旅日記

旅の記録と紀行文を紹介する事でしょう。
写真は私が撮影したものを使用しています。

ラベンダー紀行 帯広→富良野

2004-08-29 23:35:37 | ラベンダー紀行
根室本線 快速「狩勝」 3430D列車 (帯広)

平成16年7月19日月曜日(海の日)。今回利用したホテルには朝食におにぎり、味噌汁、コーヒーの無料サービスがある。軽食ではあるが、ありがたく頂戴する。ゆっくりしたいが列車の時間もある。快適な一夜を過ごしたホテルを後にして、帯広駅に歩いてむかう。

駅に到着して、まずは切符を買わなければならない。この後の行程では特別企画乗車券は使わず、普通乗車券で旅行する。ただし経路は少し複雑だ。この時期はラベンダーが見頃となっている。当初は予定に入れていなかったが、せっかくなので中富良野町のラベンダーを見てきたい。夜は札幌であるものが食べたい。往路はフェリーを利用したが、復路は全行程を鉄道利用としたい。東北新幹線八戸-盛岡間で「はやて」に乗りたい。こうして、次のような片道乗車券を発行してもらうことにした。

区間:帯広→東京都区内
経路:帯広→(根室本線)→富良野→(富良野線)→旭川→(函館本線)→白石→(千歳線)→沼ノ端→(室蘭本線)→長万部→(函館本線)→五稜郭→(江差線)→木古内→(海峡線)→中小国→(津軽線)→青森→(東北本線)→八戸→(東北新幹線)→東京

運賃は16,380円、有効期間は9日、営業キロは1512.5と、東京から西へ行ったとすれば、鹿児島中央を過ぎて、指宿の先まで行く道のりである。帯広駅の窓口氏は上記の経路を私が口頭で伝えただけで、すぐに発券してくれた。運が悪いと時刻表の索引地図を見ながら悪戦苦闘して発券までに相当の時間がかかる場合もある。ある旅行会社の窓口だと1時間はかかるだろう。帯広駅は優秀である。

さっそく乗車券で自動改札機を通る。機械とは味気ないが、入鋏もスタンプとなっており、鋏でパチンとやってもらえるわけではない。自動改札機から出てきた切符には小さな穴があいた。プラットフォームに出る。札幌行の特急「スーパーおおぞら2号」を待つ人が多いようだ。札幌まで220.2キロ、2時間24分で到着する。バスでは4時間を要するから、随分と速い。私はこれから快速「狩勝」で2時間12分かけて富良野まで125.5キロを行く。あまり速くない。この快速「狩勝」は釧路-帯広間を普通列車として運転し、帯広からは快速列車として滝川まで運転する。釧路-滝川間308.4キロを6時間35分を要する。私が乗るのは全体の1/3にも満たない。3時間近く走ってきた列車が到着。ボックス席の前向き窓側に陣取る。車外に出て写真を撮ってもどって来ると、私のボックス席に年配の夫婦がやってきて相席となった。

特急を先に発車させ、9時20分に快速は発車した。停車駅は少ないのだが、列車交換で結構停車する。新得からは坂を登ってゆき、新勝狩トンネル内にある上落合信号場で、南千歳方面の石勝線と分れて富良野へむかう。高速運転されている石勝線とは違い、自然の地形に沿って線路は敷かれている。気持ちの良い山間の路線だ。映画の撮影で使われ、セットも残されている幾寅駅、ダム湖などを車窓に見て、11時32分に富良野に到着した。 (つづく)
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ラベンダー紀行 トマム→帯広

2004-08-26 12:37:42 | ラベンダー紀行
根室本線 帯広駅 (北海道帯広市)

自然の中の駅に特急スーパーおおぞら7号が接近してきた。トマム発15時30分。キハ283系は気動車とは思えない電車並の加速力で速度を上げて行く。石勝線・根室本線の高速化に伴い登場した車両だが、札幌-釧路間で4時間を切る運転を可能にし、航空機に対抗している。最高速度は時速130キロ。新狩勝トンネルを貫けると素晴らしい展望である。新得との標高差を下るため、線路は右へ左へと弧を描く。33.8キロを21分で走り、15時51分に新得着。

「一日散歩きっぷ」はここ新得まで。このまま乗っていれば27分で帯広に着くが、それではトマム-帯広の正規運賃・料金(2,510円)が必要である。「一日散歩きっぷ」で改札を出る。自動販売機で帯広までの乗車券(810円)を買い、再びキハ40の客となる。特急が27分で行くところを、のんびりと61分かけて走る。16時08分新得発。この先の根室本線では、広い畑、真っ直ぐに伸びる防風林など、十勝ならではの車窓が楽しめる。17時09分、帯広に到着した。

3連休の中日なので予約しておいた駅前のホテルにチェックインする。シャワーを浴びてスッキリすると、市内の百貨店に行き、欲しかったDVDソフトを入手する。帯広に来たかいがあった。六花亭本店でマルセイバターサンドをお土産に買う。自分で食べる用にも買う。ひとつを帯広郵便局から送ったが、内地に送ったら気温で溶けてしまいそうである。別のものを検討する。あとでホテルに帰って食べたが旨かった。

