寂しかったゴールデンウィークも終わった。しかし緊急事態宣言は継続され行動の自粛は続く。そして提起されているのが新しい生活スタイル。しかもそれは、単に手を洗うとか、人との距離を保つとかではなく、従来の生活志向の変革、新たな価値観の創出、もっと言えば「新しい資本主義の追求」を求めているように思える。
第一に、職住接近の追求で企業集中、都市集中を避ける。テレワークという言葉の普及を受けた在宅勤務、またIT利用による、居住周辺の図書館や設備の整った公共施設での業務追及など新たな労働態様が求められていくだろう。
同時に週休2日の徹底と、残る5日も在宅(近住)勤務が1~2日、または時差出勤をも絡ませ、1日の仕事も「会社で5時間、自宅で3時間」などを組み合わせる、などなどで週40時間制の完全実施による「自己の時間」を大幅に創出する。
第二に、量よりも質、スピードよりもスロー(スピードを追って浅薄になるよりも、スローで豊かな内実を!)に重点を置いた生活スタイルへ。人類は(特に日本は)かなり高水準の生産力を手にしているのではないか? 大量生産でこれ以上の豊饒な生活を追うよりも、この到達点を全国民で分け合って、じっくり味わい、楽しむ生活を共に求めたらどうか。
第三は、(以上2点の延長線上に立って)、効率主義より充実主義へ、競争主義より協調主義へ、利潤第一主義より配分重視主義へ思考を変革する。
これまでの儲け重視の効率主義は、病院や医療従事者の縮小を中心にした医療行政の貧困、保健所や沽券従事者の圧縮による保険行政の貧しさ、果ては学校や教員縮小による学校教育の低下などを生んだ。今回のコロナ問題は図らずもこれらを明らかにした。これを機に、諸問題の根本的原因となった効率主義を改めるべきであろう。
最も、この方向転換―「新しい哲学の確立」こそ一番難しい課題ではあるが…。