強い音楽だ、
とかなんとか答える。
ファンクって何?と聞く人には、この答えじゃなんのこっちゃか想像つ . . . 本文を読む
[あらすじ] センダン、ネムノキ、ハナミズキ、 ハゼ、ヤナギ、
チャンチン、サンゴジュ、カキ、サルスベリ、ムクゲ、
ニワトコ、シロダモ、ビワ、アワブキ・・・
玄関先に、太い桜がある。
引っ越して来て何年目かに植えたとかなんとか言うから、
40年足らずの桜だ。
道に面していて枝を大きく伸ばしてしまったので、
数年前に太い枝は一本だけ残して切った。
幹から横へ一本の枝が伸びるという、たいへんブサイ . . . 本文を読む
郡上のナー八幡出てゆく時は アーソンレンセー 雨も降らぬに袖しぼる 有名な郡上踊りはなんせ数日間夜通しで踊るという。 踊りに踊って汗だくになって、雨に降られたでもないのに 着物がぐじょぐじょになる、という意味だろう。 当の郡上では、7月の中ごろから9月のはじめまでのひと月半続き、 8月はほぼ毎日どこかで踊りがある、というありさまだ。 一度はこの時期に郡上に行ってみたい。 できれば期間中ずっと . . . 本文を読む
[あらすじ] センダン、ネムノキ、ハナミズキ、 ハゼ、ヤナギ、
チャンチン、サンゴジュ、カキ、サルスベリ、ムクゲ・・・
庭の南東の隅に、ニワトコがはえている。
毎夏、スイスイ伸びる。
伸びるのが速い木は、やわらかい。
やわらかい木は、切りやすい。
伸びては切る、のいたちごっこだ。なんとかならんのか。
ニワトコの老木には、キクラゲがはえる。
このニワトコも、老いて茸に侵されやすくなっていた。
そ . . . 本文を読む
[あらすじ] センダンが伸びる、ネムノキが花咲く、ハナミズキが老いる、
ハゼが殖える、ヤナギが太る。庭木は強い。
敷地の角に、チャンチンが2本ある。
亡父はこの木の枝を落とし、やたらとまっすぐ高く伸ばした。
7~8mはあるだろうか。
しかし高くなってしまうと、上の方の枝は切れない。
おかげで、高く伸びて上だけ枝の出た、不格好な木になってしまった。
いや、不格好というだけなら良いのだが、これは不 . . . 本文を読む
「つる」という噺がある。
鶴はムカシ、首長鳥と呼ばれていた。
ある時、白髪の老人が浜辺の岩頭に立っていたところ、
はるか唐土(もろこし)の方から一羽の雄の鶴が
「ツーーーッ」と飛んで来て、松の枝にぽっととまった。
それに続いて雌の鶴が「ルーーーッ」とやって来た。
で、ツルと呼ぶようになったんだよ。
とご隠居さんが教えるのを、八っつぁんだか熊さんだか忘れたが、
長屋のおっちょこちょいが真似して他 . . . 本文を読む
両親とも庭いじりが好きだった。
点々と石を置いて、花壇を囲った。
明るい庭に、季節ごとの花が咲いた。
しかし、この頃の気候では、明るい庭は暑過ぎる。
夏場は庭に出る気がしない。
そもそも、陽射しが降り注いだ庭の熱気が家に入って来て暑い。
家の前の地面に陰が落ちるように、
建物の近くに樹木を植えてみた。
植木屋で若い苗木を買ってきて植える、なんてことはわざわざしない。
最初は、たまたま生えてき . . . 本文を読む
[あらすじ] 米国のゲイクラブで銃乱射事件があった。
日本のコミュニティもショックを受けている。
私も、自分が撃たれていたかもしれない、という気持ちがある。
犯人は警察の銃撃戦で、死んでしまった。
だからその心中は推し量るしか無い。
周囲の証言によると、犯人は自身がゲイであるが、
イスラム教徒でもあったということのようだ。
先般、米国では全州で同性婚が認められたように、
現今の社会価値観とし . . . 本文を読む
[あらすじ] ゴールデンウィークは青森に旅してきた。 旧友が青森駅前で営む、LGBTとレイプ被害者のためのコミュニティカフェにも寄った。
http://blog.goo.ne.jp/su-san43/e/1cda8e4c731a9e547d99fd9e231c2b97 開店に際しては、多くの支援者が存在することを示すために、たくさんの祝花を並べた。 2年の間には、小さいが陰湿ないやがらせを受 . . . 本文を読む
母83歳が言う。
「こういう言葉を使いたくはないんだけど、
年を取って、パッパッとものごとを理解することができない。
頭の回転が遅いから、
そういう時は待ってください。」
何をいまさら。である。
私は別に、せかしたりしていない。
いつも待っている。
しかし、その上でこうお願いされるということは、
もっと待てとか、何かこれ以上のものを求めているのだろうか。
なぜそう言うのか聞き返してみた。
「年 . . . 本文を読む
欲しい物があると、とことん我慢する。
この性質で、ずいぶん損をしてきたと思う。
おねだりのできない子どもだった。
大阪の伯父さんに連れられて奈良を一日歩いた日も、
「たこやき食うか」と聞かれて「食べたい」と答えられなかった。
お腹は空いていたのに。
けったいな子を扱いかねたのか、伯父はその後、同じようには聞いてくれず、
二人で一日中何も食べずに歩き回った。
鹿にはせんべいをやったのに。
食い . . . 本文を読む