アメリカ牛肉輸入禁止のあおりで、牛丼店で豚肉を使った牛丼の代替品を豚丼として販売しているが、豚丼といえば十勝の豚丼である。本物の豚丼を再確認する為に今日は豚丼を食べる。駅前のPという有名店では行列が見られる。ここの豚丼は1度食べたので有名店にこだわる必要はない。昨年、10数年ぶりに訪れた「ふじもり」に行く。10数年ぶりと1年ぶりでは感慨も違うが、最初に水とメロンソーダが出されるのは嬉しい。昨年と同じく豚丼と生ビールを注文する。「○○はよろしかったですか?」という北海道独特の言い方が隣の席から聞こえてくると、北海道にいることを改めて実感する。それにしても帯広に宿をとる事が多い気もするが、帯広を目的に訪れたのは、帯広競馬場のばんえい競馬を見に来た時くらいではないか。同じ北海道でも函館は何度も宿泊しているし、観光もしているのだが。 (つづく)
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六花亭製菓 http://www.rokkatei.co.jp/
藤森商会 http://www.fujimori-kk.co.jp/


ラベンダー紀行 新夕張→トマム

2004-08-25 15:48:08 | ラベンダー紀行
トマム駅付近の鵡川(北海道勇払郡《上川管内》占冠村)

これから特急に乗る。小樽から利用しているのは「一日散歩きっぷ」(2,040円)でフリー区間の快速・普通列車が利用できる。特急・急行列車は利用できない。ところが、石勝線新夕張-新得間では普通列車の運転が無いことから、同区間の各駅相互間は、乗車券のみで特急の普通車自由席に乗車できるという特例がある。「一日散歩きっぷ」や「青春18きっぷ」でも特例でそのまま利用ができる。あくまでも同区間の各駅相互間での利用に限られるのでお間違えなく。例えば新夕張-帯広間で特急を利用すると全区間の正規運賃・料金が必要となる。

新夕張まで乗ってきた普通列車の運転士に、特急利用の件を確認して列車を待つ。すぐに特急「とかち5号」が入線してきた。新夕張発13時52分。1日1本の列車しかなかった旧楓駅(現信号場)を過ぎて行く。楓駅が無くなったので、新夕張と隣の占冠までの34.3キロが在来線では隣の駅までの最長距離となった。大自然の中を特急で快適に移動。特急料金不要である事が申し訳無いくらいだが、しっかりと利用させていただく。

占冠14時24分発。隣の駅まで30分以上かかっている。駅間は長いが信号場は多数あり、上り列車と交換する。ところで最近、車内放送で「反対列車との行き違い」という表現をよく聞くが、「行き違い」というと間違いがあったようで「交換」の方が好きである。なんにも用事がないけれど、列車はトマムに着いたので降りた。ここでも上り列車と交換があり、14時45分に上下2本の特急がトマムを発車した。

トマムは北海道でも有数のリゾート地で、石勝線の開業後に開発された。開業当時は石勝高原という駅名だった。新千歳空港からのアクセスもよい。上下2本の列車の乗客は皆、歩道橋を渡ってアルファリゾート・トマムのインフォメーションセンターへ行く。ここのホテルを利用しないのは私だけだろう。インフォメーションセンターにコーヒーでも飲めるところがあればと思ったが飲食店はなく、自動販売機で缶コーヒーを買い、駅に戻る。日陰に入ってコーヒーを飲む。風が吹いてくる。なんと気持ちのよい事か。関東の猛暑が嘘のようである。周囲の緑も気持ちよい。こんな所のリゾートホテルなら泊まってみたい。しかしそんな予算はない。今夜は帯広のホテルを予約している。鳥や虫の声がする自然豊かな駅だったが、道路を走る車の音も聞こえるのが残念だった。 (つづく)
北海道旅客鉄道(JR北海道) http://www.jrhokkaido.co.jp/
アルファリゾート・トマム http://www.tomamu.co.jp/


ラベンダー紀行 夕張→新夕張

2004-08-24 21:34:15 | ラベンダー紀行
石勝線 清水沢駅 (北海道夕張市)

夕張駅付近を撮影してきて、折り返し列車で夕張を12時30分発。他の鉄道ファンらしき人たちも列車に乗りこんでいる。北海道JR線完全乗車達成に酔うひまも無い。なにせ北海道にはまだ乗っていない鉄道がある。北海道ちほく高原鉄道ふるさと銀河線(池田-北見間)である。これはまたの機会にするが、廃止されるのも遠くないらしいので、ゆっくりしてはいられない。

北海道のJR線完全乗車はしたので祝いの酒は飲みたい。夕張駅前には前出のホテルがあるが、そこで食事をする気にはなれない。どこかの駅前食堂で祝杯をあげたい。かつて三菱大夕張鉄道の分岐駅だった清水沢の駅前に何軒か飲食店が見えたので、そこに降りる事にした。私の他に1人をおろして清水沢を12時40分発車した。立派な駅だが、今は人気も無い。駅前を歩くと何軒か飲食店はあるが、店を閉めていたりしている。

営業中の蕎麦屋があったので入る。寿司のネタのケースがあるカウンターに座る。ラーメンもメニューにある。ビール(600円)と天ざるそば(1,050円)を注文する。大将は愛想が無い。ビールと枝豆が出る。枝豆の豆が小さい。大将が豆が小さいだろうと言う。そう思っていたところだが、これはこの辺りで栽培しているのかと尋ねると、そうだという。北海道は寒冷なのだ。8月で枝豆の豆がまだ小さいのだ。また、大将は愛想が無いのは北海道の土地柄であって、決して無口でない事が判った。蕎麦を食べ、蕎麦湯ももらった。関東風である。勘定を済ませようとすると、女将が今日は暑いでしょうという。この女将も愛想が無いと思ったが、これも土地柄であって、無口では無いようだ。さて、蒸し暑くはあるが、関東の猛暑から比べると涼しいと答えた。実際、冷房なぞ無くても全く問題は無い。私が長袖を着ているから暑くは無いかと尋ねたのだそうだ。私は北海道では常に長袖なのだと答えた。本当は内地でも長袖なのだが。愛想が良くても、マニュアルで応対するような所よりはるかにこの店は良かった。

駅に戻る。駅員はおらず、日曜日は窓口は開かない。平日だけの営業らしい。待合室に先客がある。しかし列車には乗らなかった。ホームは1面、線路は1線だが、昔の名残で誇線橋を渡る。何ら線は跨いでいない。列車はやって来た。乗客は数名、鉄道ファンは乗り合わせていない。清水沢を13時37分発。途中で僅かに乗客の乗降りがあった。これならバスでも充分だろう。盲腸線を往復してきて、13時48分に新夕張に到着した。 (つづく)
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ラベンダー紀行 千歳→夕張

2004-08-23 03:13:16 | ラベンダー紀行
石勝線 夕張駅 (北海道夕張市)

10時34分に千歳を発車した気動車(ディーゼルカー)は南千歳に停車した。ここは昔の千歳空港駅。現在はここから新千歳空港へ新線が伸びている。以前、3月にスキーに来た時に、このホームで列車を待っていて寒い思いをした事がある。新千歳空港駅は地下駅で空調もあるので、今は寒い中で列車を待つ事はないだろう。

南千歳で線路は三方へ分れる。ひとつは千歳線の沼ノ端方で苫小牧、室蘭、函館そして本州方面へと通じている。もうひとつは千歳線の新千歳空港方である。さらにひとつは、この列車が入っていく石勝線である。道東の帯広、釧路、根室へは根室本線が通じているが、起点は滝川で富良野を経由している。これの短絡線として建設されたのが石勝線で、札幌から滝川、富良野を経ることなく、千歳から追分、新夕張を経て新得の手前で根室本線に合流する。石勝線の方が40キロ以上短いだけでなく、昭和56年(1981)開業という新しい路線で、列車は高速運転できる。しかし高速運転しているのは特急だけのようで、この普通列車は立派な線路の上をゆっくりと走る。

乗客の高校生たちが田舎だと騒いでいる。北海道の高校生が北海道の風景を見て田舎だというのはおかしな感じだが、彼らは日本でも有数の大都市札幌かその近郊に住んでいるのだろう。開けた窓から牛の糞の臭いが入ってきて、更に騒がしくなった。

追分で高校生らは降りた。車内は空いてきて鉄分(鉄道ファンの割合)が濃くなった。飲んだ風邪薬が効いてきてウトウトする。居眠りをしている場合ではない。列車に乗りに来たのだ。しかし列車の中での居眠りは気持ちが良い。夢心地で新夕張に11時53分着。これからは寝られない。北海道のJR線では初めて乗る区間であり、ここに乗れば現在営業している北海道のJR線には全て乗車した事になる、石勝線の新夕張-夕張間が待っている。今回の北海道旅行の目的といっても良い。昨年の北海道旅行(「エスカロップ紀行」参照)で乗れなかったところである。11時56分新夕張発、北海道最後の未踏(未乗)のJR線を走り出した。

昨年、並行する国道をレンタカーで走っている。それでも道路と鉄道では趣きが違う。上り坂となっている。蒸気機関車は苦労して走ったろう。石炭を満載した貨物列車は下り坂になるのだが。かつては栄えていたが、炭鉱の閉山で寂れてしまった山峡を列車は走る。広い構内、そして剥がされたレール。かつての繁栄を思わせる途中駅。初代の夕張駅もそうであったが、スキー場のホテルの前に移された味気のない現在の夕張駅に12時22分到着した。もう北海道に乗っていないJR線は無くなった。 (つづく)
北海道旅客鉄道(JR北海道) http://www.jrhokkaido.co.jp/